★8 リベンジ成功!!
よろしくお願いいたします。
順番が回ってきたので熱唱した。気持ちよかった!
隼人が場を盛り上げてくれようとしてくれたけど無駄だった。
波多野がヤジをとばしまくったから。
「童貞くん、カッコいい~」
「陰キャ、大変身~」
「調子にノッてま~す!」
それなのに、峰の熱い視線が気持ち悪い!
「真吾くん、歌もうまいんだね。カッコいいよ~」
座ると峰が囁いてきて、手を繋いできた。
痩せすぎていて、指が骨張っている。
香水の匂いもキツすぎるし・・・ないわ~、ない!
「ありがと。」
「ねえ、二人で抜け出ようよ。」
「えっと、波多野のヤジは間違ってないけど、いいの?」
「バカの言うことなんて気にしちゃダメだよ~」
・・・険悪な別れ方しちゃったのかな?
コートを着ながら、室内をみまわした。
「がんばれよ!」
隼人が皮肉な笑顔を浮かべていた。
波多野和樹が憎々しげな視線を、穂崎花菜が心配そうな視線を向けていた。
・・・
手を繋いで通りを歩いた。
人が少ない所で立ち止まり、向かい合った。
「峰さん、今日はありがとう。それで、もし良かったら俺と付き合ってくれない?」
嘘告っていうのもドキドキするな!
峰に、大成功とか言われたらどうしよう・・・
「はい・・・」
頬を染めて、嬉しそうに微笑まれた。
「全部、うそ。」
「えっ、なに、なに?」
変らぬ笑顔で言ったから、言葉は分かったけど、意味が理解出来なかったようだ。
嬉しそうに微笑み続けている!
「だから嘘だって。君に嘘告されたんだよね、中学のとき。」
「えっ、あっ!」
やっと思い出したようだ。
やっぱり、やった方はすぐに忘れちゃうんだな・・・
峰の表情が毒々しくなってきた。
「・・・陰キャだから、陰湿だね。」
「うん、4人で嵌めたり、録画したり、晒したりはしないけどね。」
「うるさい!お前なんか金づるとしか見てないわ!」
「谷垣と沖代からそういう人だって聞いた。」
「うそつくな!」
「尋ねてみたら。じゃあね。」
振り返って歩き始めると、
「クソヤロー!」
峰の叫び声が響いた。
・・・
カラオケ店の前までとぼとぼと歩いて行った。
全部撃墜してやったけれど、精神的に疲れ切っている。
「あっ、桶島くん、なんで?」
穂崎花菜が一人で帰ろうとしていた。
「穂崎、待てよ!」
波多野和樹が出てきた。ラスボスだ!
「ついてこないで!」
花菜が波多野に対して嫌悪感をあらわにした。
花菜をかばって波多野の前に立ち塞がった。
喧嘩なんて10年以上したことない。
やっぱり怖い!だけど、コイツだけには勝つ!
「じゃまだ。なんでここにいる?峰と仲良くしてろ!」
「穂崎さんがいやがっているけど・・・」
「女の前だからってかっこつけるんじゃねえよ。
童貞のくせに!クソ陰キャ!調子に乗るな、ボケ!」
「俺をいくら貶めても、お前はクズのままだよ。」
「な、な、俺がクズだと!」
「穂崎につきまとっているのをVチューブにあげるわけ?」
「うるせえ!」
「登録者100人もいないのに?」
「始めたばかりなんだよ!」
「仕事と同じですぐに辞めちゃうんだろ?」
「な、なん・・・黙れ!」
近づいて来て、ねめ回された。
ちゅってしてやろうかな?
「さっきカッコ良く歌っていたよね。だれも聴いていなかったけど。」
「殺すぞ!」
「殺すって中学生みたいだね。」
キレた波多野が拳を振り上げた!
左腕でパンチを防ごうとしたが、殴られてしまった。
けっこう痛い。
「桶嶋くん!」
穂崎が悲鳴をあげた。
左右のパンチを繰り出された。両手でガードしたけど、痛い!
「ふん、陰キャがはしゃぐんじゃねーよ!ははは!」
けたたましく笑う波多野のむこうずねを革靴の先で蹴ってやった!
「痛い!」
奇跡的にうまくあたって、波多野が悲鳴を上げて頭が下がるタイミングで、
鼻に頭突きをかましてやった。
憎悪にまみれた視線をくれると、波多野はわめき声をあげながら、
弾けたようにタックルをしてきた!
うまく躱してはたき込むと、波多野は置かれてあったゴミ袋の山に突っ込んで、
大げさに悲鳴をあげた。
まわりが騒然としはじめると、ピピピと笛の音が鳴り響いた!警察だ!
鼻血を流しながら波多野は立ち上がり、
俺に向かって訳の分からない言葉で威嚇を始めた。
「臭いから近づくなよ!」
俺の言葉にキレて、波多野は殴りかかろうとしたが、警察官が立ち塞がった。
「おい、きみ・・・」
「邪魔すんな!」
波多野が警察官をぶん殴った!
もう一人の警察官が怒りの声をあげて、波多野に相対した!
俺は振り返り、花菜の手を掴んだ。
「逃げるぞ!」
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