無能だからと勇者パーティーを追放されたけど、実は聖女だったので戻ってきてくれと言われてももう遅い
ゆるーいのです。
「勇者様、お話ってなんですか?」
「お前は役に立たない。このパーティーから出て行って貰う」
突然の解雇通知だった。
「ど、どうしてですか? ちゃんとやっていたのに」
「あんた、回復しか能がないでしょ? それなら、薬草だって十分なのよ」
参謀役の魔女様から、そんな酷いことを言われる。
「前からお前、薬草箱って言われれたんだぜ。フヒッ」
スカウトと弓使いの人が笑っている。
「所持品と金は置いていけ、それは、俺たちが稼いだものだからな」
「はい……」
「この街に来た方がいいって、お前の啓示も空振りだったしな」
そうして、私は近くの馬小屋で一晩を明かした。
「魔王軍が攻めてきたぞーっ!!」
凄い鐘の音で目が覚めた。
魔王軍……早く逃げないと。
馬小屋から出ると、そこには巨大な悪魔が立っていた。
魔王軍の幹部の一人、大悪魔だ。
そして、大悪魔の周りにいた悪魔達が、一斉に爪を立てて襲ってくる。
でも、そのとき……光が私を包んで、その攻撃から守ってくれた。
「ほう、貴様、さては聖女だな。この娘を保護しろ」
そうして、わたしは魔王軍に捕まった。
「大悪魔様、勇者は回復ができずに撤退しました。上手く隙を突けたようです」
勇者様、負けちゃったんだ……。
「この娘の恩恵だな。今日から、貴様は魔王軍の幹部だ」
「えっ!?」
なんだかわからないままに、幹部になってしまったけど、大悪魔は、わたしの啓示を逆手にとり、逆の行動をすることで連戦連勝だった。
「このクズめっ! 何が勇者だ! 身ぐるみ剥いで城から追い出せ!」
「ひいいっ!」
魔王軍に連戦連敗中の勇者は、国王から愛想をつかされて、国から追い出されていた。
「やっぱり、あの娘の回復と啓示が必要だったんじゃねぇのか?」
スカウトと弓使いが、勇者を責め立てている。
誰にも相手にされなくなった勇者達は、今晩の食事にも困る有様だった。
「あれ? 勇者様?」
そこに通りかかったのは、あの追い出した薬草箱だった。
城がいくつも買えるほどの、魔王軍最高の装備を身に付けている。
「お、お前……いつの間にそんな贅沢な……」
そこで、勇者が腹を空かせた音を鳴らす。
「お腹が空いているんですか? 美味しいものでも食べてください」
そう言って、聖女は金貨を渡す。
「も、もう一度……俺たちとやり直さないか?」
「えっと、もう次のところで働いているので、ごめんなさい」
勇者様、あんなに落ちこぼれているんだ。
追い出されて良かったと思いながら、聖女は離れて行った。
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