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(42)尾畑の正月行事

 尾畑は正月が過ぎた頃、今年もやり終えたな…と、()れた茶を(すす)りながら一人、(えつ)に入っていた。むろんそれは、心で思う尾畑だけの雑念で、他人はどぉ~とも思わないことだった。尾畑がやり終えたな…と思うのは、例年、慣性のように繰り返される尾畑独自の正月行事である。<1>正月ものの準備[物品、食品など、すべてのものを含む]→<2>注連(しめ)飾り→3<>仏壇・神棚飾り→<4>若水汲み→<5>元旦供え→<6>七草供え→<7>宵戎飾り→<8>小豆正月供え→<9>注連縄外し→<10>正月飾りの左義長持参→<11>仏壇・神棚飾り終い…と続いた。誰が、そうしろっ! と命じた訳でもなく、歳末ともなれば、しなければ…と尾畑が思う彼独自の慣性で繰り返される雑念だった。しなければ、何か悪いことが起きそうな…とか、(こな)すことで一年が事もなく過ごせるぞ…といった雑念が尾畑の胸中をかけ巡るのである。そんな想いが例年続くとなれば、これはもう単なる雑念ではなく、雑念の積み重ねによるレギュラー的な慣性だった。この慣性は、メビウスの輪、パブロフの犬のように、後の世に尾畑の正月行事と呼ばれて語り伝えられることはなかった。残念っ!^^


                  完

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