逢い引き
ジャックと別れ、帰路を辿る。
ラプカはひょいひょいと人混みをすり抜け、帰り道を疾走した。
「うわぁ、早いな。流石セグ。これからも宜しくな」
タゥはラプカに、セグという名前を与えた。
森に近付いてもセグの力強い足さばきは微塵も乱れなかった。
それなりのスピードで走ってきたタゥは、半刻もせずに家に着いた事に驚いていた。
「セグ、お前は本当に走ることを好いているのだな。明日からも宜しく頼むぞ」
つるりとした頭を撫でながら、タゥはセグにそんな言葉をかけた。
それから三日ほど、タゥはサランと一緒に集落を見て回った。家には表札が付いているので、どの家がどこにあるのかを覚えるのにちょうど良い。
びっくりした事に、タゥを家に招き入れようとする家がいくつかあったが、サランが出て行くとすごすごと引き下がった。
「サラン、今のは何だったんだ?」
「お前にちょっかいをかけようとしたんだろう。若いラプカ乗りはこういう時に女を経験する事があるんだ」
「へえ!? でも、ラプカ乗りは全員既婚者だろう。どうやっても浮気になってしまうと思うが……」
「それが黙認されてるから狙われるんだ。過去に子供が出来た例もあるが、両方の家が合意したため、罰則も与えられていない。お前は綺麗な金髪をしているから、より狙われるんだろう。挑んでも良いが、覚悟を持てよ」
「挑まない、挑まない。ただ、好みの女の子はいるか気になって見ちゃうな」
「それは普通の事だ。お前は三年後のこともあるし、よくよく検分せねばな」
サランはそう言って、笑ってくれた。
ケラソ族って、清廉潔白な印象があったが、色々あるんだな。
そんなタゥは、ふとラプカを止めた。
サランもラプカの足を止め、のぞき込んでくる。
16、17歳だろうか。
艶やかな黒髪を左右に三つ編みを垂らした少女が、ある家の前で立ち往生していた。
手にはたくさんのパンを入れた手提げかごを持ち、芳しい香りが漂っている。
娘は、明らかに困った様子で立ち尽くしていた。
「何か、困っているか? 俺はケラソの家のタゥ。こっちは、父のサランだ」
「ご親切にどうも……。あなたがあの、タゥなのですね……。私は、エッタの家のサラと申します。ここは家を分けた兄の家なのですが、どうやら不在のようなのです」
サラはタゥと目が合うと頬を朱に染め、俯いてしまう。
見かねたのか、サランがサラに話し掛けた。
「約束をしていたならば、戸板は開いてそうなものだ。開けてみたか?」
「開けて……いません。開けてみます……あ、開きました! すいません、お手数をおかけしました」
「用事は済んだか? 兄がどこにいるのかわかっているのなら、呼んできてやろうか?」
そう、声をかけると、サラは真っ赤な顔でしどろもどろに言った。
「兄は北のザリルの家です。お嫁さんが臨月で、里帰りをしているんです。それで会いに行ったと思うんですが……帰りは乗せていって貰おうと思っていたんです」
「じゃあ、乗せていってやる。こっちはラプカの習熟中だから、丁度良い」
「えっ、じゃあ……、お願いします」
サラはパンの手提げかごを家の中に置いてきてから、タゥの後ろに乗った。
「エッタの家まででいいな? 東の端か……。行くぞ、掴まれ」
「えっ、はい!」
サラは真っ赤な顔でタゥの装束を掴む。
少ない距離ではあったが、サラにとってみれば逢い引きの如き得難い時間であった。
エッタの家でサラを下ろし、別れた後。
サランがこっそり教えてくれた。
「ラプカの後ろに乗せるというのは、逢い引きに誘うという一面もあってな……。サラには、期待させてしまったやもしれんな」
「ええ?! そうなのか? だから、家に誘われたのかな」
「恐らくそうであろうな。まぁ、次から注意すればいい」
サランは寛容であった。
「今日で東西南北は全て見て回ったな。中央はほぼケラソの家だし、近所だから、時間のある時に回ればいいさ。それにしても、良いラプカを買ったな、タゥ。走る姿が風のようだ」
「ありがとう、サラン。サランのお陰で効率良く家を回る事が出来た。これ、いいラプカだろ? ジャックに見繕って貰ったんだ」
「ほう、ジャックの目利きは確かだな。お前達の親友付き合いは、俺も心強く思っているぞ」
サランの笑顔に、タゥも力強く頷いた。
翌日は、マリアを誘って遠乗りに出掛けた。
ケラソの一族の集落は山の麓にある為、少し駆けさせれば誰もいない木陰に着く。
「うわぁ。随分遠くまで来たんだね! 家があんなにちっちゃいや!」
マリアは感慨深そうに集落の方を眺めていた。
タゥはマリアを抱きしめ、スカートに手をかけた。
「マリア……したい」
「えっ? こんな所で?」
マリアは大好きなタゥの青い瞳に逆らえず、しぶしぶタゥに従った。
木に手をつき、お尻を突き出す。
タゥはスカートをたくしあげ、下着をずらした。
そこに己を突き立て、腰を振った。
「あっ、あっ、あんっ、あんっ、あんっ、あっ、あっ、あっ、あああーーーっ」
タゥは後背位でマリアを責め立てた。
マリアの絶頂と共に、射精する。
「マリア……次はこっちだよ。俺の上に乗って……」
タゥの誘いは、マリアの心に甘く響いた。
地面に座り込んだタゥの上に乗り、腰を振る。
胸は半分露出し、強くタゥに吸われていた。
「あっ、あん。もっと私を、タゥのものにして。もっと愛して。大好きなの、タゥ。あっ、あっ、あああーーーっ」
「俺も大好きだよ、マリア……っ」
タゥはマリアを押し倒し、三回戦目に挑んだ。
終わった後、身支度を整え帰還だ。
「たまには、外でやるのも良いもんだよな、マリア」
「いいけど……っ、木の葉だらけになっちゃったじゃないっ、服が泥んこだよ」
「ラプカがいて良かったな。帰って、洗いっこしようか?」
「……する」
笑顔で笑うタゥに、マリアも笑いかけた。
淫猥な朝は、少しずつ日が傾いていった。




