表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

Ⅰ:それでも僕は義妹萌なのだ。

 『お・・・おにいちゃん・・・。』


 僕の目の前で、優しく、それでいて高く、幼さの残っている声がする。

 その声の持ち主は13歳、中学1年で、はだけたシャツと、はだけたスカートを僕にさらしている。



 『や・・・やめよう?きょおだいなんだよ?』


「うひゃひゃうひゃひゃ。」


『んっ・・・。』


 ペロッとなめられ、少し恥ずかしがる。



 「でへ・・・でへへ。」


 『お・・・おにいちゃん、い、いたいよぉ。』


 「ぐふ・・・ぐふふふ、ぐぁはっははははははあ!香ちゃんかわぇぇえ!!」


 ついに、叫んでまった。



 液晶画面に。

 萌。

 無限大に広がるその世界は、

 汚れることなく、ずっとキレイに輝き続け。

 信じるものに力を与えてくれる。

 その力もまた―――――――輝き続ける。




 僕は、萌には敏感だ。

 萌こそ、僕のすべてと言ってもいい。


 萌と言ったら、男としてやはり女の子に求めるモノがある。

 その中でも、ツンデレは代表的だろう。

 だが、ツンデレと言うのは代表的であって、そう簡単にいるモノではない、ある意味レア萌の一種でもある。

 ライトノベルとかでよく出てくるけれど、実際、身の回りにそう多くはいないと思う。

 さらに、ツンデレというのはやろうと思って出来るモノではない。

 キャラの個性といい、才能のようなモノだ。


 萌という銀河はとても広く、僕が一番求める萌は、




 義妹いもうと


 義妹は素晴らしい。 

 先ほど挙げたツンデレもついてくるし、おまけに僕好みの年下だ。

 ツンデレだけじゃない、清楚も有りだし、何より義兄(あに)を尊重する義妹が一番だ(←この事に関しては夢見すぎだとちゃんと自覚している)。

 


 そんで。


 今の今、と言えばエロゲーで、主人公の義妹、(裏ルート)かおりちゃんを攻略している

 ところだ!!。


 ・・・なんてこった。

 主人公の(うぎゃwww)を丸呑みにしやがった!?

 主人公になりてぇ!!


 エロゲーをしながらそのエロゲーの主人公に憧れる、主人公がいた。

 言うまでもなく、それは――――――。


 僕の事だ。



 「ぐほwwww・・・・あ、やっべ!?もうこんな。」


 5時だった。勿論、朝の。

 当然学校もちゃんとある平日で、8時半までには教室にいなければならない。


 いい感じな進み具合だったのに、とりあえず、香ちゃんにバイバイした。


 「香ちゃん・・・学校から帰ったら真っ先に会いに行くからね!」


 そう言って、寝た。



 ――――-―---おっはよ~ぅ!おに~ちゃ~~ん!!。

 朝だ。香ちゃんボイスだ!僕の携帯のアラームだぁ~!!


 て言っても、二時間しか寝ていないから。

 だるい。


 顔を洗って、歯を磨いて、朝ごはんを食べて。

 制服に着替え、レッツラ・ゴ~。

 

 マンションの駐輪場で自転車に体重を乗せ、こぎ始める。

 7時半のこの町は、なかなか、嫌な空気をしていない。

 マンションの目の前の道路は、幅だけは広いのに渋滞になることがめったに無い。


 信号を待っていると、不意に肩を叩かれた。

 ん、叩かれたというよりは、手を置かれた。の方が正しいかな。


 「おっはよぅ!マタタビ。」


 声をかけて来たのは、僕の友人、垣原かきはら 清音きよね。女の子。 

 髪はセミロングでさらさらストレート。本人は黒と主張するが、微妙に茶髪気味である。

 ちなみに、ツンデレではなくボーイッシュな元気っ子だ。

 マタタビ、と言うのは僕の(あまり好ましくない)あだ名だ。


 「お、おう。てか、マタタビはそろそろ止めないか?」


 「いいじゃんよう。あんた、猫みたいなんだし。」


 「走るの速いくらいでなんで猫になるんだよ。」


 僕は、足が速い・・・らしい。

 昔(自分でもいつだったか定かではない)、僕は何かに憑かれた。

 何が僕に憑いたのかは分からない。

 どうして憑かれたのか、原因も分からない。

 ただ、何かが僕の身の中で、ざわめく何かがいる事だけは確かだった。


 「走るだけじゃないでしょ、ジャンプ力だって。」


 「ジャンプねぇ・・・。」



 信号が青になり、清音と同じタイミングでペダルを踏む。

 リハーサルでもしたんじゃないかと思うくらいで、なんか少し面白かった。


 家から学校まで30分くらい。

 行くまでが遠く、着くと近く感じるような距離だ。


 義務教育も終わり、楽しい愛しい給食ともおさらばし、遥々この学校に通うわけだが。


 「おい!神前!!」


 「ふぁはい!?」


 僕を呼んだのは、現代社会の佐野教員。


 「な・・・何用でしょう、かぁ?」


 「お前、まだレポートを提出してないぞ。いつになったら提出するんだ!?」


 「ぐわわわわわわぁ!?」


 某有名なアヒルのキャラクターの如く、驚いてしまった。


 「今日の放課後までには仕上げろ!」


 やばい・・・佐野さん、

 僕に何しでかすか大体予想つくけど分かりたくねぇ、てかやんなきゃマジやべぇよ。


 「ぺなるちぃだねぇ~。」


 「うるせぇ。」


 空は晴天、心は土砂降りだった。 

 きっとそのうち、土砂崩れも起きそうだ。

 冬には雪崩も起きそう・・・。 

 

 下駄箱で靴を履き替え、


 「そういえばマタタビ、あんた昨日の数学小テスト、どうだった?」


 清音の問いにお答えする。


 「勿論、僕の成績に則っての4点さ。」


 10点中、4点。四捨五入で0・・・。

 自信たっぷりに言ったけれど、心底落ち込んでもいた。


 「わざわざ四捨五入するな~、世の中、四捨五入すればいくらだってバッサリ0だぜ?」


 励ましのつもりだろうが、まったくもって効果が出ない。

 逆効果ですらでなかった。


 焦りと苛立ちを混合させつつも、教室へと向かう。

 焦りと苛立ちを混合させると、何が出来るのだろう。

 見事中和して、ストレスでも解消してくれないかしら。


 自分の席へ着き、さっそく、

 レポートを書き始める・・・。


 「さっそくかぁ~、意外と気が回るもんだね。」


 「あの人の宿題をずるずる引きずってると碌な事がない、てちゃんと学習したんだよ。」


 「宿題をずるずる引きずる時点で勉強してない証拠だね。」


 ――――――だからテストも碌な点数とれないんだよ。

 

 言われたくないことを雑作もなく言われた。

 ・・・どうやら焦りと苛立ちは中和せず、僕の怒りをヒートアップさせるための材料でしかなかった。


 「ぅ・・・。」


 焦りと苛立ちは怒りをヒートアップさせなかった。


 「ん?どうした?」


 どうやら、その混合物は、


 「腹が・・・痛い。」


 シャウトしているらしい。



 腹痛だった。

 とりあえずは大急ぎで、トイレへとBダッシュ。

 ほど早くはなっかったと思うが、そのつもりで走った。


 勢いよくドアを閉め、鍵をちゃんと掛けて呼吸を整える。


 「いってぇ~、なんだ急に・・・。」


 一応はすっきりしたものの。

 まだモヤっとした感覚が残っている。


 ふぅ~。とため息と一緒に天井に顔を向けた。


 白い髪の女の子が、なんの表情もなくこっちを見ていた。 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

三作目です。

一作目【無銘】と絡みを入れようと思っておりますので、ぜひこの続きも読んでみてください。

文中の誤字脱字など発見がございましたらぜひコメントをください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ