ゲームの世界へ2
「ミニコも合流したし、フレンド登録しておこうか」
「そうだな、ミニコはプレイヤーネームは何にしたんだ?」
「ミニッツよ」
お互いフレンド登録した。
ミニッツから名前に対して突っ込まれたけどちゃんと理由あるからね。
「何か納得出来ないわね」
「そうゆうなって、ミニッツって名前可愛いじゃないか」
「・・・そうね、この名前はお気に入りなのよ」
お気に入りなら問題ないじゃないか。
モンドがこっち見ながらニヤニヤ笑ってるけど、何か面白い事でもあったか?
「そういえば二人の職業聞いてなかったよ」
「俺は封札士だ」
「私は呪術士よ」
モンドが驚いた様な顔をしてミニッツを見ている。
「センが封札士やるのは予定通りだけどミニッツも難しい職選んだね」
「俺が封札士選ぶのは予定してたのか」
「うん、職業の説明の時にセンが封札士へ食い付く様に説明したからね」
どうやら誘導されていたらしい。
「怒った?」
「いや、多分誘導されてなくても撰んだだろうし。やりがいのある職を紹介してくれてありがとうってとこだな」
「そう言ってくれると助かるよ、だからセンの事は好きさ」
だから変な事は言うなよ、さっきの女性がしゃがみこんで鼻を押さえてるじゃないか。
上を向いて首の後ろを叩き出した、鼻血か!
そのやり方は喉が詰まるからやめときな。
「それにしても呪術士か、封札士程じゃないけど不遇職とも言われてるよ」
「ええ、知ってるわ。センと同じ、だからこそ選ぶのよ」
「どう不遇なんだ?」
「説明は移動しながらにしようか」
名も知らない女性さようなら、物凄く良い笑顔で手を振ってくれてるけど気にしませんよ。
「呪術士は状態異常魔法や能力低下魔法のスペシャリストなんだよ」
「麻痺や毒、攻撃力低下とかよ」
特に問題無さそうだけどな。
「呪術魔法は成功率が低いんだよ、50%以下なんだよ」
「そう言うことよ、だから防御を下げてダメージを上げるより攻撃力を上げてダメージを上げたほうが効率的なのよ」
「効果時間もだよ、付与士の強化は10分あるけど呪術士の低下は30秒で切れるんだよ」
つまり付与士の強化と呪術士の弱体化を比べた場合付与士のほうに軍配が挙がるからこその不遇職ってことか。
「そこは工夫次第でどうにかなると思うのよ、何より多少不利なほうが面白そうじゃない」
「その辺りは二人ともお似合いだよ、それと見えてきたよ」
モンドの指差す先には大きな建物があった。
「あそこがゲーム進行の中心となる施設、ヒーローズギルドだよ」
ヒーローズギルド。
ゲームでの最初の町でもあるここハイジマの町の中心に位置するその建物は周りの建物より一回りも大きかった。
しかし建物より目を引いたのは周りにいる人だ。
「一体何人居るんだ」
とにかく沢山の人がギルドの前で並んでいた、NPCが最後尾の看板まで持って誘導しているよ。
「ギルドのクエスト受ける為に並んでるんだね、俺達は止めて置こうか」
「並ぶんじゃないのか?」
「並んでも受けれるクエストは初級のばっかりだよ、それなら先にスキルLv上げたほうがいいよ。ここには案内に寄っただけだよ」
確かに長時間並んで受けたクエストが二束三文のクエストだったりしたらな。
「それに収集系のクエストだった場合受けた時に持ってればその場でクエストクリア、すぐ次のクエストが受けれるんだよ」
「それなら今受けるのは止しておいた良さそうね」
結局建物に入ることなくその場を後にした。
「そうそう二人ともこれからどうする?」
「どうするって、狩りに出るつもりだけど」
「そうね、言った通りスキルLv上げないとね」
「そうじゃないよ、PTをどうするかってこと。これからテスターの時に知り合った人達と組むんだけど、一緒にいこうよ」
しばらく考える、効率的に考えるなら誘いに乗ったほうが当然いい。MMOの場合PTを組んだ場合とソロで進めた場合でのLvの上がり方は驚くほど違う、しかしな・・・
「封札士って事は心配しなくてもいいよ、PTの人達は封札士ってとこは気にしないよ」
「そうなのか?」
「逆に喜ばれるよ、封札士のポテンシャルを知りたがってるから」
「ポテンシャルって、サイト通りに捉えてないってことか?」
「そうだよ、封札士の不遇の原因は検証不足って考えてる人達も居るってこと」
確かに調べていると少なからず封札士の擁護している書き込みもいくつかあった。
運営がここまで使えない職業を残しておくわけがない、何かしらの工夫が必要なんじゃないか。
そんな書き込みだ、すぐに封札士叩きの書き込みがされて流されていったけどね。
正直に言えばその様に捉えてくれる人達の近くに居れば楽何だろうけど。
「いや、俺は暫くソロでやっていくよ」
「どうしてだよ?」
「今言ってた検証をしたいからね、それに付き合わせる訳に行かないから」
「そう、別に気にしすぎだと思うけど。センが言うなら無理に誘わないよ」
案外あっさり引いてくれたな。
「ミニッツはどうするよ?」
「私はお世話になろうかしら、元々PTでの活動を前提にしようと思ってたから」
「了解だよ、じゃあ集合は東門だよ」
「俺も行くか、確かソロ推奨は南門の方だったな」
「そうだね、なら一旦ここでお別れだよ」
「セン何か有ったら呼びなさい、直ぐに駆けつけるから」
「応、それじゃあな」
そうして俺は南門に向かった。
キャラクタープロフィール
・ミニッツ(ミニコ)
・呪術士
・主人公の幼なじみ、無表情
小学生に間違われる位の小さい体で大仰な話し方をする少女
その様子が小さい子が背伸びしているみたいでかわいいとクラスのマスコット扱いされている
本人の預かり知らぬ所で「ミニちゃんの恋を応援する隊」が結成されている
 




