三章 三話
私、今どこにいる?
おかしいな、椅子に座っているはずなのに浮かんでいる気がする。
頭がふらふらする。なに?
深山さん?
「昨日の夜、風呂場で手首を深く自ら切ったそうだ。見つけた時はもう手遅れだったそうで・・・」
嘘。
皆静かに下を向いている。
朝までにぎやかだったクラスのみんなは、どこかに行ってしまった。
「そこでみんなに聞きたいんだが・・深山を苛めてたりは、したか・・・?」
その瞬間、ぴくっと動く女子が数名いたのに私は気付いた。昨日の深山さんを殴った女子とその連れ。
同じクラスだったんだ。
「お前、何か知ってるのか?」
先生もそれに気づいたらしく、運悪く一番前の席に座っていた一人の連れが先生に指名される。
その女子は俯いたまま、何も言わない。
殴った女子も目をそらしていた。
ずるい。
頬を殴って、酷いこといっぱいして・・・
それなのに見捨てるなんて
その瞬間、深山さんが最後に放った言葉を思い出した。
『信じたのがいけなかった。』
思った。
深山さんはあの時「助けてくれると思ったのに」って言った。
所謂、私を信じていた。
私はそれを知らず、聞き耳立てていただけ。
私がもしあの時に割って入って深山さんを庇ったら、深山さんは死ななかった?
今深山さんはここにいる?
こんな重苦しい空気に包まれたクラスは存在しなかった?
なぜか罪悪感。
私は俯いたまま膝の上で手を握りしめていた。
今更悔やんだって変わらない、深山さんの死。
そして今解った。どうして深山さんは私を信じてくれたのか。
『私と似てる』
性格、嗜好、存在全てが深山さんと私は似ている。
だから彼女は私を信じたのだと思う。
惨めな者同士、仲良く。
そして私は、一番最悪なことをした事に気がつく。
友達が苛められてるというのに、私は無視をした。
結果、こうなった。
全て、私が美貴にされたこと。
私は美貴にされたことを深山さんにした。
そして死に追い込んだ。
最 悪 。
今はその言葉しか頭に浮かばない。
あれだけ美貴を恨んでいたのに、話しかけてくれた深山さんに同じことをしてしまった。
なんで?
どうしてそんなことしたの私?
学校では堪えた涙。家に入った瞬間、溢れだした。
誤字脱字あったら
御指摘を・・・orz