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この恋、終わらせます。  作者: 紫野 月
9/22

 祝 ブックマーク100突破!

 

 沢山の方に読んでいただいてとてもうれしいです。

 みなさんに楽しんでもらえるよう、これからも頑張ります。

 応援よろしくお願いします。

 海洋生物にしか興味が無い(と思われる)二宮先生。  

 どこか浮世離れしているし、人間相手に好きとか嫌いなんて感情を持つことがあるんだろうかと思っていた先生から、意味深なことを言われ私は思わず妄想してしまった。


 もしかして、先生は私のことを… 

 さっきの私と相葉さんとのやりとりを聞いて、自分の気持ちに気付き、膳は急げとそのまま、こっ、告白!? 

「佐藤さん。僕ね…」

  はい、なんでしょうか。

「学生のときから付き合ってた彼女がいたんだけど 」

  はっ?

「まあ、僕はこんな性分だから愛想をつかされてね 」

  はあ… 

「だけどどうしても諦められなくて、この転勤をきっかけに思い切って言ったんだ」

  …… 

「そしたら仕事を辞めて、ついてきてくれたんだよ。やっぱり言葉にすべきだね」



 すみません、すみません。私、めちゃ自惚れていました。今、物凄くはずかしいです。

 それに、推定自然消滅とはいえ彼氏のある身で、なんというふとどきな事を考えていたんでしょう。“二宮先生に告白されるなんて困っちゃう。でも、嬉しい”なんて思っちゃいました。

 本当にごめんなさい。二度とそんな妄想はしないんで、許して下さい。

 それにしても二宮先生、彼女いたんですね。…ていうか結婚したってことですよね。うーん、翔子ちゃん残念。



「…… 僕の帰りは不規則だし、こちらに知り合いもいないし、寂しい思いをしていると思うんだ。同じK大出身の佐藤さんなら、きっと話しも合うと思うし… って聞いてる?佐藤さん」

「えっ、はい。勿論、ちゃんと聞いてますよ ハハハハ」

 一人でお留守番している奥さんの為に、私に家へ遊びに来て欲しいなんて。優しいんですね、二宮先生。





 というわけで、日曜の昼下がり、二宮先生のお宅へお邪魔いたしました。

 二宮先生と奥さんの亜也子さん。お二人に暖かく出迎えられ、すぐに打ち解ける事が出来ました。

 亜也子さんの第一印象はずばり知的美人。そしてその印象は大当たりでした。彼女は優秀な社長秘書だったそうで、このたびの退職も随分引き止められたそうです。「社長は、私に行かず後家になれと仰るのですか」ぴしゃりと言って、退職願を受理させたそうだ。

 社長相手に強気の発言。

 素敵です、亜也子さん。お姉様って呼んでもいいですか!そんなこと言ったら勘違いさせちゃいますね。だから心の中だけでお呼びします。


 先生と亜也子さんは出会ってから結婚するまでの十数年間、付き合って、別れて別の人と付き合って、でもやっぱり元鞘に戻って… それを何回も繰り返したんだって。

 別れる原因は全て先生の方。

 なんとなく想像できます。きっと、亜也子さんよりお魚を優先させちゃったんですよね。


「私ね普通の人と普通の結婚をしたい、そう思って別の人と付き合ってみたんだけど、なんかうまくいかなくて。私、一生結婚できないかもって真剣に悩んだ時もあったの」

 亜也子さんのようなパーフェクト美女でも悩み事あるんですね。やっぱり女性は結婚となるといろいろ考えちゃいますよね。うんうん。

「カズ君と結婚しても幸せになれないと思ったんだけど、一度、派手に失敗したほうがいいのかもしれないと、考え直したの」

「ひどいなぁ、亜也さん」

 先生が笑った。亜也子さんも同じ様に笑顔になった。お二人はとてもいい雰囲気だ。さすが新婚!  



「ところで結花ちゃん。お願いがあるんだけど」

「はい」亜也子さんは笑顔を納めてまじめな面持ちで仰った。

「私、今まで仕事一辺倒だったから家事をしたことがないの。これまでは母が全部やってくれてたし、婚約期間もなく結婚したから花嫁修業してないの」

 えっ、亜也子さん家事が苦手なんですか。そんな風には見えません。なんか、何でも器用にこなしそうです。

「特に食事を作るのがね。料理教室に行こうかと思ったんだけど、どうもそのレベルにも達してないみたいなの」

 ええっ!それって重症ってことですか?

「そうだよね。炊飯器で炊くはずなのにお粥になったりしんが残ってたりするし。それからハムは焦げてるのに玉子は生のままのハムエッグとかさ」

 先生がからかうように付け加える。

「あれは凄かったよね、わかめの味噌汁。汁がなくなってわかめの煮物みたいになって」

 ああ、乾燥わかめの分量を間違えちゃったんですね。確かにすごく増えますよね。うん? 水分吸って広がるのかな。それにしても先生、なかなか凄い食事をなさってるんですね。

「それをいうなら、カズ君も凄い事やったよね。倒した花瓶の水、掃除機で吸い込んで壊したじゃない」


「それなら、亜也さんだって僕のケータイ洗濯してダメにしたよね。データが全部とんで大変な目に遭ったよ。ああ、それに僕の白衣ピンクに染めた事もあったね。赤いタオルと一緒に洗濯してさ」

「カズ君なんか電子レンジにアルミホイル入れて火花散らせたよね。危うく火事になりかけて… そっちのほうが大変だったわよ!」


 ……お二人とも凄いです。よく今まで無事に生活してこられましたね。

 しかしこの暴露話、いつまで続くんでしょうか。面白いからいいけど。


 やがてお二人は私の存在を思い出し、ピタっと話しを止めると、照れくさそうに笑った。

 本当に仲がいいですね。ご馳走様って感じです。

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