★2 リベンジしようぜ!
よろしくお願いいたします。
「おい、リベンジしようぜ!」
たった一人の親友、射場隼人のセリフで、言われたのは3回目だ。
最初は高校卒業後の5月の連休。阪大理工学部に入学した時。
2回目は去年、隼人が結婚することになった時。
3回目の今日は、大手電機メーカーのソニック社の開発部門に就職が決まったから。
昨日、自分が二人で飲もうって誘ったくせに、隼人は新婚の奥さん凜々花を連れてきていた。
彼女も中学校の同級生だ。
「お前は俺の永遠のライバルだろ?それが今は、こんなにカッコ悪くなっちゃって。」
「ライバルだったのは小学校の頃だけだよ。」
「なんでもOKの桶島が、俺の結婚式の友人代表のスピーチを断ったし。」
「なら絶交だっていうから、ちゃんとスピーチしたよ。」
「うるせえ!チャンスなんだよ!
俺たちの結婚式と2次会に呼ばれなかったって、アイツらから文句言われたんだ。
同窓会をやるぞ!勝ち組になったお前なら、きっと吸い寄せられてくるぞ~
リベンジしたいだろ?」
「別に・・・」
「リベンジしたいだろ!」
「・・・どうかな?」
「リベンジしなければどうなるか・・・」
「ええ~、わ、わかったよ。」
「よし、やるぞ!」
「高学歴、高収入、背も高い。この若さで3高ってホントにいるのね。
でも外観が上から下までダメね。全くダメ!ダメったらダメ!このままでは絶対、無理!」
今まで黙っていた凜々花が一旦持ち上げた後、思いっきりたたき落としてきた!
「ええ~」
「まず、その猫背がダメ。姿勢を良くしなさい。
ひ弱な体もダメ。ちゃんと鍛えておくこと。
そのイケてないメガネもダメ。コンタクトに替えたら?
そのボサボサで寝癖だらけの髪型もダメ。アンタなら短い方がいいんじゃない?
ニキビがあるけど、ちゃんと清潔にして治しておくこと。
陰キャ丸出しのファッションもだめ。
スーツで来なさい。でも吊しなんて買ったら駄目よ。
スーツにあったシャツと靴も用意しなさい。」
厳しい表情で次々と命令が下された!
マジで上から下まで全部だ!
「・・・泣いていいか?」
「泣く閑があったら、身だしなみを整えな!」
「おい、俺、凜々花に何かしたか?」
隼人に目を向けると、隼人はさっと目をそらせた。
「隼人にこんなに心配させるなんて、このクズ!」
「男に嫉妬するんじゃねーよ!」
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