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(82)いい国

 この国ほどいい国はない…と、今年から社会人となった崖下は勤務後、駅へ続く歩道を歩きながら、雑念を浮かべていた。目の前にはポイ捨てられたタバコの吸い殻が、そしてしばらく歩くと空になったペットボトル、空き缶が転がっていた。崖下は捨てた人の心境が知りたくなった。

『たぶん、何も思わず捨てたんだろうが…』

 崖下は捨てた人の心を善意に解釈した。誰もいい国を汚くしよう…などと考える人はいない…と思えたからである。ところが、崖下がまたしばらく歩いていると、走り去った車の窓が開き、火が点いたままのタバコが投げ捨てられる光景が目に入ったのである。

『いい国だが、残念ながらそう長くはないな…』

 崖下はまた敗戦前の日本に戻る雑念を本能的に浮かべた。

 そして五十年の月日が流れ去った。崖下は、すっかり老いぼれ、地下都市で暮らしていた。地上は数年前の核戦争で人類が生存出来ない死の星となり、世界の国々は消え去っていたのである。悪い国は消滅したが、当然、いい国も消滅していた。

 崖下さんが雑念を湧かすことがないようないい国が今後、五十年、いや百年先も続くよう願いたいものです。^^


                  完

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