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捜索の片手間に異形の死骸の処理班を呼んで、諸々の雑務もこなしながら、そうしてヴァイス達はおよそ一時間程行方不明者の捜索を続けていた。
異形の出現場所を中心に、その周辺をくまなく探したが、とうとう行方不明者らしき人は見つからなかった。
「……お兄様。そんなに気負うことは、ないですよ」
優しげな声が聞こえてくる。だがそうしてヴァイスに気遣いの言葉をかけるスティルの顔も、決して明るいとは言えない様子だ。きゅっと口を横一文字に引き結んでいる。
分かっている、分かっているのだ。行方不明者が出たことも、その彼らが見つからないことも、自分のせいではないということは。
ヴァイスは余力があったからこそ、こうして捜索に足を向けることができているのであって、それも必須の行動ではない。元々彼らの仕事は「異形の討伐」で、人探しではないのだから。
それでも悔しさやもどかしさを感じずにはいられなかった。ヴァイスの頭に浮かぶのは、考えてもどうしようもない後悔ばかり。
次第にヴァイスは俯いていき、朧げな視界に黄枯茶の地面が映る。
「——確かに、既にこぼれたもんは拾えねえ。けど、お前が救った命は確かにあるだろ」
不意に、ディアンが沈黙を破って口を開く。その言葉に反応して、ヴァイスはばっと顔を上げた。
恐ろしいほどに綺麗で、悠然とした柘榴の瞳がヴァイスを捉えていた。
ヴァイスは、ひゅっと息が詰まる思いになる。自らが吸い込んだ息で喉が冷える。それに釣られるようにして、ヴァイスの思考はクリアになっていった。
ディアンの言う「命」とは、きっとニーファのことなのだろう。胡桃色の絹をまとめたような髪を揺らす、赤蘇芳の煌めきを見せるあのまっすぐな少女。
彼女は確かにヴァイスが救った「命」だった。
ヴァイスはそれを思い返しながら、双方の緋に心を解きほぐされるような感覚を抱く。
「あとは、他の奴らに任せよう。俺らの仕事じゃない。……引き上げるぞ」
ポンと慰めるように肩を叩かれた。そして彼はそのまま街のある方向へと歩き出す。
「お兄様」
しばらくそれを眺めるだけだったヴァイスに、スティルが声をかけてきた。優しく繊細な声色と、蓬を纏ったその視線。
ヴァイスは、泣き出してしまいそうになるのをグッと堪え、弱々しくもしっかりと自らの細い足を動かした。




