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ワシ、人間になるのじゃ。

 


 ―天界・エデン―



「ワシ、神様業休んで人間になって来る。」


 ワシは、集まった子供達に威厳たっぷりに宣言する。


「なっ?!レリティエン様!何を仰るんですか!?」


「お戯れが過ぎますぞ!」


「お...お父上...突然どうなされたのですか?」


「レリティエン様がこの天界から居なくなってしまっては立ち行きません!」


「今すぐ笑え無い冗談を撤回して下さいまし!」


 あ、めっちゃ反対された。こんな筈じゃ無かったんじゃが...


「いや、お前達なら、少しの間ワシが居らんでも大丈夫じゃと信じておるでな。」


 実際、ワシが働きたく無い故に作った子供達じゃしな。なんなら、ワシ、全く仕事なんぞしとらんでな。

 あ、威厳たっぷり神様するのが仕事かの?

 ずっとワシが作った2つの世界を見とるだけじゃし、暇なんじゃよ。


 ...何とか子供達に賛成してもらわんとのぉ...


「レリティエン様...!」


「お父上...!」


「...レリティエン様のお気持ちは、分かりました。(わたくし)達をお試しになられたいのですね...私達の成長を...!」


「成る程...流石レリティエン様!レリティエン様の意図に全く気付きませんでした!」


「私達...お父様の期待に応えられる様に頑張ります!」


 あ、何とかなった。良く分からんが...ここは威厳たっぷりに


「うむ。ワシは人間になって来るでな。後はお主等に任せる。」


「お任せ下さいませ!」


「レリティエン様にぴったりな人間をお作りして見せますぞ!」


 あ、こやつ等に任せたら人間界の理を変えてしまいそうな人間が出来てしまうやも知れん。待て待て、ワシの子等よ落ち着くのじゃ。


「いや、ワシは普通の人間で良いのじゃ。ほら、アレじゃ、常々ワシはお主等に人間を愛せと言っておるじゃろ?

 それをじゃな...あー...体感する的な...成長を確かめる的なアレじゃ。

 故に、ワシの転生先の身体は、普通の人間で良いのじゃよ。」


 お?ワシ、中々良い言い訳を言ったのではなかろうか?うむうむ。子供達も納得した表情をしてるのじゃ。


「...分かりました。レリティエン様の意向をちゃんと、我々、理解致しました。お任せ下さいませ。」


 うむうむ。ワシの子は優秀じゃの。これでワシの暇潰し...いや、ワシの子生み出した人間達の成長やらを間近でのんびり体験出来るのじゃ。


「で、お父上はどちらの人間界へ行かれるのですか?」


 あ、考え無かったのじゃ。そうじゃの...


 目の前にある2つの世界が映ったモニターを眺め、渋い思案しているかの表情を見せ


 ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な・て・ん・の・か・み・さ・ま・の・い・う・と・う・り...って・か・み・さ・ま・は・ワ・シ・や・な・い・かぁ・い。


 心の中で指を指して、人間風に決めたのじゃ。うむうむ。もう人間に馴染むワシ、流石じゃの。

 そして、威厳たっぷりに決めた人間界を指差し


「こっちの人間界に行くのじゃ。準備が出来たら報告するのじゃぞ。」


 これで大丈夫じゃろ。


 ワシが作った2つの世界は、全く違う成長をしておる。


 1つは、科学が発達し、少しずつ宇宙へと中々の好奇心を見せておる世界。


 もう1つは、魔術が発達し、成長しては後退しているまだまだ発展途上な世界。


 ワシの指は、魔術が発達した世界へ向いていた。


「ルシティエルが干渉している世界を選ばれるお父様...流石ですわ!」


 あ、そうじゃった。ワシの子供の1人、ワシ、別に無理を言ってはおらんかったのに、反抗して天界からルシティエルを筆頭に、天界の数人が去ったのじゃった...


 あー...人間に害をなしておるんじゃよな...ワシ、人間に転生したら更に嫌われてしまうかも知れんのぉ...えー、どうしようかの...今更、やっぱり変えるって言えばワシの威厳が...


「直ぐにレリティエン様がこちらの世界へ転生出来る様に致します。」


「うむ。宜しく頼むのじゃ。」


 あ、もう確定してしまったのじゃ。仕方ないの。まぁ、ルシティエルも全ての人間達に害をなしてる訳じゃ無いじゃろしな。うむ。大丈夫じゃろ。バレなければ問題無しじゃ。


 子供達が去った後、ワシは考えるのを止めた。ワシ、考えるのが仕事じゃ無いしの。子供達が何とかするじゃろ。


 そして、ワシは子供達が準備し終わるまで、いつもの様に2つの世界を見て時間を潰すのじゃった。



 ◆◆◆◆◆



 レリティエンの居る神の部屋から出た子供達は、相談を始める。


「貴方達は、レリティエン様の意図をどう捉えました?」


「きっと私達の成長を、人間側に立ち、見るつもらりだと思いますわ。」


「私もそう思いましたぞ!レリティエン様の選ばれた世界、あのルシティエルが干渉している世界...おそらく、人間達をルシティエルから守る...もしくは、ルシティエルを説得して心を入れ替えさせる気に違いないですぞ!」


「と、なると...お父上の転生する人間の身体は...」


「人間の身体に、収まる範囲で...」


「......各々頑張りましょう。」


 子供達は真剣な表情で頷き合い、それぞれが担うモノを1つの器に込める。



「レリティエン様、出来ました。」


 そして、始まる転生生活に、全てを作った神は、その神が作った神達に、後を任せたと、天界・エデンから去るのだった。




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