★11 最高の笑顔
最終回です。
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隼人と凜々花が帰ってしばらくして、店を出た。
周りに人がいなくなると、花菜が恐る恐る話し出した。
「あの、好きだって言ってくれたのに断ってゴメンね。
真吾が暗くなっちゃった原因は3つで、最初は私だよね。
告白してくれた時にね、周りに人がいたから、恥ずかしくて断っちゃったんだ。」
「ああ、そういや、あの時はもう、焼けた鉄板の上にいるかってくらい焦っていたからな~
でも、そんなに周りに人がいたかな。」
「たくさんいたよ。嬉しいより、断然、恥ずかしかったんだから。」
申し訳ないやら、恥ずかしいやら、怒りたいやらと複雑な表情を見せた。
「ゴメンなさい!」
花菜は突然謝ると、深く頭を下げ、そのまま動かなかった。
「へ?何かしたっけ?・・・まずは頭を上げて。」
「・・・嘘告されたのを知っていたのに、何もしなかった!
貴方は命の恩人なのに!
たった2年前に命を助けてもらったばかりだったのに!
お父さんから真吾を助けてあげるんだよって言われて、モチロンだって答えたのに!
貴方の様子を見に行くことすらしなかった!
同じクラスになって変わってしまっていたのを見ても、何も思わなかった!」
花菜は涙をぽろぽろとこぼしていた。
「・・・花菜がそれを知ったときは、もう立ち直っていたと思うよ。
時々すれ違ったりしていたよね?そのときに平気そうだったんじゃないかな?
中学2年の時に、ドローンを買ってもらってね。もう夢中になっちゃって。
俺が車を飛ばすんだ!って誓って、
そのためには阪大理工学部でバッテリーの研究をするんだって。
目標に向かってずーっと勉強してたら、嘘告なんてどうでもよくなって。
今日だって、もし彼女たちが近寄ってこなければ、なんにもしなかったんだ。
ホイホイと近づいてきたから、調子にノってやっちゃたけど。」
・・・長く語ってしまったけれど、これじゃなかった!
「花菜と話せて俺は楽しいよ。花菜はどうなの?」
「モチロン楽しかったよ。」
「それが全てじゃないかな。
過去に囚われすぎて、それより大切な今と未来を失うのはどうかなって思うよ。」
「ありがと・・・」
花菜はスマホを取り出して、声を絞り出した。
「・・・ねえ、連絡先、交換して。」
「いいよ。」
連絡先を交換して笑顔を見せた花菜だが、また少し怯えた表情となった。
「・・・また、会ってくれる?」
「うん、モチロンだよ。」
やっぱり、「イエス!」しか言えない!
「・・・もうリベンジとか止めてね。」
「うん、もうしない。」
「・・・合コンも止めてくれる?」
「えっ、あ~、うん、行かない。か、花菜もだよ?」
花菜って嫉妬深いのかな?まあ、もともと行くことないし・・・
「もちろん。」
花菜はいたずらっぽい笑顔を浮かべた。
「・・・隼人くんより大事にしてくれる?」
「隼人と一緒くらい、大事にするよ。」
「バカ。」
最高の笑顔を見せてくれた。
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