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第2話 いやぁ、猫ってしゃべるんですね

 「ね、猫がしゃべっ……お、鬼がほんとにいる!?」

パニック状態になったりんを落ちつかせたのは、なんとこの妖魔達だった。

「へっ、人間の小娘にしちゃずいぶんといい匂いがするねぇ」

「ちょいと三つ目猫。その子は風の宮様のお気に入りじゃないのかい? 食ったらだめだろ」

 そんなことを言っているのは、さっきまで窓の外で手を振っていた女の人。

「えっと、りん様だっけ? お邪魔しますよ。あ、あたしらはりん様の護衛みたいなもんですから」

 恐怖の方が強いが、その女の人はとても優しい。

三つ目猫はぺろぺろと毛並みを整えはじめた。小鬼はベッドの上で寝っ転がったり跳ねたりして遊んでいる。

「すみませんねぇ、こんなにぞろぞろと。あたしの名前は菊野っていいます。お菊って呼んで下さいね」

 手を差し伸ばされ、とりあえず手を握る。すると、菊野の手は思っていたよりもあたたかかった。

「あの、これ一体……」

「あれ? 話し聞いてませんか? 風の宮様に頼まれたんですよ。変なのからりん様を守れと」

 変なのって、何なんだろう。

「怒らないで下さいね。三つ目猫も、なんだかんだでりん様が心配なんですよ」

「お菊、余計な事を言うんじゃないよ。おいらが人間の小娘を心配するわけないだろ」

 すると菊野さんは三つ目猫の首根っこを掴むと、ひょいと持ち上げて猫を睨む。

「可愛くない猫だねー」

「は、はにゃせぃ! おいらをただの猫だと思ったら大間違いだぞ!」

 頑張って抵抗している三つ目猫は、やっとのこと菊野から逃れるとりんの隣にぴったりとくっついて座る。

警戒する様に菊野を睨む三つ目猫、りんは自然と笑顔になっているのが自分でもわかった。

「おいらは三つ目猫の大京。普通の人間にはただの猫にしか見えてないから安心しろ」

「わ、わかった。お菊さんはその、ゆ……幽霊なの?」

 するとお菊は大声で笑いはじめた。お菊だけではない、小鬼達も一緒になってキャーキャー笑っている。なんだか恥ずかしくて、思わず大京をギュッと抱きしめた。

「はっ、っははは!! あたしは幽霊じゃないよぉ! 風の宮様に仕えてる物の怪さ」

 物の怪、と聞いてもう驚かなくなった自分はきっと慣れてしまったのだろう。

なにせ、実際に物の怪やらが部屋にいて会話もしているのだから。

「驚いたねぇ、ちゃんと足がついてるのに」

「ごめんっ。だって私、幽霊苦手なんだよっ」

 お菊は「そうなのかい?」と言って目を丸くしている。人間で幽霊が可愛いと思える人なんて、そうそういないと思う。

「幽霊ってのは、成仏したくないって駄々こねてる奴らだよ。おいら達みたいに物の怪や化け猫になるのを恐れてる。阿呆だね、阿呆。そこの小鬼だって元は3歳の人間のガキだったんだよ」

 大京は必死にりんの腕の中から逃げると、器用にぺらぺらと語った挙げ句器用に前足で人差し指サイズの小鬼らを指差した。

人間離れしている彼らにとって、人間や幽霊はなんともおめでたい存在なのだとか。

 だけど、最近は人間が彼らが暮らす場所を無理矢理奪っているせいで、人間をよく思わない物の怪が多くなっているらしい。お菊は元々世話好きだし、大京は喋らなければただの猫。学校にでも入れば、猫ちゃん猫ちゃんと可愛がられ餌が貰えるんだろう。

「あたしらも風の宮様のお弟子さんを捜してみたんだけど、人に化けられちゃどうしようもないね。人間に手伝ってもらわないと」

「風の宮さんは神様なんだし、どうにかできないの?」

 すると、部屋の空気が一気に重くなった。きっと聞いてはいけない事だったんだろう。言いにくそうにお菊が呟く。

「そのお弟子さんに、神社から出られない様に呪いをかけられちまったらしいんだ」

「の、呪い!?」

 うんとお菊はうなずいた。お弟子は相当風の宮が嫌いなんだろう。

しっぽを振っていた大京が見を乗り出して話す。

「神社の周りに霧が出てただろ? あれは不浄な物で、神様はあの霧に触れると力を制御されちまうんだ。あれがこの町のあちこちで出てる。でも、りんはその霧を浄化してたし、多分耐摩の波長の持ち主なんだろ」

 耐摩の波長。初めて聞く言葉をお菊は説明してくれた。

「魔を退けてくれるのさ。人間の中でも限られた奴じゃなきゃ持ってない体質だ。りん様がいないと風の宮様は神社から出る事もできないし、人間に化けたりお力を使う事もできない。だからあんまり目を離したくないんだろうね」

 ケケケッ、と大京はおもしろそうに笑った。お菊は「笑い事じゃないよぉ」と言って困った顔をしている。

「りん様は風の宮様と一緒にお弟子さんを捜してくれると言った。そりゃぁ、風の宮様もご一緒なら心配はないと思うけど、何かあったらあたしらが守るから。だから、風の宮様を信じて、お弟子さんを捜してほしいんだ。図々しいが、あんたに頼まなきゃぁあたしらはお手上げなんだよ」

 お菊の熱がこもった表情や言葉に、りんも心を打たれた気がした。

なんてお騒がせな神様なんだろう。クスクスと笑って、りんは立ち上がった。

「よろしくお願いします」

 深く頭を下げた。するとお菊も大京も、小鬼達ですら目を丸くして固まっている。

「りん様……あたしゃ今、あんたに感動したよぉ!」

 お菊がフワリと浮いてりんに抱きついた。お菊を受け止めながら、足下ですねを擦っている大京が跳ねはじめる。小鬼達も喜びを隠せずに騒いでいる。この騒ぎに、家の一員である母が気づいた。

「りんー? 何をどたばたやってるのー!?」

「えっ!? 何でもない! ちょっと電話してんの! 話しが盛り上がっちゃって、あっはは!!」

 ドアの鍵をこっそりと閉めて、やっとりんから離れたお菊が大京の首根っこを掴んで振り回しはじめる。

「にゃ、にゃめい!!」

 ”やめい”と言いたかったんだろう。可愛らしい奴だ。

「じゃ、りん姉さん。あたしは風の宮様の所へ行ってくるんで」

「はいよー」

 どうやら”様”ではなく姉さんになってしまった。江戸っ子口調が混じったお菊にとって、様よりも姉さんのほうが親しみやすいんだろうと思って何も言わずにいたが、大京はなんだか呆れた顔をしている。

「あいつ、りんの事を姉さんだって。自分の方がうんと歳をとってるのにねぇ」

「そう言う事は、突っ込まないの」

 窓の外を見れば、そこはもう高層ビルが建ち並ぶ世界。初めてこの家にやってきた時はまだ畑や田んぼが残っていたし、よくお地蔵様におにぎりをお供えした。神社や寺で遊んで、帰りには駄菓子屋に寄って一本100円のオレンジジュースをお姉ちゃんと半分こしていた。

 思い出に浸っていると、大京が「どうした?」と肩に飛び乗る。普通の猫よりも一回り小さいこの猫はバランスよく肩に乗っている。三つ目がうるうるとりんの顔を見つめている。

「ちょっと思い出に浸ってたんだよ」

「りんの小さい頃の話しかい? おいらも聞きたい」

「えぇ?」

戸惑っていると、小鬼達もぞろぞろと集まってきた。

「ほら早く」

 急かされるはめになり、りんは渋々話しはじめた。


「私は小さい頃、もっと田舎に住んでたんだ。5歳の時にここに引越してきて、その時はまだ田んぼとか畑とかこの辺にもあったんだよ。家のすぐ近くに駄菓子屋があって、よくそこでお菓子買ってた。でも……あ、そう。10歳のとき、迷子になってさ。その時ね、顔は見えなかったんだけど、和服なんか来てる男の人が家まで連れてってくれたの。その人の話してる事が変でさぁ、『お前は俺達を呼び寄せる体質をしておる』って。家に着いたらその男の人はいなくなってたからお礼もできなかったんだけど」

 そこで、大京がりんの膝にちょこんと前足をのせた。

「その人……神様だったんじゃないのかい?」

「えぇ? あれが神様? 違うと思うよ、全然神々しくなかったし」

「そうかい」

 小鬼達がお菓子お菓子と騒ぎはじめた。

「りん、おいらも腹が減ったよ」

「はいはい……」

 焼き魚でも持ってきてあげよう。立ち上がり、今日着ていたコートの中からキャンディーを取り出して小鬼達に手渡した。嬉しそうに飴をなめる彼らを、今だとばかにりじっと見つめる。角は確かに生えていた。

「りん、おいらにも何かおくれよ!」

「わかったわかった。だから、部屋からでないでね。小鬼達も」

 小鬼達は素直に頷いた。だが大京は何を今さらと言う顔をしている。

「京子さんはおいらのこと知ってるよ」

 京子さんとはうちの母の名前である。なぜこの化け猫が知っているんだ。

「だって昨日、一昨日は京子さんに昼飯貰ったんだもん」

「い、いつの間に……」

「それに小鬼達は普通の人間には見えないから、大丈夫だよ」

「そうなの?」

 それならいいかと大京を抱えて、飴を舐め終えてゾロゾロと大行列を作る小鬼達も引き連れて下のリビングにおりた。

母の反応は、想像もしていないものだった。

「りん! その猫ちゃん、拾ってきたの!?」

「う、うん……家で飼ってもいい?」

「もちろん、全然オッケーよ!」

 今にも大京に飛びつかんばかりの勢いだった。

「名前は、ロキね」

「ロキだって?」

思わず大京が口走った。

「ロキだって? ほら、私だよお母さん。ロキはよくないと思う。大京とかどう?」

「大京? んまぁ、あんたが拾ってきたんだから、あんたが決めていいけど」

 なんとか誤魔化せた。じろりと大京を見ると、申し訳なさそうにしゅんとしている。

「じゃ、ご飯にしましょ」

 お母さんの一言で、大京はぴくんと体を震わせた。

まさかこいつ、それを狙っていやがったのか。

 そしてその後、夕飯戦争が起こるがそれはまた別の話し。


翌日、普段通り学校へ行き、普段通りを過ごした。どこか冷めている学園生活だが、満足している事に変わりはない。

ただ一つ違ったのは、風の宮さんが住む神社の一人息子、貴島浩輔か話しかけてきた事ぐらい。

「羽山……だったよね」

 話した事もない相手だったせいか、貴島も遠慮がちに聞いてきた。

「そうだけど」

 答えると、彼は髪の毛をぽりぽりとかきながら言う。

「昨日神社にいたよね」

「いたね」

 スッと、背中に冷や汗が吹き出てきた。

「犬が一緒だったけど、散歩?」

「そう。ただの、散歩」

 中々本題へ入ろうとしない彼に、りんも自然と逃げ腰になってきた。

「最近本殿で不思議な音がするんだ。誰もいないのに煙草臭いし」

 完璧に、風の宮さんの事だった。

「へ、へぇ。そりゃ大変だね。でも私は煙草なんて吸わないし」

 当たり前だ。まだ高校1年生だし。

「昨日、親父が本殿に引きずり込まれてる女の子を見たって言ってて。特徴聞いたら、羽山が思い浮かんで」

 それは間違いなく自分の事だが、見ているなら助けてくれても良かったじゃないか。

段々苛立ってきたりんは腕を組み貴島を見る。こうなったら誤魔化してやろう。

「本殿に引きずり込まれる? そんな神隠しみたいなことあるわけないじゃん。お父さんは見間違えたんだよ」

「そうか?」

 貴島はまだ何か言いたそうにしていたが、それを許さなかった。

「じゃ、私はこれで!」

 そう言って逃げる様にその場を去った。

そして放課後、エナメル鞄を背負い神社へと向かった。信号を待ち、ぼーっと考え事をしていると、あの声が後ろから聞こえてきた。

「羽山?」

「きっ、貴島!?」

 驚いた。かなり驚いた。

「帰りこっちだったっけ?」

「いやあの、あんたがあんな話しするから、ちょっと確かめたくて」

「へぇ。なら丁度いいや、行こう」

 貴島がスッと前に出た。信号が青になっていたのにも、まったく気がつかなかった。

 でもこのまま一緒に行ったら、確実におかしい子だと思われるだろう。普通の人には見えない神様と会話をする女の子なんて、不気味だ。それにさっきからチラチラと小鬼や大京の姿を見る。きっとお菊も近くにいるんだろう。

「あの、先に行ってるね! じゃ後で!」

 そう言い残し、貴島を追い越して走った。神社の長い階段を上り、鳥居をくぐる。

肩で息をするりんの頭に、手が乗った。

「お菊さん! 後ろからクラスの同級生が来るから、行くなら早くしないと」

「わかってますよ! 風の宮様を呼んできます」

 そう言うなり、本殿の中へと入っていった。もちろん扉を開ける必要もない。スーッと通り抜けてしまう。

感心していると足下で何かが動いた。

「っ、て大京かよ」

「あの人間だれ」

「同級生。あんまり虐めないでね」

 納得していないようだったが、大京は小さく頷いた。

「あいつ、りんの事疑ってる」

「そりゃ疑うだろうね。怪しすぎるもん」

「認めるのかい?」

うんと頷くと、風の宮とお菊が出てきた。彼は地面から1メートル程高い位置に浮いている。だが、人には化けていなかった。

「やはり、お前は耐摩の体質か。普段よりも体が軽いぞ」

「んな事より早く行きましょう! 下から小僧が追っかけきてますよ」

 焦るお菊と打って変わって、相変わらず呑気に煙管をくわえている風の宮。まさかその煙のせいで疑われているとは思ってもないだろう。

「行くぞ、りん」

「はいはい……」

 マイペースなのは神様だからだろうか。

りんが走り出すと、彼もそれについて来る。どうやら3メートルが限度のようだ。それ以上遠くなると彼は顔色が一気に悪くなる。お菊は心配そうに風の宮を見ていた。一方の大京は、ケケケケと笑っている。

「あ、羽山」

 鳥居をくぐると、そこに貴島が立っていた。笑顔を引きつらせながら言う。

「何もなかったし、煙草臭くもなかったよ」

 煙草臭くもなかった、という所は強調していった。貴島にも風の宮にも教えておきたかったからだ。

だが後ろにいる彼は「当たり前だ」と呟いてまた煙を吐き出す。

「ん……なんか臭い?」

「そんな事ないよ! じゃ、また明日学校で!」

 彼の横を通り過ぎ、階段をいっきに下る。

「風の宮さん、人前で煙管はやめてください」

「なんだりん。文句があるのか」

 当たり前だろ? 口には出さず振り返ると、彼は酷く驚いたのか眉を寄せて「わかった」と呟いた。

大京はそれを見て「風の宮様はりんに弱いねぇ」とからかった。神様に向かってこんな口を利くなんて胆の据わった猫だ。

「りん姉さん、お弟子さんの気配がします」

「え?」

 お菊が指差す方向を見た。

そこには、大きく書かれた文字。

「ジャ、ジャネーズ事務所……」

 ジャネーズとは最近流行っている人気の男性アイドルだ。りんは興味がないせいかその影響力を知らない。

だが、世の乙女達は彼らのライブチケットを手に入れる為に朝の4時から売り場に集合している。

さらにニュースキャスターやバラエティの司会者にも進出している。もちろんその番組の視聴率は常に20%〜30%と好評だ。

「こんなところに? お弟子さん何考えてんの……」

 思わず漏れた一言。これを風の宮は聞き逃さなかった。

「手伝ってくれると言ったのはお前だろう? 早速中に行くぞ」

「待って下さい、ここ、普通の人は入れないんですよ」

 人目が気になるので小声だが、風の宮にははっきりと聞こえた。

人気の少ない路地に入り込み、風の宮を説得する。

「あそこは何ていうか……許可してもらった人しか入れないんです」

「許可? このわしがわざわざ許可を得ねばならんのか」

「はい……」

 そう言うと、彼は怒って煙管の煙を吐く。

「あそこは顔の綺麗な男の人達がたくさんいるし、私達だけだったら逆に目立ちますよきっと」

「顔の綺麗な男なら、おいらたちの中にもいるじゃないか」

 大京がケケケケと笑いながら言った。

「風の宮様、前言ってただろう? わしほど女を落とす事にたけた男はおらんって」

 ジロリと、お菊とりんが風の宮を睨んだ。

「へぇ?」

「そうなんですかい? 風の宮様」

 女二人に追い詰められ、風の宮は観念したのかため息まじりにまた煙を吐く。

「そろそろ、その煙管は私が没収しましょうか」

「いい案ですねぇ、姉さん。あたしも手伝いやしょうか」

和服の袖を捲るお菊を見て風の宮は煙管を懐にしまう。りんは腕を組みながら事務所を見上げた。

堂々と立つその事務所の中からは、音楽の音が漏れている。きっと中でダンスの練習をしているんだろう。

「というより、お弟子さんが見つかるかも問題ですよね。あたしは気配は感じるけど、ごちゃごちゃしてちゃぁ見分けがつけられないですよ」

「それは大丈夫だ。りんを見れば弟子達はまず近寄って来るだろう。りんの放つ耐摩の波長は強いからな」

「そうなんですか?」

「あぁ。居場所も手に取る様にわかる」

 それはそれで嫌だ。

「まずはこの建物の中に入らねばな」

 風の宮が腕を組み、真剣に考えはじめた。

黙っていれば十分な美形だが、口を開けばおかしいのは一発でバレてしまう。まず一人称が「わし」だもの。

「だーから、風の宮様が人に化けて入ればいいじゃないか」

「大京、簡単に言うんじゃないよ。こんな変な人、現代じゃそうそういないんだから」

 お菊の言葉に思わず人間に化けた風の宮を想像した。

まさか服装もこのままというわけにはいかない。即警察行きだろう。

だが、このインパクトがあれば嫌でも人の目にとまる。一か八か、試してみるか。

「……風の宮さん。化けて下さい」

 りんの一言に、その場にいた全員が驚いた。

だが、りんはもう一度言う。

「風の宮さん、化けて下さい。ただ黙っていればいいんです。私がなんとかします」

「りん姉さん? なんか、楽しそうな顔してますけど」


「え? そりゃぁ楽しいよ。イタズラは小さい頃から得意だったからね」

 ウィンクをして、唖然とする風の宮腕を握る。

「早くお弟子さんを見つけて、神社に帰りましょ」

このとき、風の宮は少しだけ後悔した。胆の座った女だと思っていたが、まさかこんな悪ガキだとは思ってなかった。

「はぁ……お前には負ける」

渋々人間に化けた風の宮。彼女がいるから化ける事ができるのだ。

「じゃ、行きましょうか」

 堂々と立つジャネーズ事務所へ、りんと風の宮は一歩踏み出した。





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