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ケラソの家のタゥ  作者: yahagi
無理矢理な結婚
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忘れてない?

 中天になり、森に入る。

 今日は早々に腹を空かせたウスルスに飛びかかられ、タゥは瞬時に身をかわした。


「タゥ! そっちだ!」


「おうっ!」


 キーヤの声に短く応じ、二本の刀を構える。

 一拍置いて、襲いかかってきたウスルスを袈裟切りにし、頸動脈を切り裂いた。

 どさりとウスルスが倒れ、木の上からエンジュが降りてくる。


「やったな、タゥ! じゃ、木に吊しちまおうぜ」


「ああ。……ありがとう、エンジュ」


 エンジュの手伝いもあり、すぐに木に吊し終わったタゥ達は、早速ウスルスを追った。


 やがてウスルスを発見し、罠に追い込む。

 とどめを差したのは、エンジュだった。


「よっしゃ! これで二頭だ! さぁ、凱旋と行こうぜ!」


 夕刻の茜色の空を見ながら、二頭のウスルスを運ぶタゥ達である。

 解体小屋にたどり着くと、分け前を分けた。


「背中の肉と足肉がタゥで、胸肉がエンジュだな。よし、リュックに詰めてくれ」


 各々リュックに分け前を詰め、凱旋だ。


 今日の出迎えは、ルネーの家のマリアと、ヤジュの家のリズ、ナッキの家のリマである。


「おーいっ、お疲れ様! 今日も怪我がなくて何よりだったね!」


 そう声をかけてきたのは、マリアだった。


「今日も無事に帰ってきてくれて、ありがとうっ! あっ、キーヤ、赤ちゃんどうだった?」


 リマがはしゃいだ声を上げると、キーヤは照れつつ、口を開いた。


「うむ。とても可愛いぞ。女の子だった」


「うわぁ、可愛いだろうなぁ。名前はもう決まったの?」


「ああ。ナリスと名付けたぞ」


「おめでとう、キーヤ」


 皆から祝いの言葉を貰い、キーヤは照れつつ礼をして去っていった。


「ねぇねぇタゥ、南の名高い美少女を恋人にしたって本当?」


 好奇心いっぱいの瞳で話しかけてきたのは、リズである。

 タゥはリズに向き直ると、冷静に話し始めた。


「ああ、本当だが、正確には美少女じゃなく美少年だけどな。男だってキリクも言っていただろう? 見た目が美少女に見えるってだけだ」


「ふーん。へーえ。性教育の一貫だって話だけど、もちろん、え、エッチな事もしてるんでしょ?」


「この助平な男が手を出してねぇわけねぇじゃねぇか。その美少女もだなぁ、あんな事やそんな事もされちまってる事だろうぜ。なぁ?」


 エンジュに同意を求められ、タゥは頷いた。

 女性陣がきゃあっと華やいだ声をあげる。


「タゥって手が早いんだねぇ。……知ってたけど」


 マリアが訳知り顔で納得している。

 リマは胸に腕を組んで、祈るように言った。


「それで、女と男、どっちが良いの……?」


「どっちも。比べられないさ」


 タゥは正直に言ったが、リズはジト目でタゥを見ている。

 そんなリズに、「明日会いに行くよ」と、囁くと、途端に笑顔になった。


「私のこと、忘れてるんじゃないかと思っちゃった! ふふ、嬉しいな」


 ご機嫌が治ったところで解散だ。

 タゥは薄暗い空を眺めながら、家路についた。




「……以上だ。そんな感じで、ジュネの処女を頂いた。すごく良かったぞ」


「あなたが……満足そうで、何よりですわ……。努力した甲斐がありましたわね……」


「うむ。香油は使い切ってしまったので買い足さねばならんな。今月いっぱいとは言え、恋人同士になったのだ。出来ることはしてやりたい」


「キリクも胸をなで下ろしていましたわよ……。やっぱり男同士と言うことで、色々気を揉んでいたみたいですわ……」


 レアは揚げ物をかじると、咀嚼して飲み込んだ。


「それが恋人同士になってしまったのだものな。きっと驚いた事だろう」


「連絡網で回していくうちに、ジュネの恋人に立候補をする男性が後を絶たなくて……、あなた、早く別れる事を望まれているみたいですわよ……」


「ああ、やっぱりそうなるか。ジュネが男の恋人を作ったらそうなると思ってたよ。ちなみに、既婚者もいるよな?」


 レアに問いかけながら、コロッケをかじった。うん、ほくほくしていて美味い。


「ええ……。あなたが既婚者だからでしょうね……」


「どちらにしても、選ぶのはジュネだ。候補が多いのは選択肢が増えて助かるな。女への興味もある事だから、男とそこそこ助平なことが出来れば満足だろう」


 レアもかき揚げを食しながら頷いた。

 ジュネの今後は、正直頭の痛い問題だ。

 俺と別れた後どうなるか。きっとジュネの争奪戦が始まる事だろう。

 ジュネ自身はあまり恋愛に重きを置いてない様子だし、気軽に付き合える相手がいるといいんだがな。

 こればっかりは巡り合わせだ。


 今日も静かに夜は更けていき、タゥはレアを抱いて眠りについた。

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