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「プロローグ」

「プロローグ」


 オレは思う。

 きっと、この世の中ってやつは、オレ以外を中心に成り立っているのだと。

 世界、などと大層な表現を使ってしまったが、なんてことはない。

 オレなんて存在は本当にちっぽけで、どこにでもいるような一小市民で、ごくごく普通で真っ当な高校生なのだ。

 そんな平凡な人生が死ぬまで続く筈だった。

 その筈だったのだ… あの時、あの女と出会うまでは。

 あの女。

 そう、オレはあの日、確かにあいつと出会った。出会っちまったんだ。


          ◆


 季節は春。

 桜舞う出会いと別れのこの季節、オレは幾つかの追試と幾つかの説教を潜り抜けた末、辛くも進級した。


 一応、オレの一握りの名誉のため弁解しておくが、オレは断じて赤点など取っていない。説教を受けたのも、オレが問題児だからじゃない。

 オレが今こうして、新学期も早々に学園まで全力疾走しなけりゃならんのも、あれもこれも、全てにおいてオレに非はない。


「だからさー、悪かったって。僕が全面的に悪かったから機嫌直してよーアラタ。ほらぁー、僕ってば低血圧だからー、ね? ね?」

「あー、五月蠅い、五月蠅い。言い訳してる暇があったらとっとと走れ。それに見ろ、ギコはもうあんな先だぞ?」

 先ほどから妙に女々しい事を抜かしながら、オレの隣を並走する女顔のこの男。

 赤点も説教も今日の遅刻も、全ての元凶はこの男にある。

 こんな男と不覚にも関わり合いになってしまった事実は、オレの人生における汚点の一つであると断言出来た。

「うっへー、流石は姉貴。あの細い体のどこにそんな体力が隠されてるのかな。僕らじゃ到底かないっこないよ。… んふふ、でもま、そこがまた堪らないんだけどね。ってことでさー、僕らは僕らでゆっくり行こうよぉーアラタ。僕ら、ふ、た、り、で。ね?」

 そう言ってフータがオレの手をぎゅっと握ってくる。

 瞬間、オレの全身を悪寒が駆け抜ける。

 何を隠そう、こいつはシスコンなのだ。それも重度の。

 そして、それと同時に、もはや治療不可能なレベルの変態でもある。

 シスコンと変態の二重苦。 こいつという存在は、現代社会の歪みが生み出した一つの悲劇なのだ。

 そんなヤツに対して、オレがしてやれる事はといえば、憐れみの表情を浮かべつつ断固として侮蔑してやることだけだった。

「断固、ノーサンキューだ。それに、オレはお前ほど体力が無いわけじゃないし、例えここで体力を使い果たしてでも、ギコに追いつくほうを選ぶ」

 オレはそれだけを言い残し、へろへろと横を並走するフータを一気に突き放し、遥か前を行くフータの姉目指して走った。

「けちー。アラタのイケズー」

 後ろから聞こえてくる意図不明理解不能な気色の悪い声を無視し、オレは呼吸を整えつつギコへと接近した。

 長く美しい黒髪をたなびかせ、モデルのようにすらっと伸びたおみ足を規則正しく動かす、まるで本職のランナーのように美しいフォーム。

 頬を少しだけピンク色に染めながらも、彼女の呼吸は一つも乱れていない。

 一緒に走るなら、あんな変態男と比べるまでもなく断然こちらだ。

 誰だってそう思う。オレだってそう思う。


「よぅ。相変わらず速いな」

「あーちゃん。んーん、そんなことない。あいつが死ぬほど遅いだけ。いっぺん本当に死ねばいいと思う」

 オレの呼びかけに対して、彼女は顔をゆがませ、まるで汚物を見るような眼でちらりと後方を一瞥したのち、毒を吐いた。

 奇麗なバラには刺があるという有名な諺通り、彼女もまた毒を持っている。それも強烈な猛毒。

 だが安心してほしい。彼女は決して危険人物なんかじゃない。勿論、毒舌家でもない。

 彼女が毒を向ける人物はこの世界でただ一人。

 彼女の人生にとっての最大にして最凶の不幸は、あのような弟を持ってしまったことに他ならない。

「そうだな。全くもってその通りだ」

 オレ達は深く頷き合った後、フータには脇目もくれず全力で学園を目指した。


          ◆


「はーい、南天改君に白羽凪子さん、ぎりぎりセーフ」

 オレとギコが廊下を走り抜け二人揃って教室に入った途端、前方の教壇から気の抜けるようなのんびりとした声が聞こえてきた。

「うおっしゃ! 何とか間に合った」

「… みたいだね。あーちゃん、また後で」

 息も絶え絶えなオレに対して、相変わらず疲れたそぶりすら見せないギコは、それだけ言うと自分の席へとそそくさと向かった。

 オレもそんなギコの後姿を横目にしながら、教室の隅、窓際の一番後ろにある我が城へと落ち着いた。

 前方は、依然空席のまま。

 オレ達が席に着いたのを見届けた後、先生はその可愛らしいアヒル口を開いた。

「でーも、確かにセーフはセーフですけど、廊下を走っちゃ、めっ、ですからね?」

 出た。今日一発目の先生のめっ。

 正直、高校生に対して使う言葉とは思えないのだが、誰もそのことを気に掛けるやつはいない。この人はこういう先生なのだ。

 威厳などなくとも、クラスをまとめることは出来る。むしろ、愛すべきマスコットとしてこのクラスの鎹となってやまない。

 この人はそういう教師なのだ。

「善処します」

 オレがそう答えると同時に、学園中に鐘の音が響き渡る。

 その直後、再び教室のドアが思いきり開かれる。

「セーフ? セーフだよね? 僕ってば相変わらずタイミングがいいなぁー」

 息を切らしながら、フータが教室へと侵入してきた。

「ぶっぶー。ダメでーす。白羽風太君、ぎりぎりアウトー」

 先生は実にうれしそうに笑いながら、その手に持った名簿に遅刻の文字を書き刻んだ。

「そ、そんなぁー。まほちゃん先生そこを何とかー」

「にゅふふ、ダメでーす。風太君はあと一回遅刻で、一週間トイレ掃除の刑ですからね。もー遅刻しちゃ、めっ、ですよ?」

 オレが本日二回目の先生のめっを脳内で反芻&堪能していると、しょんぼりとうなだれながらフータはオレの前の席に座った。

 

 白羽姉弟。

 オレと共に今朝の学園遅刻戦線を駆け抜けたこの二人は、ただの姉弟ではない。双子の姉弟なのだ。双子といっても一卵性と違い二人はあまり似ていない。

 ついでに言えば性格も間逆。

 物静かでクールでまじめで、スポーツ万能な姉のギコと、目立ちたがり屋でお調子者、もやし野郎で馬鹿で変態な弟フータ。

 別段、幼馴染だとか、小さい頃結婚の約束をしただとか、ずっと一緒に育ったなんてドラマや漫画のような間柄じゃない。

 こいつらとは、オレがこの街にやってきてからの付き合い。

 だが、こいつらとオレの間には、付き合いの長さなんかよりずっと大切な何かがあると、オレは勝手にそう思っていたりする。

「後一歩だったな」

「酷いよーアラタ。僕を置いて行っちゃうなんてさー」

「お前と一緒にトイレ掃除する気は、さらさらないんでな」

 その時、まほちゃん先生が二度その小さな掌を鳴らした。

「はーいはい。全員揃ったところで、みんなー、ちゅーもーく。今日はみんなに新しいお友達を紹介しますからねー」

「うっひょおおおおーーー、まほちゃんまほちゃんそれって転校生?」

 フータが騒ぐ。まぁ、いつものことだ。

 そんなフータを無視し、オレは、まほちゃん先生の先程の言葉を冷静に脳内反芻した。

 あたらしいお友達。先生の小学生用語を脳内変換。

 つまりは転校生。そう、転校生。

 

 ……… 来た。ついにこの時が来た。とうとうやって来たのだ。来てしまったのだ。

 季節的に考えれば、おかしなところはなにもない。むしろ、サクラ舞うこの季節こそぴったりだと言える。正直に言えば期待すらしていた。

 後は、相手が男か女か? どんなやつか? 折り合い良くやっていけそうか? ってことだ。

 妄想なら何百というパターンをこなした。大丈夫だ、問題ない。大抵のやつなら対処しきれるだろう。

 さぁ、来い、姿を見せろ転校生。

「な、南天さん。目つきが何時にも増して怖いですけど、その、大丈夫ですか?」

「んあ? いやいやなんでもない。問題ない。到って正常だ」

「そ、そうですか?」

 フータの隣の席の女子に窘められるオレ。

 いかんいかん。若干テンションが上がり過ぎてしまったらしい。

 これじゃフータのことを馬鹿に出来んぞ。落ち着けオレ。大丈夫、セオリー通りならまちがいないはずだ。

 

 つまり、さっきから何が言いたいかと言えば、ようするにオレの隣の席は空席なのだ。


 まるで、来たるべく転校生のために用意された席であるかのように、この1年と1ヶ月の間、隔絶された虚無の空間だったのだ。

 休み時間や昼休みなど、大抵は白羽姉弟が使用するに至っていたその空席が、新たな役割をその身に宿す日がとうとうやってきたのだ。

 暴露しよう。

 赤裸々に暴露しよう。

 

 隣の席にどんな奴が転校してきて、どんな風に自分と関わっていくのか? それを妄想するのが、オレの崇高で真摯な趣味の一つだった。

 おかげでこれまで数多くの脳内パターンが生まれてきたものの、それも今日この瞬間で終わる。

 

 今日、妄想が現実となるのだ。

 

 これが興奮せずにはいられようか? いやいられまい。

 オレが脳内物質を大量生産大量消費を繰り返す最中、まほちゃん先生が件の転校生に告げる。

「お待たせー、どうぞー入ってくださいねー」

 まほちゃん先生に導かれとうとう、転校生が教室内へと姿を現す。

 鼻血。

 恥ずかしながら、オレのテンションは最高潮に達してしまったようだった。

 顔を伝い、ぽたぽたと垂れる鼻血を全く意に介さず、オレは件の転校生を見つめた。


「あははっ! 皆さん、おはよーございます。ボクは美才冶世界と言います。不束者ですが、適当にそこそこ仲良くしてやったり、してやらなかったりしてください」

 そう言ってペコリと頭を下げた転校生は、小柄でピンクフレームの眼鏡がよく似合う、ポニーテールの女だった。

 だが、それより何よりオレが注目したいポイントが一つ。

 … あの転校生、今、自分のことぼくって言ってなかったか? ぼく。… ぼくっ娘だと?

 オレの777の脳内シュミレーションの中でも、まずまずのレアケースだと言える。

 俄然興奮して来てしまうオレ。滴り落ちる鼻血。

「あの、南天さん。これ、使ってください」

 そう言って、斜め前の席のそのクラスメイトは、オレにハンカチを貸してくれた。

「… すまん」

 あえてもう一度言う。

 オレの趣味は妄想だ。

 その妄想が今、現実になろうとしているのだ、これが興奮しないわけがない。

 だが、そんな高尚な趣味をクラスメイトに、ましてや転校生にまで暴露する気はない。これはオレの密かな趣味。ささやかな趣味。

 クラスの変態役は、フータ一人で十分なのだから。

 

 オレは鼻血を拭き取とるうちに、次第に落ち着きを取り戻していった。

「みんなー、美才冶さんに質問したいことがいっぱいあると思うけど、ざーんねん。遅刻くんのおかげでその時間はありませーん。ということで、質問タイムは休み時間までお預けで、早速一限目始めちゃいますよー」

 クラス中からフータに対してのブーイングが飛び交う。

「なははは、やっぱり僕ってば大人気だね。転校生を差し置いて。なんて罪深い僕」

 こいつはそういうやつなのだ。

 あえて誰も突っ込まないし、相手にしない。去年一年間で、皆こいつをどう扱うべきなのかは、嫌と言うほど履修済みなのだ。

「はーい、みんな静かにー。それじゃ美才冶さんは、そうね… 取り敢えず一番後ろ、南天くんの隣があいてるからそこに座ってね?」

 

 ……… きたきたきたキターーーー。

 やはりきた。当然と言えばと当然だが、クラスの中の唯一の空席である、オレの隣の席を指名される転校生。

 ふわりとその短いスカートをはためかせ、颯爽とオレのもとへとやってくる転校生。正確にはオレの隣の席へ、だが。

 成る程、近くで見てもやはり小さい。比較的高身長のオレやギコに比べるとなかなかに身長差が有りそうだ。150センチ切ってるのかもしれない。それに何だろ、何故かいい匂いがする。妙に落ち着くと言うか。懐かしいというか。

「ん? ボクの顔に何かついてるか? それとも、そんなに転校生が珍しかったかな?」

「ああ、悪い。ちっと行儀が悪かったな。オレは南天。南天改。まぁお隣さんつーことで、一つよろしく頼む」

 オレは初対面の転校生をガン見し、あまつさえ無意識にその匂いを嗅いでいたという失態を悟られまいと、一気に自己紹介を捲し立てた。

「ん。そうかそうか南天君か。こちらこそ適当にほどほどに、よろしく頼むよ」

 幸い、オレのそんな慌てっぷりが可笑しかったのか、転校生はにこりと微笑みながら答えてくれた。

 それに気を良くしたオレは、席に着いた彼女を横目でじろじろと見ながら尚も観察を続ける。

 適当にほどほどに、ねぇ。

 先ほどの自己紹介といい、何となく掴み所の無い感じがする女だ。

 

 日直の妙に甲高い号令と共に、まほちゃん先生の一限目の授業が始った。

 教科は国語。他の教科ならいざしらず、まほちゃん先生の授業をさぼるわけにはいかない。

 オレはノートと教科書を取り出し、机の上に並べる。

 当然、隣の転校生はまだ教科書など持ち合わせてい居ないだろう。こいつのことをもっと探るためにも、どれ、ここは一つオレらしくも無い行動をとってみよう。

 さて、転校生よ。お前はどんな反応を見せてくれる?

「教科書、まだ持ってないだろ? 良かったら一緒に見るか?」

「わぁお! ふーん、ほぅほぅ」

 … 驚かれた。

 しかも何故か逆にこちらが観察されている。

 転校生の視線がオレに集中する。やっぱり、なれないことはするもんじゃないな。結局ろくな事にならん。

「君は、目つき悪いわりに実はまじめなのか? 意外だな。まぁ、ボクのことはおかまいなく。何せ、これからお昼寝タイムだからな」

「目つきは関係ないだろ、目つきは。あー、はいはい。そうか。OK分かった」

 転校初日の最初の授業で昼寝を決め込もうとする、なかなか肝の据わったヤツだということは充分理解出来た。

 それと、オレの目つきは悪くない。断じて悪くない。

 何にせよ、オレの彼女に対する第一印象は… 良く分からんヤツ、だった。


 そして、一限目が終わり最初の休み時間。

 案の定、彼女の周りにはクラスの世話好き、新しい物好き、ゴシップ好きの連中が集まりその人口密度を高めていた。

 隣の席という特権を駆使し、彼女に対してのファーストインプレッションを終えていたオレは、その場を離れ教室の外へと逃れる。

 そんなオレの様子を目ざとく発見し、後をつけてきた人物が一人。

「またまた妄想してたでしょーアラタ」

「何の話だ?」

「むっふっふ。ごまかしたって無駄だよ。どーせまた、あの転校生を使ってあれやこれやと妄想してたんでしょー? このムッツリめー。この妄想族めー」

 そう言いながら、オレの脇を小突いてくるフータ。

 確かに妄想はしたが、オレはこいつの考えているような品の無い妄想をした覚えは無い。

 オレの場合は紳士の嗜みであって、こいつの場合は完全なる下心。

 そこには深い深い溝、もしくは高い高い壁が有るといっても過言ではないのだ。

「んでどーよ? どうなのよー? 一言二言くらい喋ったんだろ? 隣の席なんだからさ」

「そうだな。断られた」

「はー? 何だよソレ。断られた? ちょっとちょっと、どーしたのさアラタ。早速手ーつけようとするなんて、やっぱりムッツリだよアラタは」

 勘違いも甚だしい。

 オレがどういう人間かを、少なくとも他のヤツより知っている癖にその言い草。

 人には何かひとつくらい才能があるというが、恐らくこいつは人を苛立たせる天才なのだろう。

 世の中には、得てして無駄な才能ってやつがあるものなのだ。

「だああああ。違う。それに大声出すな。誰が初対面の人間に手なんか出すか」

「なーんだがっかり。手を出さないんだったら、それじゃ何を出したってのさ」

「だ、か、ら。何にも出してない。オレが教科書貸そうとしたら断って、そのまま授業終わりまでぐーすかしてたって話だ」

「ほえええ。初っ端から居眠り?やるなぁ、彼女。というか一日学校で居眠りだなんて、お前は何しに来てんだよ、って感じだよね?」

 お前が言うな。

 授業開始のベルのおかげで突っ込み損ねたオレは、代わりに心の中で三度突っこみを入れた後、大人しく席へと戻った。


 

 驚くべき事に、その後の授業においても、終始昼寝を決め込んだ彼女は、結局一度もノートをとることも授業を聞く事も無く転校初日を終えてしまったのだった。

 こいつ、本当に、何のために学校に来てるんだよと、思わずフータと同じ感想を抱いてしまったのが我ながら悔しい。

 帰りの連絡事項伝達も終わり、妙に甲高い声の日直が号令をかけた。何事も無く一日が終わった。

 オレがそんな感慨にふけっていたそんな時、隣の彼女がオレに話しかけてきた。

「んー。まだ慣れないせいかなんだか疲れたよ」

「そ、そうか。まぁ、何といっても初日だしな。そんなもんだろ。というか良かったのか? 初っ端からずっと寝てたみたいだが」

「あははっ! いやいや、ノープロブレムさ。なぜなら、元々今日すると決めてたのはたった一つだけだからね」

「へぇ。で、その一つってヤツは何だ? もしかして部活とかか? まさか生徒会に入るなんて言い出すんじゃないだろうな?」

 その瞬間、確かに彼女のピンク色の眼鏡が光った気がした。

 少なくとも、オレにはそう見えた。そう見えたのだ。

 可愛らしい顔を歪め、今までと違うどこか悪魔的な微笑を浮かべながら、彼女は言った。

「… 南天君。君さ、本当の自分って、知りたくないか?」



 断言しよう。

 こいつはちょっと変わった転校生なんかじゃない。少なくとも、平穏な毎日、健全な学生生活、そういったものを望む人間にとって、一番関わっちゃいけない類の人種なのだ。

 残念な事に、本当に残念な事に。

 どうやらオレは、知らず知らずのうちに地獄の一丁目に片足を突っ込んでいたらしい。


 この時、オレは確信した。

 どうやら、世界はオレ以外を中心に廻っているらしいと言うことを。



END


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