内政・経営物の難しさよ
領地経営物は難しい。
これが個人的な感想です。
第一に、終わりが無い。領地経営の場合、経営の終わりといえば次世代への引き継ぎぐらいじゃないでしょうか。バッドエンドなら領地崩壊でもいいですけど。
第二に、話が繰り返しになりやすい。発生した問題を解決する、何かを開発するなどの行為を延々と繰り返すのが基本であり、成長が実感しにくいという面があります。
第三に、規模が大きくなると話の雰囲気が変わってしまう。第二と矛盾するように感じるかもしれませんが、規模の小さい経営物と国レベルの経営物では話の雰囲気が全然違い、別の話になってしまうのですよ。章別けなどで少しは対応できるんですけどね。
第四に、調べ物が大変。多くの経営物がある現状、「あ、これは~~で見た」などと言われるようだとオリジナリティの欠如、読者離れにつながります。独自色を出すのが難しいという言い方もできますが、そのための調べ物と知識を活かす方向性の模索は大変ですよ。
細かいことを言えば「現代知識一つでそんなに何かを変える事が出来るのか」というツッコミを頂きやすい事ですね。
もしくは「その知識間違っているから」と言われる事ですか。
あとは「それぐらい異世界人でも気が付いてるんじゃない」と異世界SAGEEEで読者に呆れられることも。
まぁ、どんな話でも同じような問題は出てきますけど。事前に問題点認識しておくとけっこう違いますよ。
問題を認識すれば対策も考えられるというものです。
とりあえず、私の対策。
・ 調べ物をする(特に最先端系)
・ 関連知識を考える
・ 他作品で使われている物・技術を調べる
・ その物や技術が売れる・必要になった経緯を考える
・ どこで、何で話を区切るかを決めておく
・ 大規模戦闘の有無を決めておく
・ 内政面の基本問題(農業・工業・商業・治安・外交)に一つ以上の問題を仕込む
・ 内政以外のメインストーリーを組み込む
これだけやっておけば大丈夫と言う話ではなく、最低限これだけやってますよと言う話です。
単純にオリジナリティを出したいなら、中世ヨーロッパから離れましょう。みんな見飽きています。古代の中国・日本系異世界で内政チートとか、最初から稲作が出来て面白いと思いますよ。
あとはノーフォーク農法、肥料、千歯扱ぎ、貧民学校、製紙、活版印刷、蒸留酒、火薬、和食などの現代料理、算術関係以外の技術を意識することですね。定番と言う事でやらないのも考え物ですけど、プラスアルファでそれ以外が無い場合は見てもらえないと思った方が良いです。
チートの場合は植物生長系魔法、ゴーレムやスケルトンなどの生産&使役魔法、物資調達系チートはすでに大量の手垢がついているので独自性は出せないと思ってください。この場合の手垢って、読者の目の事ですからね? 読者の飽きに作者の数は関係ないです。読者が読んだことのある回数ですよ。
余談ではありますが、ダンジョンマスターによる領地運営物は先駆者のインパクトが強すぎますので、止めておく事をお勧めします。
最低でも「現代日本が舞台」「中世ヨーロッパ風異世界が舞台」「ダンジョン内に侵入者がいるとダンジョンポイント(物資やモンスター、土地との引き換えポイント)が手に入る」「ダンジョンポイントで現代日本の物資が手に入る」「権力者と早い段階で仲良くなる」「ダンジョンで侵入者をハメ殺し可能」「ダンジョンは攻略可能な設定でなければならない」「モンスターがレベルアップで進化する」「ゴブリンやスライムなどの最弱モンスターが最強になるまで育成可能」のいずれか2点以上が当て嵌まったらアウトと思ってください。許されるのは一つぐらいでしょう。
領地運営以外にシナリオ上の目的を配置すると必要な技術とかも見えてくるし、これをやっておくと話の方向性が決まると思います。
単純に異世界に行った、チートを手に入れた、周りに祭り上げられて領主になったではその先が無いのです。領主になった理由などから物語の先を決めるか、それを利用して何かをしたいのかでも話が変わってきますし。
個人的意見ですが、領主になるのは手段であり何かを成し遂げようとするのがベストじゃないかな、と。
話の方向性や雰囲気が変わってしまう理由を大まかに考えてみると、成長しすぎたことが理由になります。
金銭を大量に入手する、精強な軍を率いる、個人レベルの戦いから国同士の戦いになるなど。これらの変化点を迎えると、どうしても話が変わります。というか、変わらなかったらおかしいですよ。
変えない方法としては主人公の周囲をしっかり固めておく事でしょうか。自軍主要キャラを固定し、その他のキャラは出番などをワンランク落して最小限の変化にする。
あとは変化をゆっくりにするぐらいしか無いように思います。
逆に変わった事で面白くなったと思われるのを目指してもいいんですけどね。そちらは難易度高めです。
とりあえず、思いついたのはここまで。
私の書いた事は領地運営物のほんのさわり程度でしょう。
この先はそれぞれの作者様、ご自身の考えで頑張ってくださいな。