なんと死亡
「そなたに爵位をさずける。
それとともに王都の屋敷と報酬も与えよう」
「ありがたき幸せ」
僕は今、ピスティ王国城の謁見の間にいる。
そして目の前にいるのがこの国の王様。確か、フィロス・ガイドラル・ピスティだったかな?
僕は3時間ほど前に国王が襲われているところを助けた。まあ、王様だなんて知らなかったけど。
そのお礼ということで僕は爵位をさずかることになった。
ちょっと前まで僕はただの高校生だったんだけどな。
なぜこうなったかというと...。
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「え!?死んだ!?」
僕は目の前の男性の言葉に思わず叫んでしまった。
「そうそう。
えーと、黒城武人君だったっけ?
残念ながら君は死んでしまった」
この人の話によれば、この人は神様でここは神界なんだそうだ。
いやまあ完全に信じてるわけじゃないけど、周りを見ても何もないし、そもそもここ雲の上だし、神様さっきから浮いてるし、たぶん本当なんだろう。
でも死んだとは...死因とかって覚えてないものなのかな。
「すいません。死因とかってわかりますか?」
「死因はね、溺死かな。
誤って川に落っこちてしまったようだね」
川か...うーん、覚えてない。
「そういえば、なんで僕はここにいるんですか?」
「君にチャンスをあげようと思ってね。
...君。異世界に行ってみたくはないかい?」
「超行ってみたいです」
異世界って僕の住んでいた世界とは違う世界ってことだろ?
そんなものに興味がないほど僕は落ちぶれちゃいない。
「よし、なら君に一つ能力をあげよう」
神様は僕の頭に手をかざした。
暖かい光が僕を包む。
「これで大丈夫だ。
ついでに身体能力も上げておいたよ」
僕は立って動いてみる。
はや!なにこれ凄い体が軽い!
「うんうん、大丈夫みたいだね。
じゃあ、能力の方にいこうか」
「どんな能力なんですか?」
「スキルコピーの能力だよ。
スキルっていうのは、その人の特技や身体能力、技術などのことだ。
この能力はその名の通り、他人のスキルをコピーする能力だよ。
魔法もスキルの中に入るよ」
「魔法なんてあるんですか!?」
「あるよ。魔物とか魔獣、亜人とかもいるよ」
RPGじゃん。
「もしかしてギルドとかあったり...?」
「あるよ。まあ詳しくは知らないけど」
まじか!
「で、スキルコピーのやり方だけどね、まあ覚えたいスキルを思い浮かべながらコピーと唱えればできるよ。簡単でしょ」
適当か。
まあ、たぶんそれでできるんだと思うけど。
「さあ、そろそろ行ってもらおうか」
「あ、もうですか」
「うん。こう見えて結構忙しいんだ」
本当か?暇そうに見えるけど。
「さあ、じゃあ行ってらっしゃい」
僕の周りをさっきと同じような光が包んだ。
次の瞬間、僕の意識は飛んだ。