夢の終わり
少女がタゥの上に乗り、腰を振る。
「あっ、あっ、あっ、あんっ、あんっ、あんっ」
タゥも存分に気持ち良く、目の前で揺れる乳房を揉みながら、少女の痴態を眺めた。
「もう一度、口付けなさい。今だけは、私のものよ……っ」
タゥの眼前に指先が差し出される。
タゥはぺろりと指先を舐めてから、爪先に口付けた。
いよいよ、腰使いが荒くなる。
タゥも下から緩く腰を使いながら、心地良い波に身を任せた。
「あんっ、ああっ、あんっ、いいっ、あんっ、あんっ、あんっ、あんっ、ああいく、あっ、あああーーーっ」
少女の絶頂に合わせて射精すると、少女は荒い息をつきながら、タゥの身体にもたれかかってきた。
ほっそりと小柄で可愛らしい少女である。
タゥは思わず抱きしめ、二人、ベッドに寝転んだ。
時間が迫っている。
タゥは起き上がり、少女の手を取り、爪に口付けた。
「ありがとう……っ」
少女は涙声でそう言うと、扇で顔を隠した。
ベッドから降り、衣服を身に付けながら、ジャックに視線を送った。
「じゃあ、次は俺ですね」
「……分かってるわ。契約だもの。さっさと来て頂戴」
「じゃあ、お言葉に甘えて、失礼しますよっと」
ジャックは服を脱ぎ捨て、ベッドへ上がった。
少女に性急に覆い被さり、自身を埋める。
ジャックは腰を振りながら、楽しげに笑った。
「あのマダムが俺の下で鳴いているなんて、父は夢にも思わない事でしょう。今日の事は、貸し一つ、ですよ。忘れないで下さいね」
「あっ、あっ、あんっ、わ、忘れる、もんですか……っ!」
少女は扇で顔を隠したまま、高い声を上げて絶頂に達した。
ジャックもそれに合わせて射精したようである。
「それで、二回戦目はお望みで?」
ジャックがベッドの上で問いかけると、少女は手を振ってジャックを追い出した。
ジャックが服を身に付けると、チリリン、とベルの音が響いた。
「お呼びですか、お嬢様……」
「お客様がお帰りよ、ご案内して差し上げて」
主人の言葉に、陰気な男は素直に従った。
「こちらへどうぞ……」
ジャックはその男について行き、タゥもそれに続いた。
少女の視線は、タゥにだけ熱く注がれていた。
長い廊下には、絵画や壺が一定間隔に飾ってある。その横を通り過ぎ、階段を降り、また長い廊下を歩いた。
外に出て緑の小道を進むと、やがて馬車止めに行き当たった。
案内の陰気な男は礼をして去り、ジャックは馬車に乗り込んだ。タゥも乗り込み、出発だ。
「いやー、楽しかったな! あのマダムがタゥを見つめる目つき、いやらしかったなぁ」
「確かに凄い目で見られていたな。……わかった、脱ぐから……」
タゥはメイドの手で全裸にされ、元着ていた装束を身につけた。
その後は、タゥの髪の編み込みである。
三人のメイドがシュルシュルと編んでいくのを、タゥは姿見の前で見ていた。
「なんか上手く編みすぎて格好良くなってないか?」
「元がいいんですもの。これくらい当然ですわ」
出来上がったのは、野性味溢れるタゥである。
タゥも気に入ったので、髪型はこれでいくことにした。
「今日のタゥは本物の貴公子に見えたぜ。タゥは美男子だけど、ここまではまるとはな。お嬢様との一夜の恋、ってとこか。お前が爪先に口付けるたんびに、お嬢様は気が気じゃなかったろうぜ」
「あそこまでうっとり見つめられると、愛玩物か何かになった気分だったな。まぁ、別人になったみたいで、そこそこ楽しかったよ」
タゥはジャックに微笑みかけた。
「そう言ってくれると嬉しいねぇ。"王子様"の仕事はこれでおしまいだ。タゥ、ご苦労だったな」
ジャックに笑いかけられ、タゥは頷いた。
「それじゃあ、来週は宜しく頼むぜ? ジュネとは来週で別れるんで、最後に思い出を作ってやりたい」
「おうよ。じゃあ、到着だ。気をつけて降りてくれ」
馬車が道具屋に到着したようだ。
ジャックと馬車を降り、預けていたラプカを受け取る。
ジャックと別れ、タゥは帰り道を疾走した。
中天になり、森に入る。
今日も夕刻までに二頭の収穫を上げ、タゥ達は解体小屋を目指していた。
解体小屋に着き、分け前を分ける。
リュックに詰めたら、凱旋だ。
今日の出迎えは、ルネーの家のマリアに、ヤジュの家のリズ、ナッキの家のリマである。
「おーい、こっちだよ! 今日も怪我がなくて何よりだったね!」
そう声をかけてきたのはマリアだ。
「出迎え感謝する。では」
キーヤは礼をして去っていった。
「タゥ、髪型が変わってる! 格好良いね」
「うんうん。野性味溢れる美男子って感じ。それ、どうしたの?」
リマとリズに問いかけられ、タゥは光を零す金髪を手にしながら、答えた。
「町で結って貰った。気分転換に、いいだろ?」
「気分転換で男前っぷりがあがるなんて、つくづく得な顔してんな」
エンジュはふてくされたように言う。
「エンジュも負けてないから、機嫌直してよ。ね、お姉ちゃん」
「うん。私に取って、一番はエンジュだからね。それは、誤解しないで?」
リマが小首を傾げてそう言いつのると、エンジュはすぐに機嫌を直した。
「もちろんだよ、リマ」
二人は手を取り合い、帰って行った。
こちらも、解散である。
帰り際、マリアに「明日会いに行くよ」と告げると、花開くように微笑んだ。
「うん、待ってる」
タゥは約束をして、薄暗い夜道をセグで走り抜けた。




