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異世界への招待チケット

異世界に来た総数100人の招待客が起こす問題を主人公がモン娘の力を借りて解決しつつ、この世界の謎と元の世界へ帰還する方法を調べる話になります。

 「モン娘・イン・アナザーワールド」それはモン娘(いわゆるモンスター娘の略)を育成する超人気アプリである。ここでモン娘の定義とは神話等に登場する人間の女性に近い容姿をもつ魔物、あるいは女神、またあるいはファンタジーの生き物の擬人化である。


 そのアプリは、そんなモン娘達を育てて、愛でたり戦わせたりするゲームである。それは昨今のアプリにありがちな収集ゲームではない。所持できるモン娘の数は最大5体であり、所持数をリアルマネーで拡張することはできない。最初は皆これを少ないと思うだろう。


 しかしこれでいいのだ。その秘密はスキンシップモードにある。このモードではモン娘とメール形式で会話しつつデートができる。そのやり取りは高度なAIによって行われており以前の会話内容を覚えている上に同じような会話にならない、本物のリアルな女の子(しかも自分に好意がある)を相手にしているようなものだ。モン娘の映像は3Dで表現され仕草が自然でプログラミングされたものとは思えない。つまりモン娘一人一人が魅力的で実際に付き合っているような感覚になるため、むしろ1体でも十分(あるいは1種類)という層もいるくらいだからだ。

 

 ある日、そのアプリで期間限定の特別なミッションが配信された。


 「期限内に倒した邪神の数で上位100位以内に異世界の招待チケットをプレゼントか…」


 彼は大学生である。名前は風楽(ふうらく) 桔梗(ききょう)。苗字はともかく名前は花の名前でまるで女みたいだと一般的には思われるだろう。名前の由来は花言葉から来ている。桔梗の花言葉は「変わらぬ愛」。彼の母は火災事故に会い顔面を火傷している。醜くなった母に対して、彼の父はそれでも愛した。彼の父にとって外見の美醜はどうでも良いことだったからだ。そのため、花が好きだった母のために「変わらぬ愛」という意味を持つ名前を息子につけたのだ。


 「詳細は不明?ちょっと気になるな~」


 彼はアプリのユーザーとしては事前登録の頃から始めたいわゆる古参である。

 ところで話が変わるが、アプリのモン娘は卵ガチャで手に入り、ガチャの種類は現在第7弾まである。モン娘が5体までしか所持できないため事前登録した古参の手持ちは自ずと第一弾のキャラになる。第一弾のラインナップは全20種類。ドラゴン、ハーピィ、スキュラ、アルラウネ、スライム、ラミア、マーメイド、ケンタウロス、ワーウルフ、デュラハン、エルフ、ドワーフ、ゴブリン、フェアリー、コボルト、ゴースト、デビル、エンジェル、メデューサ、アラクネである。よって第一弾のみのモン娘で構成されているものを第一世代、あるいは格好つけてファウスト(誤字ではない。事前登録の案内キャラの名前が"メフィストちゃん"だからだ)と呼んでいる。

 

 彼の所有しているモン娘はハーピィ、スキュラ、アルラウネ、デビル、ゴブリンである。全てレベルは最高の100。このゲームは社会人が片手間でやっても最高レベルに達するほどレベル上げは簡単である代わりに専用の装備やスペルの入手の難易度が高い。このゲームには対戦機能があり、勝つには装備集め、スペルブック集めが重要である。スペルブックとはモン娘に呪文を覚えさせるためのアイテムで覚えさせるためにはある程度の賢さが必要である。この賢さが高いほど肉体的には弱く、馬鹿なほど肉体的には強い傾向にある。


 「久しぶりに本気だしてみるか」


 ミッションの期間は、ちょうど彼の試験の終了後からだった。そのため、彼はずっとそのミッションに没頭できた。そして期間が終わり、彼の順位は36位であった。


 「これが招待チケット…」


 彼が入手を選択した時、空気が変わった。


 「???」


 匂いを嗅ぐ、草の匂いだ。自分は部屋にいたはずなのにおかしい

 辺りを見回すと草原だ。地平線が見える。ありえない

 そしてもっとありえないのは、


 「お父さん?」


 そこにいたのは


 青紫色の髪、同じ色をした両腕の翼、膝から下は鳥の足の女の子。

 

 


 

 アプリ内の(ハーピィ)だった。





 

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