表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Heroes Guild Online  作者: ムムム
合魔物
83/100

合魔物8 作戦会議2

本日2話目です。

「それとセンが呼ばれた理由だけどな、こいつはついさっきクロイスとバトってきたばっかなんだよ。つまり最新情報を持ってるってわけだ」

「ほう・・・」

「まあ、あっさり逃げられたけどね」

「それでセン、お前の見立てだとクロイスはどれぐらい強い」


 ・・・強さか、それならある程度分かるな。


「そうだな、あのPK・・・クロイスだっけ、職業は蹴り中心の格闘士みたいだが、強さはそれほど強くはないよ」

「そうなのか?」

「ああ、1対1で真正面から当たれば10回やって9回は勝てる自信はある。ただ森の中で戦う場合は別だな、・・・一言で言うなら「適応している」だ」

「適応?」

「どういう事だ。春香様にも分かりやすく説明しろ」


 分からないのか首をメトロノームのように左右に揺らす姫様に代わってドM騎士さんが質問してくる。


「そのままの意味だよ。森の中でのPKに特化しているでもいいんだけどね。推測だけどスキルの構成はハイド系、気配察知サーチ系に特化していて、戦い方は戦いながら、もしくは逃げながら周りの魔物を相手に押し付けていく感じかな。蹴り技だけは怖いが、それ以外は大して強くは無いと思うぞ」


 PKクロイスの戦い方は周りの魔物を巻き込むことが前提になっている、PKと言うよりMPKと言った方がしっくりくるよな。


「なるほどな、スキルの考察に関してはうちの調査と同じか。蹴り中心の格闘士ってのは追加情報だな」

「それで相手の強さはこんな感じだがそれに対してどう対応するんだ?まさかこのまま人海戦術じゃないだろうな」

「ああ、それに関してはうちに任せてくれ」


 ヤクミチが懐からふたつのアイテムを取り出してきた。

 手錠とハミガキ粉?


「作戦にはこのふたつのアイテムを使う、まずはこいつだな」


 手に取ったのはハミガミ粉が入ってそうなチューブからだ。


「まずはこいつだな、まあちょっと試してみようか・・・どうだ」


 チューブから中のクリームを絞り出し自分の手に塗り始めるが・・・。

 特に変わったところはなさそうだけどな。


「そのままじゃ分からないだろ。探査サーチ系のスキルを使ってみなよ」


 探査サーチ系を?・・・あれ?


「おや?」「・・・ん?」「???」


 他の人たちも気づいたようだ。

 俺が持っている探査サーチ系スキルである、蝙蝠の耳からは何も聴こえない。

 肉眼で見れば見えるのだがスキルで確認するとそこにはヤクミチが居ないと判断されている。


「ヤクミチ、それは一体なんだ?」

「ふふふ、こいつは俺が開発した薬で「ハイドクリーム」と命名してある。こいつを手に塗り込んでおくと一定時間探査サーチ系スキルに反応しなくなるのさ」


 探査サーチ系無効アイテムか、以前ゴブリンがそんなスキルを使っていたけど、あれのアイテム版ってところか。


「クロイスの探査サーチスキルはおそらくプレイヤー内でもトップクラスだろうからな、それをまず無効化する」

「そして次はこいつだ」


 カンリが手にしたのは見た目そのままの手錠だ。


「こいつは「贖罪の腕輪」ってアイテムでな。・・・説明がメンドクサイ。お前やれ」

「はいはい、分かりましたよ姐さん」


 ヤクミチが手錠を押し付けられて説明を始める。


「皆は贖罪クエストとカルマ値ってのは分かるよな」


 ステータスのひとつにカルマ値と言うのがあり、所謂悪人度合を計る数値だ。

 PK行為を筆頭に窃盗、スリなどの盗みを行うと上昇する数値でこれが高いとNPCの店で買い物が出来なくなったり町に入ろうとすると衛兵に攻撃されたりとデメリットが高い。

 ただし中にはカルマ値が高くないと手に入らないスキルや受けることが出来ないクエストなどがあるらしい。


 贖罪クエストは、そのカルマ値を持っていないと受けられないクエストの一つだが、その報酬はカルマ値を下げることになる。

 そしてカルマ値を下げられることが出来る唯一のクエストだ。


「この手錠はかなり面白い性能でな、装備したらカルマ値に応じて最大で70%のステータス減少、獲得経験値の半減、スキル使用時の消費MPの上昇、スロットの封鎖等々の弱体化のオンパレード。そして受けれるクエストが贖罪クエストのみになるという極悪チートな性能だ」

「どうだ、スゲーだろ。こいつ一個造るのに現状での最高位の武器一本と同じだけの素材使うクセに、ただ一回こっきりの使い捨てってのがネックだけどな」


 ・・・・・・なに、その性能。

 あまりの凶悪ぶりに誰もが沈黙するしかなかった。


「こいつは条件さえ整えば他人にも装備させることが出来る代物だ。これをクロイスに着けることが今回の目的だ」


 その極悪装備を無理やり装備させられるのか・・・自業自得とは言え少し同情するな。


「それでクロイスを身動きできないようにするわけか」

「そゆこと、ついでにその状態じゃあクエストもままならないだろうからな。手伝うのを条件に色々しゃべってもらうつもりだ」


 どっちが悪いやつか分からなくなるな・・・。


「そうそう、こいつは虎の子の装備アイテムだからな。秘密にしておいてくれよ」


 そういってニヤリッと笑うがどうも本気で秘密にしてほしいって感じじゃないな。それどころか広めてほしいんじゃないだろうか。

 なにせこれだけの装備チートだ、それこそ示威行為になるだろうしな。


「それで装備させるには何か方法は考えているのか?」

「そうだな、とりあえず森の中にちょうど良い場所が在ってだな、その場所に追い込めば何とか出来る可能性は高い」

「む、確実じゃないのか?」


 M騎士が疑問を投げかける。

 人数もそろえて追い込む場所まで選定しているのであれば確実に捕まえられるとは思うのだが。


「まあ、クロイスはAGI特化だからな。一応あいつが持っていそうなスキルはまとめてはあるが、どんな奥の手を持っているか分からない。どれだけ上手い計画を立てても確実何てものは商売には無いんだ」


 意外と慎重だな。

 まあ商売人としては当然なのかもしれない。

 計画に計画を重ねても失敗するときは失敗するしな。それならその計画を補強するか。


「それならいい作戦がある」

「作戦?」

「作戦と言うよりアイデアだが」


 実は使いどころがないアイデアがひとつある。正確には使いどころがなかったアイデアだけどね。

 だけど今回のPK捕獲計画の補強が出来る方法ではある。捕まえられる訳では無いが確実に足止めが出来る方法だ。


「――と言った方法なんだが、どうだろう」

「ふむ、それは可能なのか」


 M騎士からそんなことは可能なのかと疑問を投げかけられる。

疑問はもっともだ。何せこの方法は。


「試したことがないから分からないな」

「なんだよ、それは」


 ヤクミチには呆れられたけど当然だな。あくまで「出来るだろう」の予測の上でのアイデアだからだ。

 まあ、森に行って試してみればいいだけの話だけどね。


「センさんの言った方法が上手くいけばだいぶ楽になりますね」

「はっ、その通りでございます。春香様」

「よくわかんないけど試せばいいのね。任せなさい!」

「違うよ姉さん。やるのは僕たちじゃないよ」


 他の4人も試すのには賛成してくれているみたいだ。

 これで失敗すればまた役立たず扱いされるな。

 そう、試してみたいアイデアは封札士でなければ出来ない方法だからだ。

 上手くいけばそれなりの地位向上にはなるかな。


 その後俺が付け足したアイデアも加えた作戦を組み立てていく。

 尤もやることは単純なことなのでそれほど変更が有るわけではないけれど。


「うっし、それじゃあ会議は終わりだ、最後に言っておきたいことがある」


 作戦が出来上がったところでチームのリーダーらしくカンリ姐さんがまとめるみたいだな


「正直に言えば、別にPKのことなんてどうでもいいんだよ。ただそれが商売に使われているのが気に食わない。商売ってのは幸せじゃなきゃダメなんだ。売る奴も買う奴も作る奴も素材を集める奴もみんなみんな、幸せにならなきゃ、いけないんだ。誰一人だって泣きを見るような奴は居ちゃいけない。本来だったらあたしらが口出しするのは筋違いな事なのかも知れないけど、それでもあたしらは奴らを止めることにした。その為にみんなの力を貸してくれ!この通りだ、頼む!」


 深々と頭を下げてくる。

 その隣でヤクミチも一緒になって頭を下げている。

 カンリは頭を上げて宣言する。


「それじゃあ、作戦開始だ!」

キャラクタープロフィール

・春香

・風魔法術士

・春風騎士団のリーダー。

 リーダーに成りたくて成った訳では無く、勝手に祭り上げられたタイプ。

 天然のドS


キャラクタープロフィール

・天平

・戦盾士

・ドM

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ