34/100
(34)違い
本物と偽物の違いはどこにあるんだ?…と、縞馬は雑念を浮かべていた。縞馬の考えによれば、本物だと信じたモノが本物で、人が偽物だと言おうと、本物そのモノに思えたからである。ただ、そう考えれば、世間の常識が否定されることになる。縞馬の雑念は益々、増幅されていった。
「島馬さん、お車ですよ…」
ホテルのロビーの受付係からそう言われ、縞馬は慌てて応接椅子から立ち、ホテルのエントランスを出た。
玄関にはタクシーが今か今かと縞馬を待っていた。
「お客さん、どちらまで…」
「駅までお願いします…」
そう返すのが、縞馬にとっては関の山だった。浮かぶ雑念は本物と偽物の違い・・である。
「へへへ…私ね、運転歴、三十年の本物の運転手です…」
そういった途端、危うく信号ミスでタクシーは十字路を横切りかけ、寸前で急停車した。縞馬は、『本物も大したことねぇ~や…』と考えないことにした。
まあ、本物と偽物の違いは雑念を浮かべないのがいいでしょう。^^
完




