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 とある冬の二月上旬である。今の春から高校二年に進級する両角(もろずみ)清斗(きよと)は雑念に悩まされていた。理科系に(かじ)を切るか、文科系に切るか…の選択で、である。理科系で受験する学部は言わずと知れた、工学、医学、理学、農学などの学部で、文系は経済学、文学などの学部だ。しかし、両角は百手先を読んで決断し、その雑念から解き放たれた。

「どうするんだ、両角?」

「理科系にします、先生…」

 進路指導の教師、飛崎(とびさき)からそう言われた両角は、即座にそう答えた。

「理科系か…。お前、それでいいのか? こんなこと言っちゃなんだが、お前、おそらく全部落ちるぞ」

「えっ!? なぜです、先生?」

「なぜって、お前。物理がコノ点で数学がソノ点なんだぞ。こんな点で受かると思ってるのか?」

「受けてみないと分からないじゃないですか…」

「ああ、そらまあそうだが、お前の場合は100が100とも無理だ」

 飛崎はピシッと言い据え、大手した。

「ははは…、先生、その心配でしたら無用です」

「どうしてだ?」

 飛崎は不思議そうな表情で両角を(うかが)った。

「理由はありません…」

 両角は無意味な返答で飛崎を打ち取った。二枚の駒の角道が交差して()いていたのだ。その狭間(はざま)に飛崎が、まんまと飛び込んだ、という寸法だ。

 だが、現実は過酷で(きび)しい。翌々年の春、両角は飛崎が言ったように滑り止めの大学を含め、(すべ)ての大学に不合格だった。ところがである。この話には、まだ先がある。両角の将来には二枚の角道が利いており、三種ながらも国家公務員試験に通ったのである。両角は公務員として就職し、翌年の大学二部に見事、合格した。よかった、よかった!^^

 選択で悩んで雑念を湧かすことなく、100手先をよく読んで決断すればいいようです。^^


                  完

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