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(93)気になる

 人とは妙なもので、ほんの些細なことでも気になり始めると、どういう訳かそのことに執着する傾向がある。いつまでも気になる訳だ。^^

 亀川は朝早く、鳥の(さえず)る声で目覚めた。

『もう朝か…。んっ? 今の囀りはなんという鳥だ? 聞かない鳴き声だが…』

 気になり始めると、その一件が納得できるないと気が済まない性分の亀川である。洗顔もそこそこに、亀川はパソコンの検索を駆使して自分が耳にした鳥の鳴き声を調べ始めた。そして泥沼に引き摺り込まれたかのように亀川は鳴き声に埋没していった。

 そうこうして、小一時間が経過していった。すでにいつもの朝食時間は過ぎ去っていた。

「お父さん、先に食べましたよ…」

「ああ…」

 見えない妻の声が書斎の戸口から小さく聞こえた。一年前なら通勤に追われて考えなかった雑念である。退職後は、どういう訳か小さなことでも気になる亀川だった。鳥の名が分からないまま(あきら)めかけたそのときである。亀川が以前、聞いた声と同じような鳴き声がパソコンから響き出した。

「こ、この鳥だな…」

 亀川は興奮していた。鳴き声に耳を澄ましながら画面をよく見ると、[鴫(しぎ)の鳴き声]と出ていた。

「鴫か…。鴫啼いて 生活の朝の 始まりし だな…」

 早や創りの俳句を一句詠むと、気になる内容が解消されたからか、とある会の同人、亀川はニンマリと(わら)った。


                  完

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