(46)表向き
春の陽気が広がり始めた頃、脇山は自然散策に山歩きに出かけた。
「んっ!? バリケードがしてある。これじゃ、山歩きは出来んな…」
子供の頃は自由に散策できた山道がバリケードの金網で封鎖されていたのである。見渡せば、かなり長く続いていた。脇山は、『万里の長城じゃないんだから…』と、中国の万里の長城を思い浮かべて愚痴っぽく思った。よく見れば、バリケードの金網に看板がかかっている。
『なになに、[ゴミを捨てるな]か。捨てられてるがな…』
金網に吊られた看板下には、タバコの吸い殻やペットボトル、飲料の空き缶などのポイ捨てゴミが、見てくれと言わんばかりにアチコチに捨てられていた。しばらく金網に沿って歩くと、また看板がかかっている。
『なになに、[ワナが仕掛けてある]か…。ははは…こりゃ、物騒だ』
脇山は、『バリケードは表向きで、要は、山へ入るなということか…』と瞬間、思った。山歩きも、ままならなくなった世情が侘しく悲しかった。さらに歩くと、また看板が見えた。看板は金網に吊り下げられず、張られて設置されていた。
『なになに、[文化庁・自然保護林]か…。ははは…それにしては荒れ放題だな。国も表向きばかりじゃ…」
脇山は農林業の現実を直視しない国政に少し腹立たしくなり、下山して雑念を浮かべないことにした。
まあ、これが表向きの現実社会のようです。皆さん、雑念は浮かべず、表向きの行いは、右から左へと軽く受け流しましょう。^^
完




