三章 七話
私と美貴は、最寄りのショッピングセンターにきた。
私たちの住んでいる地域は都会に近いから、おしゃれな店が沢山ある。
久々にこんな人のいるところに来た私は少し動揺していた。
「美貴・・・どこいくの・・・?」
「とりあえずー美容院かな。その髪型どうにかしたほうがいいよ・・・」
美貴は呆れた顔つきでこちらを見た。
私は長い間美容院なんて行っていない。行く必要もないと思ってたから。
前髪が伸びたときは、家にあるハサミで自分で切っていた。後ろ髪は、もうほとんど放置状態で長さがところどころ違う。
確かにこんなんじゃ高校生として駄目な気がする・・・
「美夏まだお年玉あるんでしょ?大丈夫だよなんとかなる」
確かに金は全く使ってないから心配することはない。
けど・・・
「他には何が必要?」
「うーん・・・セーターとか私服とかアクセとか・・・」
なんだか沢山ありそう・・
「あ、ついたよ!」
顔をあげるとそこはとてもお洒落なガラス張りの店。
これから私がここで髪の毛を・・・
そう考えただけで失神しそう。私にこんなところ似合うわけがない・・・
気付くと美貴はもう店の中に入ってて手招きをしている。
私は勇気を出して店に入った。
「いらっしゃいませ。」
うわぁ・・・店員さんもおしゃれで綺麗・・・
「えっと、この子を可愛くしてください!」
何言ってんの美貴さん。
店員さんは少し考えて、私をシャンプー台に連れて行った。
緊張しすぎて、気付いた時には終わっていた。
目の前の鏡を見ると、私じゃない人がいる。
長さばらばらの髪は緩くくるくるとなっていて、前髪が目の上で分けられていて自分の目がはっきりと見える。
これ・・・私?
「美夏!かわいいじゃんっ!」
美貴がきゃっきゃっと騒ぐ。
「こんな感じでよろしいでしょうか?」
「あ、はい・・・」
私はそれしか言えなかった。というか、よろしすぎです。
自分で思っちゃうくらい、自分は綺麗になった。
毎日鏡を見つめる度重いため息をついて憂欝になっていた時の私と違う。
これだったら違う意味でのため息をついてしまうに違いない。
私は代金を払って店をでた。
「さてっ!次は服だね!早く買おう。今の服とそれは似合わない」
それとはこの髪型だろうか。
うん、私もそう思った。
今の私の服装は普通のジーパンにパーカーだ。
さすがにやばい・・・
その一日、私はずっと美貴について行った。