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37歳のリサイクル人生  作者: 朝霧名月
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37歳、身につく

ぼんやりと

ぼんやりとぼやかしてたけどね。


元々は、俺、新卒で正看護師の資格を取って働いてたんだ。

色々と合わせると臨床現場は3~4年くらいのもんだけどね。


最後の新卒時に就いた病院でさ。

この仕事、無理だってなったんよ。


この時の一番の思い出はさ。

辛かった事とかじゃなくて

「頑張れ」「出来る」って、あんまり甘えを許してくれん両親がさ

「辞めていいよ」って即答してくれた時の事なんよな。


あれが、相当救われたのを現在でもハッキリと憶えてるんよ。


んで、なんだかんだあってさ

病院以外の現場で看護師、やってて

結構意識高くて、若い頃は休日に病院の研修とか職場に頼んで行ってたんよ。


いつから止めたんかな。


看護師になってさ

良かったんか悪かったんかは解らんけど

一番身に付いたスキルは

日常の行動から異変に対して当て嵌まる病気が解るってのがあってさ


デイサービスとか、病院じゃなくて家で過ごす高齢者の所に行くと

まあ、見える見える。

でも、デイサービスは介護の現場だから、看護師の医療行為は求められてないのよ

俺は男だったから、特にパートのおばちゃん介護士が楽に仕事を終えれる様に、しんどい汚い仕事をただただこなしてほしいって

んで、クタクタになった時に「あの人、様子おかしくないですか? 」って

いや、そう思ってたんなら、看護師を入浴介助に行かさずに対応できる現場に置いててよって。


そんな時、ある利用男性を解除してる時に、嫌な異変を感じた。

「……こんなに、お腹でてましたっけ? 」

その男性は70代、そんなに太っていたイメージはない

「最近、便が出ないからかな? 」


いや、これは


腹水だろう


以前の1カ月前にその人を入浴介助した時は絶対にこんなじゃない、見てたら絶対気付く。


とりあえず、施設長にその事を報告するが

「え? そんなに急を要しますか? 」

「折角楽しんできてくれてるし、あの人病院キライでしょ。不安にさせちゃうかも」

と言う事で、結局ケアマネに報告のみになった。


10日後くらいに、その利用者さんは亡くなった。


腹水って

出て来た時にはもう相当な内臓のダメージが大きくて

ある意味

亡くなる前に見られる症状って覚えさせられてた。

これのやっかいなんが

普通に生活しててもある日、ポンッと出てくる事なんよな。

もう一度書くけど、例外を除いてかなり肝臓とかの重要器官の異常を示す症状だからさ

出てきたらほとんど手遅れなんよ


んでさ


俺の子ども時代って、丁度ギリギリ母親は専業主婦って時代だったんよな

ただ、うちの両親は共働きだったんで母方の祖父母の家に預けられてた。

学童時代は普通に両親より長い時間一緒に居た。


特に祖父が俺に色々熱心に教えてくれてな。

それが

全部、遊びなんよ。

亀仙人みたいな祖父ちゃんだった。

小学生高学年くらいになると、同じくらいの歳の子と遊ぶ機会は多くなったけど27歳くらいまで普通にじいちゃんと遊ぶ事もあったし、手加減もなく普通にじいちゃんも相手にしてくれていた。


将棋に野球。映画に怪談。歌に狂言に。

そんなじいちゃんが入院したってんで

32歳位の時か。お見舞いに行ってさ。

「病院食が意外に美味い」って喜んでくれてるじいちゃんさ。

偶然にも見舞い時間の時に清拭の看護師さんが来てね。

それで祖父ちゃんの身体を拭いてくれてた時

腹水が見えちゃったんよ。


母ちゃんにも

勿論、祖父ちゃんにも何にも言えずにさ。

何の為に看護師だったんだろうなって。


今でも何も伝えなかったあれが

正しかったのかって悩んでる。


見えなくていい事って本当にあるんだなあって

思うのよ。


でも、身に付いた事って

どっかで巡って

自分の人生に、なんかしてくれるって

思いたいんよね。


と、暗くなったので

丁度昨日、バイト先のリサイクルショップで身に着けた事を一つ。


電気系工具


意外に売れる。

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