(2)禍福(かふく)
サッカーのW杯、カタール[ドーハ]大会が華やかに開催されている。
サッカー好きの蹴鞠はドイツ戦の劇的勝利に酔いしれていた。ところが、である。その喜びも束の間、二日後に何気なく見たパソコンのネット記事で代表チームがコスタリカに敗れたことを知りたくもないのに知らされ、すっかりショボくなった。蹴鞠には劇的勝利によって予選突破は確実…という決まりもしていないこの先の大会予測の雑念が、すでに脳裏に刻まれていたからである。
『そ、そんな…ば、馬鹿なっ!! ぅぅぅ…』
これが代表チームの敗戦を知ったときの蹴鞠の心情である。だが、予選敗退はまだ決まっていない…という心情もほんの僅かだが残されていた。
『禍福は糾える縄の如し・・と言うじゃないかっ! だとすれば、次は勝ちだっ!!』
蹴鞠の雑念は、残りの一試合を諦めない方向へと舵を切っていた。
そして後日、蹴鞠の希望どおり、試合は劇的な結果を迎えたのである。
と、まあ、自分に関係ないことに一喜一憂する禍福の雑念に明け暮れる蹴鞠のドーハの喜劇の日々が今日も続いている訳です。^^
完