(60)思惑(おもわく)
思惑とは妙なもので、自分の考え通りにはならない。アレコレ考え、最良の道を選んだとしても、現実は決してその通りにはならず、挫折するから困ったものだ…と、平崎は雑念を巡らせていた。^^
平崎の思いは昨日の管理者会で増幅されていた。
「他には…?」
MCを務める管財課課長の虫田が一同を見回しながら偉そうに言った。虫田とすれば、偉そうに出来るのはこの場だけだったから、より一層、偉ぶりたかったのである。課へ帰れば部長からは叱られ、課長以下の職員達からは突き上げられるのだから堪ったものではない。そんなとき、平崎がどうしたことか挙手をした。
「はい、どうぞ…」
虫田はギクッ! とした声で偉そうな言いぶりから急変し、小声で返した。
「私が言っていた前回の会合の案件はどうなったんですか?」
「えっ!? そんなのおっしゃっておられました? …お時間もないようですから、次回の議題と致します…」
虫田とすれば、これで終わろう…という思惑だったから、平崎の挙手はいい迷惑だった。平崎も平崎で、自分の案件が討議されると見込んで管理者会に臨んでいたから、思惑通りにならず腹立たしかった。
このように、思惑は自分の雑念どおりにはならないものなのです。^^
完




