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こんにちは、佐藤結花です。
もしかしたら“こんばんは”かもしれないですね。
なんせ心と身体にダメージを食らって、布団から出る気力がありません。
ゴロゴロうつらうつらを繰り返しているので、今何時か分からないんです。ていうか時計を見る気にもならないです。
あーあっ、今日の講義さぼっちゃったよ。
彼氏様との週末デート。
土曜日の昼前に待ち合わせ(もちろん三十分遅刻)
軽くランチして映画見てウィンドショッピングしてお洒落なディナー。その後は彼氏様のマンションにお泊り…ていうのが最近の定番で、今回もそんな感じで過ごし、お部屋でコーヒーを飲みながらのまったりタイムに突入したんです。
作戦を開始するなら今だ!
私は卒論が大変って話から不自然にならないように二宮先生の名前を出し、始めはそれとなく、そしてだんだん頻繁に二宮先生を褒め称えた。
いつものように優しく微笑みながら、私の話を聞いていた彼氏様の顔から表情が消えた。
“おお!不機嫌な彼氏様の顔、初めて見たかも。超レアー”
私は心の中でにんまりと笑った。
“よしよしこの作戦は有効だ。今回はこれくらいにして次はどのイケメンさんをターゲットにしようか”
なんて思っていたら彼氏様のお顔が目の前に!
“あっ、表情戻ってる。でも目が笑ってない…”
「どうしたの? 貴文さん」
私はビックリした風を装って聞いた。
「ユカ。さっきからいやに二宮先生の事を話すけど、それは何か意味があるの?」
おおありです。作戦です。ですが、そんな事言えません。
「えっ そ、そうだった?」
「そうだったよ。ユカが他の男の話をそんなに熱心にするなんて… 確かに二宮先生はいい先生かもしれないけど」
そこで彼氏様は悲しそうに目を伏せてポツリと呟いた。
「でも、面白くないよ」
ドキューン
はい、心臓打ち抜かれました。
なに、これ。物凄い破壊力です。
三年付き合ってきたけど、こんな彼氏様は初めてです。ですが、ここで負けてはいけません。この作戦を失敗するわけにはいかないのです。
今回は今までと違って上手くいきそうです。このまま突っ走るべきでしょう。
「ごめん。男の嫉妬なんて見苦しいよね。でも、ユカのことになると自制出来ないんだ」
ああ…私はなんて酷いことをしているんだろう。彼氏様にこんな苦しそうな表情をさせるなんて。でも、これも私の野望の(?)ためにはしょうが___
「それともわざと言ってるの。僕に嫉妬して欲しかった?」
「えっ?」なんか彼氏様の様子が変だよ。
「他の男の話をして、僕の愛情を試すなんて、いつからそんな小悪魔になったの?」あれれ、話が変な方向へいってる。
「それならちゃんと教えてあげなきゃね。僕がどれだけユカのこと想っているのか」えっ、ちょっと待って。なにこの展開は!
という訳で、情熱的な土曜の夜と日曜日を過ごした私は、月曜の朝布団から起き上がれなかったのであります。この作戦は封印しよう。でなければ私の身体がもちません。そう決意した私の耳に母親の「ゆかぁ、あんた晩御飯食べるのぉー」という声が聞こえてきました。食べますよ。朝も昼も食べてないもん!私はようやく布団から起き出したのでした。
お読みいただきありがとうございます。
今更ですが初投稿です。未熟な作品ですが最終話までお付き合いいただけたら嬉しいです。
感想や評価、どんどん送って下さい。待ってます。