もうひとりの封札士
今日は二日目だ。
ハイジマの町の勇士像の近くにインする。
ミニッツは遅くなるしモンドもまだインしてないみたいだな。
課題に手こずってるのだろうか。
露店通りを歩いてヤクミチを探すが居なかった。
ブラブラと露店を見ながら歩いているとヤクミチからTELが届いた。
『センちょうどいい今暇か?暇なら手伝ってほしいことがあるんだが』
「ヤクミチか手伝いってなに?」
『実は昨日森で集めた素材加工してるんだがな必要なアイテムで足りないのが有るんだよ、こっちは作成で手が離せないし代わりに集めてくれないか。もちろんお礼はする』
たしかに暇だし、やることと言えばLv上げぐらいか。
『助かる、集める素材自体はソロでも行ける簡単なやつだ』
ヤクミチからメールで必要な素材のリストが届く。
えっと森の浅瀬に出るパッティゴブリンの角を10本にグレタウルフの尻尾5本か。
浅瀬のノーマルのゴブリンならソロでも行けるな。
「メール確認した、何時までに必要?」
『出来れば2時間以内で届けてくれ』
「わかった、急いで持って行くよ」
まずはショッシン平原でのウルフ狩りだ。
尻尾はそれなりに出にくいので急ぎ狩り集める。
暗闇剣と護衛の魅了ウルフのお陰で狩りがだいぶ楽になった。
今なら5体同時に相手にしても問題無さそうだ。
欠点と言えば魅了ウルフのみで魔物を倒した場合アイテムが出ないことぐらいか。
結局使役獣じゃなくて魅了しているだけの敵魔物ってことなのかね。
もったいないけど戦力だしな。
20分ほどかけて尻尾を5本集める。
次はゴブリンだ。
町に一旦戻り消耗品の補充と白い紙を購入して封札を作成しておく。
そうしてパッティの森に向かおうと東門を目指す。
その途中の通りで人集りが出来ていた。
どうやら言い争いの喧嘩が起きているらしい。
こういった喧嘩に巻き込まれても良いことないし無視するか。
「もう一回言って見なさいよ、この脳筋」
「誰が脳筋だ!だいたい封札士なんて何の役にも立たないクズ職じゃねえか。そんな居る意味の無い職の好き好んでやるなんて気がしれねえよ。とっとと別の職に変えてきやがれ」
前言撤回
封札士を役立たず扱いするなんてな、どこの脳筋だ。
人集りをかき分けて喧嘩している連中の所まで行く。
封札士をバカにしたのは許せないけどすぐに乗り込むようなマネはしない、まずは状況の確認だ。
喧嘩をしていたのは5人の男女、正確にはそのうちの二人だ。
立ち位置で見れば3対2、いや2と1対2だな。
喧嘩している男はおそらく剣士か背中に両手剣を装備している。
女の子の方は腰に短剣を差している子と杖を持っている子だ。
どうやら男がけんか腰に女の子を責めていて別の女の子がそれを庇っているようだ。
男の後にいるふたりは男を諫めようとしているようだがまったく効果が無い。
庇われている杖を持った女の子が封札士なのかな?
「サイト情報でも封札士の役立たずだって書かれてるだろ」
「そんなことありません~アンズちゃんはすごく役に立ってます~」
「役に立ってる?封札のスキルがか?嘘言ってんじゃねえよ」
「むぅ~」
見たところ形勢不利だな。
「リンちゃんもういいよ、もう行こうよ」
「私が良くないです~かわいいアンズちゃんをここまでバカにされて引き下がれるものですか」
「はっ、役立たずの友達ってのも苦労してるみたいだな」
「おいギンお前もいい加減にしとけよ」
喧嘩している二人は熱くなりすぎて回りの話をまったく聞けない状態になってるな。
そろそろ乗り込むか。




