★6 三人撃墜!
よろしくお願いいたします。
また、明日投稿します。
峰亜津美と谷垣美月、沖代由利子の三人から質問攻めにあった。
「研究って大変なの?」
「少し前までは研究室に住んでいるのかってぐらい研究に没頭していたけど、
今は、スタッフに任せることが出来るから・・・」
「凄い!大卒1年目でそんな立場って凄くない?」
「でも、成果を出さないといけないんでしょう?」
「もう出しちゃったからね。首になっても特許料で大丈夫だと思うけど・・・」
「スゴっ!特許料って!」
「ねえ、彼女いるの?好きな女の子は?」
「今はいないねえ~」
「いたことねーだろ!」
ニヤニヤしている隼人のツッコミが入った。
「なんで、そこだけ喰いついてくるんだよ!」
「・・・ひょっとして男が好きなの?」
隼人と俺を見比べながら峰がからかってきた。
「なんでだよ!」
また三人から色々と話しかけられ、爽やかな笑顔で答えてやった。
・・・
「うお~い、じゃあ、2次会のカラオケに行くぞ~」
立ち上がった隼人が声を掛けた。
「行くよね?」
「うん、行くけど、ちょっと職場に電話しないといけないみたい。
先に行ってくれる?」
「うん、隣を開けておくね!」
峰亜津美は俺の答えを聞いて、ようやく腕の拘束を解いてくれた。
・・・こんなに話しているのに思い出さないのかな?
覚えているけど、大したことないって思っているのかな・・・
俺ははらわたが煮えくりかえっているのにな!
・・・
電話が終わって居酒屋の外に出ると、前原小春が待っていた!
「桶島くん!今日は楽しかったね。
・・・もしよかったら、他の店に行かない?」
上目遣いで、蠱惑的なお誘いだ!
「う~ん、カラオケに行くって言っちゃったから。ゴメンね。」
誠実そうな笑顔で応えた。
「ざ~んねん!じゃあ、また今度、ご飯を食べに行こうよ!」
「行かない。」
誠実そうな笑顔はそのままだ。
「えっ、なんて?」
言葉は分かったけど、意味が理解出来なかったようだ。
「行かない。」
「えっ・・・なんでダメなの?」
前原の顔が少しだけ曇った。少しだけな。
「・・・知っている?俺がバスケ部辞めた理由。」
「えっと、レギュラーから外されたせいでしょ?」
「それもあるけど、一番は誰かさんにストーカー呼ばわりされたからだ。」
顔を近づけ、前原の目をのぞき込んだ。
前原の顔が真っ青になった!
「嘘!そんなことしてない!」
「俺はスペアで、キャプテン田中が本命だったんだろ?
で、田中がちょうどフリーになったのを知って告白してみたら、俺との仲を訊かれて、
俺をストーカーに仕立てたんだ。
ストーカーの話は田中がバスケ部に広げてくれたよね。思い出してくれた?」
前原の顔は蒼白となっていた。
「安心してくれよ。俺は、君のことを、ストーカーだ、って言ったりしないからさ!じゃあ。」
よしっ、まずは一人!
・・・
谷垣美月、沖代由利子がカラオケ店の前で待っていて、
俺を見つけると笑顔で近づいてきた。
「ねえ、オシャレなバーがあるから行こうよ!」
「ええっと、峰さんは?」
「いいじゃん!三人で行こうよ!」
谷垣美月が右腕を、沖代由利子が左腕を優しくつかんだ。
「カラオケ行くって言っちゃったんだけど・・・」
優しく腕を振りほどいた。
「亜津美って、結構、性格悪いよ?私たちの方がイイって!」
蕩けるような笑顔を浮かべた谷垣が俺の前に立ちはだかった。
「へ~、どんな感じなの?」
「男はとっかえひっかえだし、二股当たり前だし。
私たちのカレシは奪ったことないけど、彼女持ちの男の方をよく狙っているよ。」
興味津々になった俺に谷垣は力説し始めると、いちいち沖代は頷いた。
「・・・俺は彼女持ちじゃないからダメじゃないの?」
「高スペックだし、メチャクチャ狙っていたじゃないの!
でも、貢がせるだけ貢がせたらポイかもよ?」
でもこんなに悪口を言うなんて、友達じゃないのか?
「それが本当なら最悪だね~
でも、性格悪いのは二人も一緒だろ?
こんなに友達の悪口言うし、何より、峰が俺に嘘告したとき、お前ら、俺をあざ笑っていたよね。」
乾いた笑顔を固定したまま、冷たく言い放った。
二人から笑顔が消えた。
「・・・あ、あんた、あ、あんなの冗談でしょ。いつまでも覚えているって、キモいわ。」
一瞬だけ呆然としたが、谷垣のたぬき顔が怒りに変わっていった。
「その動画を晒しといて、冗談で済ますなよ!」
少し大きな声をあげて、さっと拳を振り上げた。
「ひっ!」
谷垣と沖代が体を縮こまらせた。
頭をポリポリとかいた。
「じゃあな。」
ふう、三人撃破!
部屋に入ると、波多野和樹がいちいちビシッとポーズをキメながら熱唱していた。
誰も聴いていないけど・・・
そういや、波多野にはどうリベンジすればいいんだ?
コイツが嘘告の黒幕だけど・・・どうしよう?
右側から穂崎花菜、左側から峰亜津美が俺を手招きしていた。
近寄りたくなかったけど、峰亜津美の隣に座った。
「遅いよ~何していたの?」
笑顔の峰は口を尖らせた。
「店の前で、谷垣と沖代にオシャレなバーに行こうって誘われた。
断ったら、怒って帰っちゃったよ。」
「むう、抜け駆けってズルい!でも真吾くん、誑かされなくってエラいね!」
笑顔が大きくなった峰に頭をナデナデされた。
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