セイテン
前回までのあらすじ
普通の男子高校生の俺は交通事故にひかれ死んだ。
そして転生を果たしたのだ。
その舞台はゲームの世界。
その先にはキラキラな異世界ライフが待っていると思いきや
待っていたのはラスボスであった。
と、とりあえず逃げるか…
そう思った時だった。
俺に向かって炎が飛んでくる。
「うわあああああ」
もう死んでしまうなんて。
流石に早すぎる。
せっかくゲームの世界に転生したのに…
まあこの世界に未練はないけど
でもここでだったら魔法が使えたかもな…
あ、あれ意外とダメージ喰らうの遅いな。痛みも感じないし。
回復魔法でもかかっているのか??
俺はまっすぐ前をみた。
そこには白衣をまとった女の人がいた。
その女は炎から俺を守っていた。
「なにか自分の身を守るスキルは持っていないの?」
「助けてくださり本当にありがとうございます。この恩はいつか返します。スキルですか…?」
スキル?どうやったら自分の取得しているスキルが分かるんだ?
「何?スキル使ったことがないの?下の方にボタンない?」
『使ったことないってことは大した事なさそうね』
何だこの人俺の事を守りながらスキルの説明してる。ラスボスだぞ…強っ
こんな人ゲームに出てきたような気がしないがこの人だけで倒せるんじゃないか。
というか大した事ないのは酷いぞ!
あれ?視界になんかボタンがある。これのことを言っているのだろうか。
ポチッ
スキル一覧?これを見れば分かるのか?
死への誘い?なんじゃそれ。
「スキル何かあった?」
「あっはい」
「言ってみて」
「死への誘い?ってやつを取得しているみたいです」
『聞いた事もないスキル。どんな効果かしら』
「な、何ですか?このスキルあなたでも聞いた事がないようなスキルなんですか?」
「なんで思っていたことが分かるの!?話しかけていないのに。」
「えっ!?話してましたよ!!」
「心の声が漏れてたのかしら。まあいいわそのスキルを発動させなさい」
「えっ!?」
そんなこと俺に出来るのか?
えっゲームではこの言葉を叫んべば発動出来たけどそんな簡単に発動させられるのか?
とりあえずドラゴンに狙いを定めて…
「死への誘い」
この言葉を叫んだ瞬間天からブレイズドラゴンに向かって数多の手が降りてきた。
それは名前からは想像がつかないくらい神秘的な光景だった。
数多の手はブレイズドラゴンを包み込み天へと登った。
「綺麗だ…」
先程の女性が呟いた。
本当に綺麗だと思う。
気がつくとドラゴンは居なくなっていた。
さっきまでの恐ろしい気配もすっかり消え去っていた。
「あのドラゴンが死んだ…?」
「なんか倒しちゃったみたいです…」
ウォォォォ!!
歓声が上がった。
そこらじゅうから感謝の声が聞こえる。
いい事するって気持ちがいいな。
「本当に君が倒したのか?」
『こんな貧相な格好をしているのに!?
人は見掛けで判断出来ないな。』
失礼だな。私服が貧相なんてことは…
いや待てなんだこの服。
ズタボロじゃんか。
この服だったら貧相って言われるのも頷れるかも。
それにしても声に出すなんて失礼な。
あれ?でも…
「ありがとう!」
『こんなやつが?信じられない』
「すごいわね!」
『恐ろしい力だわ』
ん?おかしいな?同じ人から複数の声が重なり合っている…
あーもう頭痛い。ちょっと休もう。
あそこの木で休もうかな。
「あらどこに行くの?」
あ、さっきの女性。
「ちょっと休もうかと」
「そうなのね。
少し話があるから着いて来てちょうだい」
自分勝手だな…
休みたいんだけど。
まあいっか。少しぐらいなら。
「分かりました」
なんか建物がある。
なんか見た事あるようなないような…
うーむ
思い出せない。
「綺麗な建物だろう」
「はい」
「年齢は?」
『まあ年齢なんて関係ないけど』
じゃあなぜ聞く?
「16です」
「いい年頃ね」
よく分からないが
「ありがとうございます」
「セイテンという魔王討伐部隊に入ってもらいたい。」
魔王…セイテン…
あ、思い出した。
この施設「ドラゴンデスアンビシャスセカンド」の予告で見た建物とそっくりだ。
つまりここは
「ドラゴンデスアンビシャスセカンド」の世界なのか。セカンドの知識はないけど大丈夫かな。
「いやでもそんな実力ないですし…」
変なことには巻き込まれたくないし…
「それは心配する必要はない。若手を育てるのだって役目の1つだ。私もここで指導者として働いている。」
「でも…」
「恩を返すときが来たぞ」
うっ
俺は余計なことを言ってしまったみたいだ。
まあでも普通すぎる前世、このゲームの世界くらい目立ってみてもいい気がしてきた。
「分かりました。でも、そんな期待しないでくださいよ」
「ありがとう」
『さっきドラゴン倒しておいて期待しないでなんて出来るわけないだろう』
「さっきのはまぐれで」
「ん?なんか言った?入隊の手続きはこちらに任せて」
「ありがとうございます」
まさか俺が魔王討伐部隊に入ることになるなんて考えもしなかったな。
どうせ魔王なんて倒せっこないけど。
まあ頑張ってみるか。
これから戦争がまきおこるなど、この時の俺には知る余地もなかった。
「へぇーあのブレイズドラゴンを一撃で…
これから面白くなりそうね!!
とりあえずあの方に報告報告!」