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前世でBL好きだったワイ、転生したら何故か溺愛されていた

作者: 井上さん
掲載日:2026/07/05

名前を借りました


主人公が前世好きだっただけなので、BL成分は少ないです


フィクションです

 目の前を、ガニメデ王子と公爵令息テミストが学園の廊下を歩いている。2人は幼馴染らしい。



う〜ん…


美男同士がイチャイチャしている…

美味しい…



…ん?…美味しい?



そこで私は思い出した。



 私は平成初期のオタク…

JK時代に、ついうっかり某BL小説を読んでしまったばかりに、新たな扉を開けてしまった


 修学旅行で行った渋谷のアニ◯イトに、売っていたその小説の同人誌。

買ったらBLだったのだ。

 読んでいた巻はまだBLじゃなかったんだよ…知らなかったんだよ…


でも、普通に受け入れた。




それは、おいといて




 そこまで回想して、私、今流行りの転生者ってやつ?と気付いた。


 ここは、何の世界なんだろう?


勇者とか聖女とか、悪役令嬢とかいるのかな?

ピンク髪のヒロインとか?


 私は、何に転生したんだろう?


モブかな?


モブだよね…


 だって、エウロパって、知らない名前だし。


いや、ラノベとか、乙女ゲームとか通らなかったから、分からないだけかな?


 流行りの小説とか、読んどけば良かったのかなぁ?


読んでいたのは薄い本ばかり。参考にならない。




「何をしてるんだ?」


 ぼんやりと考えていたら、声を掛けられた。


「カリスト兄様」


 従兄弟のカリスト兄様だ。


「こんな所でぼんやりして…どうしたんだ?」


 怪訝な顔をしている。


「今日のオヤツは何だろな〜と考えてました」


 まさか、前世を思い出したとは言えない。


「オヤツが食べたいのか?お腹すいたのか?」


 カリスト兄様が、残念な子を見る目で見ながら言った。


 私は思いついた。


「カリスト兄様…図書室どこですか?」


「はぁ?」


「無性に本が読みたくなって」


「はぁ?」


 私は、学園に入学したばかり。

3年生のカリスト兄様に案内してもらって、図書室へ向かった。


 この世界の小説を、読み漁ろう。


「珍しいな、お前が小説を読むなんて」


「読みますよ」


 タイトルを見て、面白そうな本を探す。


『「私が悪いんですぅ」って言ったから、罪を償ってもらいました』



 という本を借りた。BLじゃないけど。


 カリスト兄様は、わざわざ家まで送ってくれた。







 ガニメデ王子とテミスト様が学園の庭を歩いている。

色とりどりの花壇の花が揺れ、美形を増幅している。


「王子が好きなの?それとも公爵令息?」


 カリスト兄様が後ろから言った。


「え?」


 私は振り返った。


「また2人を見てただろ?」


 また?


「私…あの2人の事を見てました?」


「見てた」


「そんなつもり無かったのに…」


 無意識にBLを見てたってこと?つい引き寄せられちゃう的な?


「で?どっちが好きなんだ?」


 カリスト兄様が、真顔で言った。

どうしたんだ?


「好きというより、美形がイチャイチャしてるなぁ…って思ってただけで…」


「美形がイチャイチャ?」


 カリスト兄様が復唱した。怪訝な顔をしている。


「好きなのか?」


 カリスト兄様が真顔で言った。


「いいえ」


「好きじゃない?」


 カリスト兄様が意味が分からないという顔をした。


まぁ、見つめていたのなら、好きだと思われても仕方ないか。


「はい」


「…本当に好きじゃないんだな?」


 念を押された。

恋愛対象じゃないんだなぁ。


「はい」


 私は真顔で頷いた。


「お前、ご両親から、婚約相手を見つけろって言われなかったか?」


 急に話を変えたな?


「…言われたけど…いないし…」


 痛い所を突かれた。


「それなら…俺はどうだ?」


「え?」


 なんですと!?


「…俺と婚約するの…嫌か?」 


 カリスト兄様と婚約?


「考えた事無い」


「考えてみろ」


「え〜?」


 いきなり言われても…


「…俺といるのは嫌か?」


 そう言われて考えてみた。


「…う〜ん…嫌じゃない」


「それなら、婚約の事を考えてみろ」


「…う〜ん?」


 私は首を傾げた。


「嫌なら嫌と言え」


「カリスト兄様の事、兄様だと思ってたから…」


「そうだろうな」


「カリスト兄様は?私の事は妹だと思ってたでしょ?」


 普通にそう思っていた。幼い頃からの付き合いだ。


「お前に嫌われたくないから、兄としてそばにいたんだ」


「そうだったの!?」


 初耳だ。


「そうだ」


 兄様は神妙に頷いた。


「兄様…私の事好きなの?」


「お前…本当そういうとこどうかと思うぞ」


 カリスト兄様の顔がほんのり赤くなっている。


え?

マジか?マジで?マジだ?


「…嫌いになったか?」


 カリスト兄様が言った。不安そうだ。

イケメンで頭の良いカリスト兄様でも、そんな顔をする事あるんだな…


「…ならないけど…」


 私の顔も、きっと赤くなっているだろう。


「俺と結婚してくれ」


 カリスト兄様が、跪いて言った。


わぁ…格好良い…


思わず見惚れていると。


「返事は?」


 カリスト兄様もイケメンだから、破壊力がすごい。


「婚約するよな?」


 上目遣いで私を見ながら、私の右手の甲に口付けをした。



『エンダー』



 脳内の某アイドルが歌い出した。


突然のラブロマンスの始まり?


私は思考能力が皆無になって、勢いに押されて頷いた。


「良かった」


 カリスト兄様が私を抱きしめた。


これ、どういう展開なの?




 授業が終わり、邸に帰ると、カリスト兄様が父に婚約の話をしに行った。


カリスト兄様と婚約かぁ…

何か変な感じ。

でも、嫌じゃない。


 カリスト兄様は、よく遊んでくれたし、勉強も教えてくれた。


 弟はいるけれど、兄か姉はいなかったから、優しいカリスト兄様に、本当の兄のように懐いていた。



 それからは、毎日カリスト兄様が学園への送り迎えをしてくれた。

昼食も一緒。


友人は驚いていたが、婚約したと言ったら、納得された。


 曰く、カリスト兄様が私を見る目が、好きな子を見る目だったらしい。


…知らなかった。






 ガニメデ王子とテミスト様が学園の廊下を歩いている。


…どっちが受けなんだろう…?


「また見てる」


 カリスト兄様が後ろから言った。


「カリスト兄様…」


 振り向けない。

カリスト兄様にガッチリ抱きしめられている。


「本当に、好きじゃないんだよな?」


 不安気な声。


優しくて格好良くて頭も良い優秀なカリスト兄様が。


「カリスト兄様。あの2人、怪しいと思いませんか?」


 周りに聞かれないように、小声で言った。


「…怪しい?」


 私の言葉の意味が分からない兄様。


「あの2人、いつも2人でいます」


 美形の男が2人だよ。


「…そういえば…そうだな?」


「不敬になるから言わなかったのですが」


 相手は王子だからね。


「不敬?」


「恋人なのでは?」


 私は真顔で言った。


「は?」


「そう思ったら気になって」


 どっちが受けなのか?


「え?」


「気になりませんか?」


「ならない」


「そうですか」


 ならないのか。



 カリスト兄様は、私の髪に口付けた。


うん。色気がダダ漏れで、心臓がもたない。


「ん?俺のこと、男として意識してるのか?」


 カリスト兄様が頬ずりしてきた。


「カリスト兄様…ここ学園の廊下」


 人目があるから余計に恥ずかしい。


「俺の婚約者なんだから構わないだろ」


 人前でわざとイチャイチャして、周りの男を牽制しているなんて、思いもしない。


「今度の休みは、書店にでも行こうか」


 カリスト兄様が耳元で囁いた。


「書店!!」


 私のテンションが上がるとカリスト兄様が


「俺より書店の方が嬉しそうだな」


 と言い耳元に口付けた。


「ピャッ!」


 私は変な声が出て自分で驚いた。


「デートなんだよ分かる?」


 カリスト兄様のイケボが耳元で囁いた。


「デート!!」


 マジか?マジで?マジだ?




 転生した事を思い出したら何故か溺愛されていた。


読んでいただきありがとうございます

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