(44)どうでもいい…
某テレビ局の大河ドラマではないが、雑念に惑い、どうするっ! などと力まず、どうでもいい…と、軽く物事を往なせば、割合と物事は首尾よく終わる・・としたものだ。^^ この男、田力もそんな男で、余り物事を重く考えず、雑念に迷わない男だった。
「田力さん、課長が及びですよっ!」
とある町役場の商工観光課に勤務する田力は、同僚の後輩職員に心配そうな眼差しで言われた。
「ああ、そうなの…」
田力は、またかっ! と動じる素振りも見せず、どうでもいいや…といった気分で課長席へと足を運んだ。他の課員達は怖い課長の雷には絶えずビクビクで、呼ばれることに恐怖を感じていたから、心配そうに田力の後ろ姿を見遣った。
「あの…課長、お呼びでしょうか?」
「ああ、田力君か…。すまんが、例の一件、いつものように頼むよ」
雷の声が、いつもより小さくなった。
「と、言いますと、アノ一件でしょうか?」
「ああ、アノ一件ッ!」
雷はアノ一件を強調した。
「分かりました。今回、上手くいくかは別として、やってみましょう…」
田力は冷静に返答した。
「頼んだよっ!」
雷は必死に両手を合わせ、田力に頼み込んだ。
「ああ、はい…」
アノ一件とは雷の愛人との接触で、雷の妻へのアリバイ[現場不在証明]をするのが、いつも田力の役割だったのである。田力にとっては、どうでもいい…一件だったから、軽く身から左へと往なした。
どうでもいい…と軽く物事を往なせば、物事は相撲のように割合、簡単に土俵を割るもののようです。^^
完




