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3/11

★3 同窓会

よろしくお願いいたします。


明日投稿します。

5月の最初の土曜日に中学校3年の同窓会が初めて開催されることになった。


凜々花に言われてから体を鍛えて、猫背にならないよう気を付けた。

髪の毛を短くし、コンタクトに替え、オーダースーツで武装して出陣だ。


三宮駅前の居酒屋で18時からだったが、コンビニで神社のビジュアル本を衝動的に買って

しまった。一刻も早く読みたくなって、まだ17時なのに居酒屋に行ってみた。


6人掛けのテーブルが4つある誰も居ない個室に案内された。


誰もいなくてホッとしたけど、急に緊張してきた。

リベンジか・・・


最初に撃墜されたのは、幼なじみの穂崎花菜にフラれたことだ。

ん?フラれただけだよな・・・好きじゃないから断っただけ・・・

単なる自爆だ!


2回目に撃墜されたのは、バスケ部の前原小春にストーカー扱いされたこと。

何度思い出しても腹が立つ!


3回目に撃墜されたのは、嘘告されてOKしてしまい、

その場面を録画され、晒されたこと。



嘘告した峰亜津美、動画を撮って晒した波多野和樹と谷垣美月、

嘘告を見てあざ笑った沖代由利子。コイツらが本丸だ!


ヤツらに気に入られ、フッてあざ笑うことが出来るだろうか・・・


誰かが挨拶しながら引き戸を開いた。

「こんにちは~。」

幼なじみの穂崎花菜だった。


「・・・久しぶり、早いね。」

正直、動揺したけれど、なんとか自然に声が出せた、ほっ。


花菜は俺しかいないことに驚いたのか、挙動不審になっていた。

「えっ、し、桶島くんだけなの?」

「6時からだからね~」


「えっ、5時からでしょ?」

花菜はびっくりしながら、コートを脱いでハンガーにかけた。


「6時からだけど・・・誰も来てないでしょ。」

「大失敗だよ・・・」

がっくりしながら俺の右隣にトンと座った。

なぜ隣!



・・・


花菜とは中学校3年の時に同じクラスになったけど、話したことは・・・ないな!

高校も同じだったけど、同じクラスにはならず縁は切れたままだった。


・・・しかし、どんどん大人っぽく、キレイになっているな。


花菜は俺を上から下まで見ると少し驚いたようだった。

「・・・凄く変ったね。」


「・・・わかる?社会人デビューだよ。

この前、凜々花にいっぱいダメ出しくらって必死で直したんだ。

・・・穂崎さんはますますイイ感じだね。」

「ありがと。・・・桶島くんもカッコいいよ。」


みんなが来るまで1時間もあるので、生ビールを頼んで乾杯した。

緊張しているので、早いところ酔ってしまおう。


「う~ん、美味い!」

「だね~」


心底美味そうに生ビールを飲んだ後、こちらに向いてほんわか笑顔で話しかけてきた。

「桶島くんはソニック社なんだよね、研究職で働いているんだよね?」

「なんで知っているの?」


「おばさんがワンちゃんの散歩しているときに出会ったら、色々話してくれるからね。」

「そうなんだ。」


「うんうん、研究ばっかりしていて、家に全然帰ってこないとか、

彼女どころか友達もいないんじゃないかっていつも嘆いているよ。」

「・・・友達はいるよ。」


「彼女はいないんだね。」

嬉しそうだ。いや、優越感に浸っているのか?


「・・・そういう、穂崎さんは?」

「小学校の先生になったんだよ!」


「へー、どんな感じなの?」

ホントは彼氏がいるか訊いたんだけど、うまく躱されてしまった。


「2年生の担任をしているんだけど、子どもたち、可愛いよ~

子どもたち見ていたら、小学校時代の桶島くんや射場くんたちを思い出したよ。」


「毎日のように遊んでいたよね。」

「覚えているかな?初めて射場くんと同じクラスになって時にね、射場くんが私に絡んできたの。」

嬉しそうに話していた花菜だが、何やら声を潜めてきた。


「え~、そんなことあったかな?」

「うんうん、そしたら私を守って桶島くんが射場くんとケンカしたんだけど、結局、引き分けでね。

親友になっちゃったんだよ。・・・私を捨ててね。」

最後の言葉を放つとニヤニヤしていた。


「いやいやいや、ずっと三人で一緒に遊んでいたでしょ!」

俺を捨てたのはアンタだろって思った。


・・・子どものころの話に花が咲いた。


二人っきりになったときはどうしようって思ったけれど、

このまま誰も来なくてもいいなって思っていたら、幹事の二人が到着した。


射場隼人とその妻凜々花は俺たちの前に座った。

「おう、早いな。」

「ああ、穂崎さんは1時間も間違えたんだ。」

「ちょっと、恥ずかしいじゃない!」

花菜に肩を優しく叩かれた。


「桶島、ちょっと立ってみて。」

凜々花の目が今日も厳しい。


上から下までジロジロと眺めると評価を下した。

「そうね、前は下の下だったけど、今日は中の中ね。」

「凜々花の言うとおりにしたんだけど、中の中か~」

がっくりしてしまった。


「ちょっと厳しくないか?」

隼人が異論を挟むと凜々花は色をなして反論した。

「隼人は桶島に優しすぎる!」


「だから、俺に嫉妬するなよ!」



同級生たちが大きな声を出しながら次々と到着した。

「花菜、向こうの席に引っ越しするよ。」

「えっ、そ、そうなの。」

凜々花が花菜を連れて隣の席に移ってしまった。

・・・残念だ。


俺の左隣には前原小春が座った。うおっ、緊張感が甦って来た!


前原は小柄で茶髪を肩まで伸ばしていた。

中学校の時はショートだったよな・・・

いつも笑顔で可愛かったけど、大人になった今も可愛いな・・・


最後に峰亜津美と谷垣美月、沖代由利子の三人組が個室に入ってくると、

「こんにちは~。あれっ、射場、この人だれ?こんな人いたっけ?」

峰亜津美が俺を指さしていた。


「桶島真吾だよ。久しぶり。」

俺は笑顔を向けた。


「桶島くん!え~、あの、いん、小さかった?

背が高くって、すっごくカッコ良くなっているじゃない?」

「ホントだ!」


よしっ、凜々花にひどいこと言われたけど、そのアドバイスは正しかった!

つかみはOKだ!



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