客人の少年
──それから二日後の朝である。
今日もタゥはマリアと性交を楽しんでいた。
今日はマリアが上になり、タゥを鳴かせる方式である。
マリアはタゥに教えられた通りに腰を振って、タゥを楽しませた。
「あっ、あっ、タゥ、一緒にいこう、あっ、あっ、あっ、あああーっ」
「ああ……っ、マリア、良い……っ」
マリアはタゥの胸の尖りを舐めながら、絶頂に達した。
タゥも下から腰を振り、気持ち良く射精した。
今日も二回戦を済ませ、しばし休息する。
「マリアに……喘ぐところを見られるの、ちょっと気恥ずかしいよ……」
「何言ってんの! タゥって雄々しいけど、可愛らしいところもあるんだね。本当、憎たらしいお人だね。独り占め出来ないのが残念でならないよ」
「マリア……」
「まぁ、あたしだってアスロと結婚するんだから、お互い様ってこったね!」
マリアは、汗ばんだ顔でにっこりと笑ってくれた。
中天になり、森に入る。
今日からエンジュが復帰する日であった為、獲物も二頭を狙う事になった。
いつも通り、ウスルスを追う。
罠に追い込み、とどめを刺す。
今日はエンジュがとどめの担当だ。
「おーい、終わったぜ。次のウスルスを探そうや」
木に吊したウスルスを背に、エンジュが言う。
キーヤも頷いて草笛を吹き、森を駆け出した。
やがて二頭目も仕留め、二頭のウスルスを抱えて解体小屋を目指す。
タゥは一頭を抱えており、解体小屋に着いてまず解体を始めた。
分け前を分けたら、凱旋である。
森の入り口には、いつもの顔が揃っていた。
ルネーの家のマリア、ヤジュの家のリズ。そして、ナッキの家のリマである。
「おーい、こっちだよーっ! 三人とも、お疲れさま! 怪我がなくてなによりだね!」
そう声をかけて来たのはマリアだ。
目が合い、この三日間の痴態を思い出すと、腰がむずむずする。
そんなタゥに気付いているのか、マリアも頬を赤くした。
「出迎え感謝する。では」
キーヤはそう言って去っていった。
「奥さんに出迎えて貰うのっていいなぁ。リマ、これからも出迎えてくれる?」
「うんっ! 出迎えするから、怪我なく帰って来てねっ?」
「おう。まっかせといて。俺、約束は守る男だよ?」
エンジュの笑顔に、リマはその赤い瞳を輝かせていた。
「お姉ちゃんてば、エンジュとすっごく仲が良いの。見てると胸焼けしちゃう位。なんか視線からして違うでしょ? 三日じゃ足りなかったんじゃないかなぁ」
リズは辟易とした様子でそう言った。
エンジュはにっこり「足りるわけねぇだろ」と言った。リマは真っ赤になって、黙ってしまう。
「考えてみたら、エンジュだけじゃなくてタゥもマリアと子作りしてたんだもんね。なんか空気が甘いのはそのせいかー。ねぇタゥ、今週はいつ会いに来てくれるの?」
こっそり話しかけてきたリズに、「明後日会いに行くよ」と言うと、大変嬉しそうに微笑んだ。
夕焼けに染まった道を歩いて、家路につく。
それにしても、充実した浮気生活である。
マリアも可愛いが、リズも可愛い。
そして来月にはリマにも会いに行けるのである。
タゥはその日を思い浮かべると、口端が上がってしまう。
レアとの関係は、割り切ったといって良いだろう。
レアのことは、未だに愛せない。ただ愛着があるだけだ。
ただ、確かな肉欲で繋がっていると感じる。
閨でいじめ尽くすような真似は、レアにしか出来なかった。
今夜はどう責めてやろうかと思いつつ、家に帰り着くと、戸板の前に小柄な影が見えた。
淡い金髪を左右に三つ編みした、黒い瞳の少年──先日の婚礼の儀で出会った少年である。
「ああ、お前は先日の少年だな。こんな所で何をしている?」
「狩りを終えた後、まっすぐここに来ました。あなたを待っていたんです。僕は、マルスの家のランディ。あなたに折り入って頼みがあります」
「これから晩餐なのだが……仕方ないな。午前中は俺も多忙の為、家で話を聞く。……レア、帰ったぞ。それと客人が一名だ。晩餐を用意してくれ」
タゥが戸板を叩いてそう言うと、レアは素直に従った。
「どうぞ……お客様……」
下座に座ったランディは、レアの差し出したダロの炒めものを美味しそうに頬張った。
ぱくぱくと食べる姿は愛らしく、何故ここに来たのか想像もつかない。
食事が終わり、レアが後片付けを始めた時点で、タゥは口火を切った。
「さて、聞かせて貰おうか。お前はなぜ、俺を頼って来たのだ?」
「では、言います。タゥは、この間僕と一緒にいたナディアを覚えていますか?」
「ああ、覚えている。お前よりは年上のようだったが……」
「はい、ナディアは17歳です。僕は15歳で、今度婚約者になるところなんです。そこで、問題が起きました。ナディアが僕の結婚の条件を聞いて、それを嫌がったんです」
どうやら、話は長くなりそうだった。




