美少女?
「ケラソの家のタゥだ! ジュネに会いに来た!」
戸板を叩いて名乗りを上げると、「はーい、ちょっと待って下さい!」と、涼やかな声が聞こえた。
中から閂が外され、綺麗な銀髪が目に入る。
「ハヤタの家にようこそ、タゥ。僕がジュネです。来て下さってありがとうございます。さぁ、僕の部屋にどうぞ」
そこにいたのは、滅多な事では見られないような美少女だった。うむ。美少年ではなく美少女だ。それくらい、ジュネはたおやかで、美しかった。
タゥはジュネに見とれてしまっていた。
頭を振り、ジュネの後をついていく。
整理整頓された部屋に通され、タゥは下座に腰掛けた。
さて、ジュネの風貌であるが、タゥの予想を越えていた。
背は、タゥより頭半分位、低い。
そしてそのかんばせは──瞳は銀色に輝き、唇は薄紅色である。
銀色の髪は緩く左右で三つ編みにしており、その身体はほっそりとしていた。
何よりもジュネは、美少女にしか見えなかった。
美しき花を手折る事を夢見る少年のように、タゥはぎゅっと両手を握った。
「改めて、僕がハヤタの家のジュネです。キリクから聞いているとは思いますが……僕は男性に興味があります。キリクから了承を貰ったと聞いていますが、……心変わりはありませんでしょうか?」
白く、抜けるような透明感のある肌である。
タゥはその頬を舐めたいと念じながら、すっかり乾いてしまった口を開いた。
「ああ、お前の処女を俺が頂くという話であったな。心変わりはない。お前こそ、俺で良いのか? 手慣れた男娼も用意出来るのだぞ」
「勿論それは考えました。でも、僕は強いケラソ族の男に惹かれます。同じ仕事に従事する仲間に……興奮するのです。お恥ずかしながら、盗賊団の大将首を落としたタゥが相手だと聞いて、僕は飛び上がって喜んでしまいました」
「強い男が好きなのだな。同じ男として、それはわからんでもない」
ジュネはふふふ、と笑うと「僕が戦利品では、割に合わないでしょうね」と言いながら、膝立ちになり、近付いてきた。
「いや、そんな事はないぞ」
と言いつつ、タゥは段々変な気持ちになってきた。
触れたら壊れてしまいそうな程儚い美貌をしたジュネである。
その顔が、すぐそばにある。
ジュネが可愛い。ジュネを愛おしみたい。
そんな気持ちが泡のように沸いてきた。
げに恐ろしきは、ジュネの美貌である。
ジュネは、タゥの横にぴったりくっつくと、その華奢な身体を寄せてきた。
ここまで近付いても美少女にしか見えないし、その唇からのぞく舌が何ともいやらしい。
タゥはその銀色の瞳に誘われるように、その唇に吸い付いた。
ちゅ、ちゅ、と音を立てて吸い、性急に舌を潜り込ませる。
ジュネは必死になって舌を絡めて来た。
唇が離れ、荒い吐息が部屋を満たす。
「……どうだ? 気持ち悪くないか?」
タゥがそう問いかけると、ジュネは銀色の瞳に情欲の炎を燃やしながら、タゥの唇に吸いついてきた。
しばし、口吸いに没頭する。
ジュネと舌を絡めながら、タゥは迷ったが上半身から責めることにした。
服の下に手を入れ、胸の尖りを指で転がす。
ジュネは感じ入ったように声を漏らし、恥ずかしそうに声を殺した。
タゥは朱に染まった頬を舐めながら、両胸を愛撫してやった。
ジュネは声を殺しきれずに高い声を出すと、断続的に喘いだ。
「……あっ、あっ、あんっ、あんっ、あっ……」
「いい反応だな、ジュネ。胸は好きか?」
「自分でする時……触っています……。あっ、あんっ、……変ですか……?」
「変ではない。可愛らしいぞ。さて、脱がしても良いか?」
「はい……。僕の身体を見ても、やる気をなくさないで下さいね……」
タゥは怖がらせないよう、ゆっくりと全裸にした。
ジュネの身体は、綺麗だった。
華奢な身体は色白く、ぼつりと胸の尖りだけが赤い。
それは未成熟な少女を思わせる様相で、タゥの心を存分にかき乱した。
しかし、下半身は男である。そのアンバランスさも、たまらなく魅惑的であった。
タゥはごくりと唾を飲み下すと、ジュネの胸に吸い付いた。
「あっ、あっ、あっ……」
タゥは舐めながら、ジュネの下半身に手をやった。
ジュネの下半身は軽く兆しており、それを握りこんでしごきあげた。
そこは急速に固くなり、しずくを零した。
「男の人の手でいくの、初めてです……。あっ、あっ、気持ち良い……っ」
「ふむ。女には触られた事があるのか?」
「幼なじみに、少し……。というか、犯されそうになっちゃって、今でも女性は少し怖いです……それで家族が過保護になっちゃって、僕は16歳なのに家を分けてないんですよ……あっ、あっ、いくっ……」
ジュネはタゥの手に出した。
「はぁ……、はぁ……っ、すっごく気持ち良かったぁ……。タゥ、続きをして……」
ジュネは甘えるようにタゥの身体を引っ掻いた。
タゥはひとつ口吸いをして応え、ポケットの中の香油を取り出した。
それを見て、ジュネが顔を赤らめる。
「……いいんだな?」
「うんっ。僕をタゥのものにして……」
ジュネの股を開かせ、指を挿入しようとした時──部屋の戸ががらりと開いた。
「ジュネ、お客人といつまで話しておるのだ? って、お前、また犯されかかってるじゃねぇか! おーい親父、お客人が乱心だぞ!」
騒々しく入ってきた男は、タゥより背の高い無骨な男だった。
「客人が乱心したとは何事だ?! うむ、ジュネよ無事か。ケラソの家のタゥよ、これはいったいどういう事だ!」
更に奥から大男がまろび出る。
さて困ったぞと嘆息したら、泣きそうな顔のジュネが弁明してきた。
「タゥ、ごめん。すぐ誤解を解くから──」
「その格好では目の毒だ! とっとと服を着ろ、ジュネ!」
「兄さんは黙ってて! 僕は今、恋人との逢瀬を楽しんでたの! タゥに酷い事言わないで!」
意気込みは買うが、ジュネは素っ裸で情事の余韻を漂わせている。
家族が出張ってきた以上、これ以上は望めないだろう。
タゥは香油をしまうと、乱入者の男達に向き直った。




