表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

プロローグ②




「いよいよこれは喫緊の課題ね。何としても来年優勝しないと・・・」




本拠地最終戦当日、ロイヤルズの本拠地・京都伏見スタジアムのバックネット裏にある貴賓室。そこから様子を見届けていた若い女性は、仁王立ちで腕組みしながらつぶやいた。彼女は来シーズンからこの球団の新しいオーナーとなる中村美穂(なかむらみほ)。親会社である京都鉄道の創業者一族でもある。


美穂はアメリカ留学から帰国した直後であるこの秋、25歳の誕生日プレゼントとして、先代オーナーで親会社の会長である祖父からオーナーの権限を委譲された。170cmに達する長身と長い黒髪がトレードマークで、誰もがうらやむ才色兼備である美穂は大の野球ファンで、高校時代は野球部のマネージャーだった。




「いくら京都が他の都市にはない伝統を持つ都市とはいえ、スポーツは今一つパッとしない。しかもトップのプロ野球がセリーグのお荷物球団・・・改めて口にすると萎えるわね・・・だからこそ」




そう言って振り返り、自分の後ろにいた白髪混じりで、少し肥えた中年男性に言い切る。




「アマチュア野球で一時代を築き、高校・大学・社会人全てのカテゴリーで日本一に導いたあなたにこの球団をお任せしたいんです!」




美穂が頼ったのは、アマチュア野球界の重鎮であった岡本八蔵(おかもとはちぞう)だった。人呼んで『鬼の八蔵』。厳しい指導方法と非情な采配で有名である。


京都出身の岡本は東京の大学を卒業後、社会人野球で数年間プレーした後、監督としてチームに残り、都市対抗野球で全国制覇に導く。その後、母校の大学を8年間率いて春と秋の全国制覇3回。さらに社会人や大学野球の実績を買われて就任した関東地方の高校の野球部でも、就任3年目で甲子園春夏連覇を達成し、高校・大学・社会人全てで日本一に導いた唯一の監督である。


当初、自身がプロ野球の経験がないこともあって、監督就任に対して消極的な態度を取っていたが、彼女の真剣さに監督就任を快諾。その際に『ドラフトをはじめとした選手補強の権限の委譲』を条件に加えた。




「ふむ。しかし、ただ弱いだけならやりようはありますが、このチームでは少々骨が折れそうですな。いいんですか?こんな70歳を過ぎた老人で」




改めて岡本は念を押すように尋ねたが、美穂に迷いなどなかった。




「育てながら優勝できる監督は日本中探しても、あなたしかいません。お願いします・・・」




そう言って美穂は頭を下げた。そして岡本は言った。




「あなたほどのお嬢さんに頭を下げさせて断ったのでは男がすたります。できる限りのことはしましょう」




岡本の顔には普段の練習や試合では見せたことがない笑顔が見えた。




◇ ◇ ◇




18 鈴木賢治(すずきけんじ) 投手 右投右打 195cm 90kg A型 愛知県出身


最速163キロのストレートを軸にプロ野球界を生きるロイヤルズのエース。投球のほとんどはストレートだが、初見では確実に振り遅れる球威を持つ。高校時代は1年夏から5季連続で甲子園に出場し、高校3年次では春夏連覇を達成する。


昨年成績 28試合10勝15敗 防御率2.25 奪三振213


タイトル 最優秀防御率、最多奪三振、最多投球回(240回1/3)、最多完投(20)




25 佐藤裕也(さとうゆうや) 内野手 右投右打 185cm 95kg B型 東京都出身


貧打線のロイヤルズにおいて、ただ一人まともな成績が見込める4番打者。ホームランしか狙っていない超アッパースイング、打球の9割方がレフト方向という引っ張り打法で子供の参考にはならないが、それでいて30ホーマーを記録する奇天烈スラッガー。高校時代は投手で俊足と強肩も魅力だが、守備が絶望的に下手。


昨年成績 150試合 打率.233 35本塁打 100打点 13盗塁


タイトル 打率43位、本塁打2位、打点2位

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ