(47)貧乏者の経済観測調査
侘毛憐は、なぜ自分が貧乏なのか?… と、残り少ない頭髪を片手で優しく撫でながら雑念を巡らせていた。
『一生懸命、働いてきたんだから、俺は当然、裕福になる権利はあるんだが…』
侘毛は理詰めで、そう考えながら、新聞を広げ読み始めた。ふと、目についた記事に侘毛は、また雑念を巡らせた。
『だが、待てよっ! 数億も競馬に賭けた、か…。遊び人でも裕福なんだな。働いてきた俺のところへ金が流れないのは、いったいどういう訳だっ!』
侘毛は妙な発想で憤りを感じた。そのとき、侘毛の脳裏は年金暮らしを始める前の自分の姿を思い出した。
『そうそう、40年間かけていた国民年金に未納部分がある・・と社会保険庁に言われて決定額を減額されたな…』
さらに侘毛は雑念を加速させて巡らせた。
『…そのあと、入力の機械化とかで、さらに額が減ったんだ。国は機械化の入力不備をマネー・ロンダリング[資金洗浄]のように隠蔽して、さらに減ったな…』
侘毛の憤りは益々、高まった。
『国の経済短期観測調査[短観]より俺の経済観測調査の方が理に適っている気もするが、どうにもならんのは悔しい…』
侘毛の計算によれば、侘毛の年金額は現在より月に数万円増える勘定だった。
侘毛さんには申し訳ないのですが、貧乏者の経済観測調査は思うだけで、思うようにならないのが現実の社会システムのようです。^^
完




