ワシ、確認するのじゃ。
一頻りライガルの温かさともふもふを堪能し、服を着てライガルと共に服以外の物を確認してみたのじゃ。
「身に付けている時は気付かなかったんじゃが、ワシ、色々身に付けているんじゃな。」
「がルルぅ?」
うむうむ。頭をワシの腹にぐりぐりと甘え上手で愛らしいのじゃ。沢山撫でてやろう。
ワシはライガルを撫でながら、分かる物は手に取り身に付けていくのじゃが...
「何故こんなに装飾品があるんじゃろか?」
荷物を入れるカスティエル産の袋、ナイフなどの武器の様なモノが数点、腰回りに巻いていた紐状の布、多分、荷物を手に持たなくとも良い様にするみたいじゃな。ふむふむ。良く考えておるの。
「ライガルや、お主はこれ等が何の為にあるか分かるかの?」
「がルぅ?」
ふむ。首を傾げておるで、分からん様じゃな。
「人間は装飾品を沢山身に着けているんかの?」
装飾品からはワシの子供達の気配がするのじゃ。ワシは普通の人間にしてくれと頼んだのでな、きっとワシの子供達はこの世界に良く干渉しとるんじゃろ。
「...装飾品、全部、着けねばならんのかの?」
神の頃はの?何か会うとか出るとかの?する時はの?威厳の為の?沢山の装飾品を着けておったがの?ワシ1人の時は何も着けては居らんかったのじゃよ。
人間の手の指10本全部に着けていた指輪、手首や首にも10、20程...人間の身体では中々の重さなんじゃが...
「がルぅ...ガウがる!」
「む?......ふむ。そうじゃの。ワシは人間じゃからな。1つ位は着けておらんかったら不自然じゃの。ライガルは賢いのぉ。」
これを着けろと言わんばかりに前足で指、手首、首の装飾品3つをタシタシ遊ぶライガルから受け取り、ワシは1つ1つ確認して着ければ残りはカスティエル産の袋に入れるのじゃ。
ワシが着けた物は、幸運を司どる神フェオティエスの気配がする手首の装飾品、健康を司どる神サラティエルの気配がする首の装飾品、安全を司どる神クスティエスの気配がする指の装飾品じゃな。
ふむ。何だかちょっとやそっとじゃ死なん気がするのじゃ。
まぁ、身の回りのモノは確認が終わったでな。そろそろ人間の居る場所へ移動するかの。
「ライガルや、人間が居る場所は何処かの?ワシを案内して欲しいのじゃ。」
「ガるガウ!」
「うむ。頼りにしておるぞ。」
耳をピクピク自信があり気なライガルを撫で、ライガルの後ろを歩き、喉の渇きを体感し、途中の水が湧き出ている場所で初めて水を飲み、その感触を楽しみ、草木の種類の違いや、小さき生き物達の自由な姿などを楽しんだのじゃが......
「......人間は争いの果てに滅んでしもうたのかの?」
全然人間に出会わんのじゃ。人間は争いと平和を繰り返しておるでな...いや、ワシの子供達等はちゃんと人間を愛し守護してくれてるでの。うむ。まだ残って居るじゃろ。
...滅んでおったらどうしよう...
「ライガルや、暗くなって来たでな、夜は危ないと聞いたでの。休むのじゃ。」
「がルル!」
「む?ライガルはまだまだ元気かも知れんがワシは人間じゃからな......ふむ。ライガルがワシを運んでくれるのかの?」
「ガウがルぅ!」
「ライガルは優しい子じゃな。うむ。ではワシを運んで貰おうかの。じゃが、ライガル、無理をしてはならんぞ?疲れたらちゃんと休むのじゃぞ?」
「がルぅ!がルガウ!」
ライガルは本当に優しく良い子じゃな。ワシを背に乗せ運んでくれる様じゃわ。遠慮無くライガルの背に乗れば、ワシが歩くより早いスピードで森を進み、その振動が心地好く、ワシは気付いたら、初めての睡眠をしておったのじゃ。