三章 五話
心地よい美貴の腕の中。懐かしい。
落ち着きを取り戻した私は、そっと美貴の腕を離した。
「・・・ごめん。」
とりあえず高校生にもなってあれだけ泣き叫んでしまったことを謝る。
美貴は少しびっくりしていたが、そのうち笑みに変わった。
「謝んないでよ。いくつになっても泣きたいときは泣いていいと思う。」
かっこいいこと言う。
物語の主人公が言いそうな決め台詞。
「・・・出てって。」
私は呟いた。
ちょっとだけ、一人にしてほしい。
少し考えたいことがあるから。
「今の美夏を一人にはできないよ。私に何か言いたいことがあるんだったら、今思った通りに言って?」
美貴は出ていかなった。
いつもだったら泣きそうな顔で笑いながら出てくのに。
私は決心した。
大事そうに握られている美貴の手を、包み返した。
「美貴、今までごめんなさい。」
美貴は何も言わない。表情も何もかも、私は下を向いていて見えない。
私は少し気になったが、言われたまま、思った通りに言った。
「私・・・今まで全部美貴が悪いと思ってて・・・無視してた。本当に憎んでた・・・」
美貴は黙っている。
「でも今、美貴が私の事を大事に思ってくれてることが殴られて解ったよ。ごめん。勘違いしてた・・・本当・・・」
今まで自分が美貴にしてきたことについて、本当に後悔した。今更自分が憎い。悔しくて泣きそうになる。
私は葉を食い縛りながら最後の力を振り絞り、一番伝えたかったことを口にした。
「美貴・・・止めてくれて・・・心配してくれて・・・・
有難う・・・・・」
『有難う』
どんな形でもいいから、伝えたかった。
私は顔をあげられなくて、下を向いていた。
「ぎゅううううううううっ」
「いっ・・・いたたたたた!」
私は頬を美貴につねられた。おかげで出そうだった涙が止まる。
美貴をみると、行動とは裏腹に美貴の表情はとても優しかった。
「馬鹿。これからはもうこんなことしちゃだめだよ?」
「うん・・・わかった・・・」
美貴は、無邪気に笑った。
懐かしい。
小さいころから変わらない、美貴の幸せそうな笑顔。
こんなに間近で見たのは久々だった。
その笑顔がみれて自分も幸せな気分になるんだったら、もちょっと早く三井の優しさに気づけばよかった。
・・・後悔することが多い。
その夜、私と美貴は一緒に寝た。
幼いころのように。
こんにちわ、ゆいです。
ここまで読んでくれてるかた、
本当に有難うございますorz
これからも面白い作品をかけるよう
努力していきますので、どうか
応援宜しくお願いします(´・ω・`)
では。