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37歳のリサイクル人生  作者: 朝霧名月
9/50

37歳、磨く

「ありがとございました~またおねがいしや~す」


バイトを始めて10日が過ぎた。

リサイクルショップってのは、一般的なイメージだと

カジュアルなんだったら、玩具やゲーム、家電や家具を思い浮かべるだろうが


俺のバイト先は主に、工具と釣り具を扱っている。

最初は、需要的にどうなんだろ? と思っていたが

これが、案外知れば知る程

「なるほど」

と思わず目からうろこが落ちる。

これは、意外な隙間産業だと


因みに、どちらかと言うと

工具だ。


これなんだが

趣味の日曜大工と言う以外に

やはり商売道具。と言うのが大きく。


例えば、工具の中にも

国産で名メーカーみたいなのがあって


例えば、100均で売ってる様なレンチ(なんかよくアラレちゃんとかでせんべえさんが持ってるキュウッてするやつ)とかでも

KTCとかいうメーカーだったら、中古でも600円位で売れる。

でも、店に持ち込んでくる人は

本当もう片付けたくて仕方ない家族で、本人は仕事を辞めているor亡くなっている等の場合が多い。

だから、まとめて処分価格でも売ってくれるのだ。


そして、工具の多くは故障品でも、値を落とせば案外欲しがる人も多い。


因みに、修理など専門的で時間のかかる効率はうちの店では行わない。

とにかく、磨き磨いて、なるだけ早く商品にする。

そして、店の品ぞろえを常に飽和状態にする。


買いに来る人も職人で目利きできる人なら、一割くらい得ができる様に、値段を抑えておくと人気商品(主にマキタ)のは直ぐに売れる。


そんなこんなで

店長が引き取った大量の工具(主に、トンカチとかのアナログ工具)を俺は朝から磨きまくっている。


まあ当たり前だが

釣り具とかと違って工具は汚れ方が尋常じゃない。やはり仕事に使っているのでコレクションの様な保存をされていないからだろう。

それを「汚い」と思われないまでに磨いてやる事で、これらはまたそこに赴き、またボロボロになるのだ。

はは、そう言えば

なんか似たような奴が居たな。

看護の専門学校に行って

友人もつくって、順風満帆に資格を新卒で獲って

最初の職場の病院では「選ばれて」就職までした。


でも、そこで挫折して

あっさり、職場からも見放されて

でも、我慢して

気が付いたらすり減ってて


少し休んで

働く場所を変えて


ぼちぼちと頑張ってる奴がよ。


なあ

お前等もまだやれるって

まだ

運命の場所に行ってないって

思ったりしてんのか?


なんて


「いらっしゃいませ~」

マスクで蒸れる口の周りを舐めながら


俺は力いっぱい臭っいトンカチを磨くのだった。

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