表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケラソの家のタゥ  作者: yahagi
無理矢理な結婚
18/191

タゥという獣

「いいえ……。産むことは出来ます……。ただ、命を大きく縮める事になるだろうと……医者からはそう伝え聞いております……」


 予想を大きく外れる事のない結果に、タゥは小さく息を吐いた。


「命を縮めても尚、子供が欲しいのか?」


「はい……。養育については、本家にお願いしてありますので……、あなたのお邪魔になる事はないと存じます……」


「ちょっと待て。我が子の養育に、俺を関わらせないつもりか?」


「子は……、再婚の際に邪魔になるでしょう……。私の希望で、生まれた子は、母さんの子として育てて貰えるようにきつく約束してあります……。どうかタゥは、今の身軽な立場のまま、思うように振る舞って頂きたいと思っております……」


「それに俺の意志は関係ないというのか? 俺にも我が子を慈しみたいという気持ちはあるのだぞ!」


「それは……三年後のお相手と、慈しんで頂きたいと思っております……。タゥは色々とわたくしに、何かを与えようと必死ですけれど……、そんな必要はないのですよ……。わたくしはもう、満たされているのです……」


 そう言って、レアは幸福そうに微笑んだ。そして、晩餐の片付けを始めてしまう。


「待て。俺はレアと愛し合う事を諦めたわけではない。子供のことも然りだ。だが、日々の閨はお前の負担になっていよう? せめて回数を減らし、愛おしむ方法も、考え直した方が良いのではないか?」


「あなたに愛おしまれる事の出来るこの身は最高の幸せを感じております……。確かに負担にはなっていましょうが、それで命が削られるなら、わたくしは……本望でございます……。あなたに愛おしまれる事は……、わたくしの、生きがいであるのです……」


 レアは恍惚とした表情でゆったりと語っていた。その手には寝具があり、まさに今、床を延べていたところであったのである。

 レアは床を延べた後、速やかに横たわった。蝋燭の光を消さずに行為に陥るのも慣れたものである。


 それを見てタゥは、情欲に火がつくのを感じていた。レアが自分で服を脱ぐよりも、自分で剥ぎ取った方が盛り上がる。タゥはレアの前でだけ、遠慮を知らない狼になるのである。


 しかし今日はぐっと我慢をして、優しき夫を演出するつもりであった。


「レア、期待をさせたならすまないが、今日はやり方を変えてみる。お前の身体にも負担が少ないはずだ」


 レアは不満げだったが、優しく脱がせた後、愛撫に没頭すると、やがて湿った声であえぎ始めた。今日リマ達に教えて貰った愛おしむという気持ちを胸に、殊更丁寧に、指一本一本に至るまで愛撫し尽くした。

 やがて一回戦を終え、お互い床に身を横たえる。


「どうだった? お前の反応も悪くなかったようだし、これからは泣かせずに済むようだと思っているのだが、レアはどう思う?」


「わたくしは……相も変わらず幸せでございました……。ただ、こちらのやり方は……わたくしでなくとも宜しいのではないかと思いました……」


「うむ? こんなに大切に扱っているというのに、不満があると申すか? 良いぞ、何でも言ってみるが良い」


「はい……。わたくしはいつものとおり、意地悪なあなたにいじめ抜かれたいのです……」


「なんと! いつものやり方は、回数も多いし雑であろう? 俺は良き夫を目指しているので、出来れば改心して欲しいのだが……」


 レアは豊満な乳房を揺すって笑った。


「あなたの噛み跡のひとつもない身体なんて、ちっとも嬉しくありませんわ……。それに、今宵はもうお休みになられるおつもりかしら?」


「ああ、そのつもりだが……」


「わたくしの身体は芯が燃え上がりそうですわ……。わたくしの身体を誑し込んだのは、あなただわ、タゥ……。良き夫なんて目指さなくていいの、タゥという獣になって、わたくしをなぶって下さいませ……」


 そう言って、レアはタゥに奉仕してみせた。

 熱い舌の感覚に、ぞわりと劣情が刺激される。


「なんだ、レア。俺はお前に動かれると落ち着かなくてたまらぬ」


 レアはしばらく奉仕を続けていたので、のどの奥で咥えさせてから一気に射精して子種を飲み込ませてやった。レアはタゥの獣を起こす事に成功したのである。


 一滴もこぼさず舐めとったレアは、「どうぞご自由になさって下さい……」と、横に身体を横たえた。

 それを見下ろしながら、タゥは歪んだ笑みを見せる。嗜虐的な喜びを得た時にだけ見せる歪んだ笑顔だ。そんな瞳にさらされながら、レアは涙を流して歓喜していた。


「ああ……、わたくしのタゥ……。あなたに全てを捧げます……」


 レアは普段は品行方正なタゥの暗い部分、嗜虐的な性交に興じる普段ならぬ彼を愛していた。

 初夜で手探りで始められた子作りも、肩を噛まれてからはだいぶ様相が変わってきたように思う。レアにとっては痛みも喜びであったため、粗雑に扱われたという感覚はない。ただ熱くて激しくて意地悪で──

 そして、とんでもなく魅力的なのがタゥなのである。


 レアは今宵も思う存分意地悪な夫に泣かされて、大変満足であった。


 首筋につけた噛み跡をたどるように、首の薄い皮膚を舐めていたタゥが、再び侵入してくる。タゥはレアの良いところを熟知しており、少しずつ、焦らすように突いてくる。


 強く低く、高く遠く。意地悪なタゥの手はレアを高みに登らせていく。

 嗜虐的な笑みを浮かべている自覚のあったタゥは、お膳立てをした上で、心から笑いかけてみせた。


「さぁレア、俺の言うとおりに踊って見せろ」


 レアは嬌声を響かせながら、タゥの声に殉じた。


 タゥはレアをいじめ抜き、気が済むまでなぶってから解放してやった。

 レアは荒い息を吐いて、胸を上下させている。


「それにしても、お前はこんな俺が滅法好きなのだな。言ってはなんだが、趣味が悪いぞ」


「ああ……。わたくしは、意地悪なタゥに惚れ込んでしまったのです……。その歪んだ笑顔を見る度に、絶頂を迎えてしまいそうになります……」


「ふん。まぁ良い。俺は俺のやり方でお前を愛すると決めたのだ。付き合って貰うぞ」


「はい、旦那様……」


 タゥはレアの調教具合を見定めつつ、身体を清めて床についた。

 未だに、さほどレアに関心はない。しかし、タゥの嗜虐心に当てはめると、レアの気丈さが屈服させるのに丁度良く、劣情にうまいこと火がつくのである。

 この相性の良さにはタゥも舌を巻いた。劣情を発散させる相手としてはこの上なく、少しは興味も出てきたように思う。ただ惜しむらくは体力が少ない事である。これについては仕方がないので、早々に諦めている。


 これも、ひとつの夫婦の形だろうか。

 閨だけうまくいっても普段の生活が冷淡では、夜に頑張った甲斐もない。

 タゥはあくまで温かな結婚生活を求めているのである。


 胸に温かなレアの身体を抱きながら、タゥはレアとの閨については、一段階進んだと考えていた。

 嗜虐的な性交がお望みなら望み通りにしてやろうというものだ。

 レアには決して、無理はさせていないつもりであるが、負担は大きかろうとも思う。

 特にタゥは、女を覚え立ての若造だ。試行錯誤も多く、女体に対して興味も尽きない。

 しかし、レアが言うとおりこれが生きがいだというのなら、減らすよりも現状維持の方向で今後は検討したい。

 それにしても、本日のレアの悔しそうなイキ顔は俺の劣情を大変煽ってくれた。明日はどんな事をして泣かせてやろうか、と思う。

 こんな気持ちに至れたので、今後の閨の楽しみは増えたように思う。レアとも気持ちを通じ合わせる事が出来たようで、とても嬉しい。


 適度に運動をした身体は休息を訴え、暗く照明を落とした屋内は何も見えない。

 タゥはゆっくりと目を閉じ、眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ