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この恋、終わらせます。  作者: 紫野 月
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驚愕の事実が発覚しました。

なんと翔子ちゃんが、あの松本君と付き合っているらしいのだ。この噂を耳にした私は、早速翔子ちゃんに確かめに行った。 ちょっと興奮気味に尋ねる私に、翔子ちゃんは困惑しつつも認めた。

えっ? ちょっ、なんでなんで!松本君の悪口言ってたよね。

私に松本君だけはやめた方がいいって、力説してたよね。

はっ! もしかして翔子ちゃんも松本君を狙ってたの?だから私に、ありもしない話しをして、松本君のイメージダウンをはかったのか。

もしかして翔子ちゃんは、相葉みやびとは比べものにならないくらいの要注意人物だったの!? 可愛い顔の裏は腹黒策士だったのか。


「結花先輩、ちょっと落ち着いてください。最初からちゃんと話しますから」

翔子ちゃんは自分の机を軽く片付けると、喫茶コーナーへ行こうと私を誘った。




「実は私と松本は幼馴染なんです」

翔子ちゃんと松本君の因縁は、中学からではなく松本君が生まれた時まで遡るらしい。

松本家と櫻井家は、お隣同士で家族ぐるみのお付き合いをしていた。

しっかりものでお姉さん気質の翔子ちゃんと、我が儘だけど甘え上手な松本君。二人は本当の姉弟のように仲良しだった。

ところが翔子ちゃんが中学に上がった頃、けんかして絶交状態になってしまったのだという。仲良しの幼馴染だった二人が、異性として意識し始めたとき、女の子が二つ年上ってことが原因でしょうか。

今ならそれくらいの歳の差なんてと思うけど、中学生の女の子と小学五年生の男の子にとっては、深刻な悩みだったかもしれないね。こうゆうのって、同級生から、からかわれて嫌な思いをしたりするしね。


中学、高校と松本君が翔子ちゃんを困らせていたのは、こんな背景があったからなんだ。

松本君はきっと翔子ちゃんと仲直りしたかったんだよね。中学が同じなのは当たり前だけど、高校と大学が一緒てことは関わりを持ちたかったからだよね。というか、追いかけてきたんだよね。だって、けんかして嫌いになったのなら、別の学校に行くもの。それをわざわざ同じ所にしたのは、きっとそうだ。

松本君てばけっこう一途。

大好きなお隣のお姉さん。けんかして絶交状態になって、すごく後悔して… だけど自分から謝る事もできず。でもこのままじゃ嫌だと、後を追いかける。しかし、いざとなると素直になれず、反抗的な態度をとってまた嫌われる。


う~ん、たまんないねぇ、このシチュエーション! …てことは、まてよ。松本君が私に告白してきたのは、翔子ちゃんの気を引くためだったのでは。つまり私は当て馬だったってことか。ううむ、なんてヤツだ。


まあいい、今私が知りたいのは、そんな二人が、どんな経緯で付き合う事になったかだ。

「それで、それで」と急かす私に翔子ちゃんはしょうがないなって顔して話し出した。


相葉みやびのプチストーカー行為が数ヶ月間も続き、松本君は心身ともに疲れ果て高熱を出して倒れてしまったそうだ。

二人は県内に実家があるのだが、電車で通うのは不便なため(つくづく交通の便が悪い所である)大学の近くにアパートを借りている。つまり一人暮らしだ。

松本君は高熱で意識が朦朧とした状態で、翔子ちゃんのアパートの前にいたんだって。翔子ちゃんもそんな状態の松本君を突き放す事はできず、看病してあげたわけだ。


「看病している時に、けんかやその後のトラブルの事を謝ってくれて、私も昔の事だからって許したんですよ」

「それから、それから」

「それで、まあその仲直りしたついでに、今の気持ちも言ってくれて、それで付き合う事になりました」

「そこのところをもっと詳しく!」

「無理です」



え__っ!! 一番聞きたいところをボカさないでよ。

しかし翔子ちゃんは無理です、ダメです、内緒です を繰り返してそれ以上は教えてくれなかった、残念。 




「ところでさ、大丈夫なの。要注意人物の相葉さん。二人が付き合ってるって知ったら、なんか邪魔してくるんじゃない?」

「それは大丈夫です。もう対決済みです。この次は無いって釘刺しときました」

ちょっと怖い内容を、可愛い笑顔で翔子ちゃんが答えました。

なんか黒いものが見えた気が… 気のせいだ、うん気のせいだ。

私は「なら安心」と言ってアハハと笑った。


「よかったね、翔子ちゃん。今度はけんかしないで、松本君と仲良くね」

「ありがとう、先輩」

翔子ちゃんは(黒い)笑顔から、真面目な表情になりました。


「私が彼より二つ年上ってことで、引け目を感じてたからかな… つまらない意地を張って、十年近く無駄にしちゃいました。これからは自分の気持ちに素直になります」

そう言って笑った翔子ちゃんの顔は、とてもキラキラ輝いて見えた。素直になる…    その言葉に私は何故か後ろめたさを感じた。

 急にブックマークの件数が増えて、なぜかなと思っていたらランキングに載ってたんですね。しかも上位に。

 嬉しくて、嬉しくて、思わず小躍りしてしまいました。

 読者様の応援の賜物だと、感謝いたしております。

 本当にありがとうございます。


 さて、次回に彼氏様が、ほんのちょこっとですけど登場します。

 やっとここまで来た! って感じです。

 物語はまだまだ中盤、続きが楽しみって思っていただけるよう頑張りますね。

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