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ケラソの家のタゥ  作者: yahagi
劇的な再会
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女優生活

「女装して舞台に立って欲しい?! どういう話なんだ、ジュネ」


「俺から話そう。ある劇団が全員男でな、女は女装して演じているんだ。ジュネのお気に入りの劇団なんだが、この度主演女優が失踪してしまったんだ。三日後に大きな舞台があり、穴は開けられない。シルベスター卿、どうか頼まれてくれないか」


 そう言ってヨナルドは頭を下げた。


「女装ならジュネの方が似合うんじゃないか?」


「劇中でダンスシーンがある。何より、ジュネがあなたの舞台を見たいと切望しているんだ」


 確かにタゥは女役も踊れる。

 舞台映えも問題なく美少女に化けれる。

 何も問題はなかった。


 ジャックをちらりと見ると、頼れる男前は笑顔でこう言った。


「主演女優は俺が後任をちゃんと見つけてきてやるからさ。タゥはめいっぱい歌って踊ればいいさ。俺も楽しみにしてるよ」


 タゥは早速稽古場に連れて行かれた。

 タゥのマネージャーはジャックだ。

 タゥは安心して任せる事が出来た。


 稽古で二曲の歌と踊りを身体に叩き込み、ぎりぎりまで台詞の練習をして家に帰る。

 明後日開演なのだ。

 明日は狩りを休むしかなかった。


 翌日、朝早くから通しで稽古が行われた。

 タゥも必死に食らいつき、何とか形になっている。


 女装したタゥは、可憐であった。

 綺麗に櫛けずられた金髪の髪も、きらめく青色の瞳も、薄紅色の唇も、何もかもが魅力的であった。


 タゥは美声であった。

 その美しき声で紡がれる歌は何よりも尊く、劇団員を魅了した。


「素晴らしい! シンドリー、君は最高だ!」


 支配人が拍手をしながら近付いてくる。

 タゥはシンドリーと呼ばれていた。


「支配人。第三幕がちょっと不安だ」


「では第三幕から通そう。これは素晴らしい劇になるぞ! 広報にシンドリーの姿絵を飾らせろ!」


 稽古は白熱し、夜中まで続いた。



 舞台当日は、朝から忙しかった。

 有力関係者に加え、スポンサーにも挨拶まわりが必要だったからだ。

 公演は、昼と夜の二部。

 今日の昼の部には、なんとレアを招待してある。付き添い人はキリクだ。

 レアにも観劇を楽しんで貰えれば幸いだ。

 レアは感涙して喜んでいたが、果たして全員男の劇団の公演は如何なものだろうか?


 開演のベルが鳴り、舞台の幕が開く。

 タゥはおもいっきり泣き、笑い、踊り、歌った。

 新人女優の初々しくも美しい姿に、観客は魅了され、感嘆の息を漏らした。


 フィナーレでは、スタンディングオベーションを貰い、ほっと息をついたタゥである。


 タゥは一人部屋の休憩室を貰っている。

 そこに、ジャックに連れられたレアとキリクの姿があった。


「あなた……。最高に素敵でしたわ……。あなたって、歌もお上手でいらっしゃるのね……」


「レアは感動して泣き崩れてしまったのだ。俺も感動したぞ、タゥ」


「ありがとう、レア、キリク。三日間は舞台に出続ける事になったから、どうか宜しくな」


「無事なお帰りをお待ちしていますわ……」


 レアとキリクはボーイに案内され、帰っていった。


「俺の女はすげえなぁって思いながら見てたぜ。本当にお前、歌上手いのな」


「愛してるって歌う度、ジャックの事を思い浮かべてたよ……」


 俺達はキスをし、抱きしめ合った。


 その後、ジュネとヨナルドが挨拶に来て、絶賛してくれた。


 新人女優シンドリーの名は演劇界で有名となり、三日後のチケットはプレミアチケットとなった。


 三日間、全力で踊り、歌った。

 三日目の夜の公演をスタンディングオベーションで終え、タゥは安堵の息を漏らした。


 休憩室で着替えようとしていると、そこに、恋人役のハンスが衣装のまま、入ってきた。


「やあ、シンドリー。君の真に迫った愛の演技は素晴らしかった。どうかこの劇団に残って欲しい」


「残念ながら、そういうわけにも行かないんだよ、ハンス。演劇は今日限りだ。始めから、そういう約束だっただろう?」


「俺は……君を愛してしまったんだ。シンドリー。君を、抱きたい」


「ちょっと待て。俺は男だぞ。正気に戻れ、ハンス」


 タゥはハンスに唇を奪われてしまった。

 ドレスがまくり上げられ、下着が引き下ろされる。

 そこにハンスはしゃぶりついた。


「ああ……っ」


 ハンスはねっとりとそこを舐め上げ、頭を上下してタゥを追い詰めた。


「くぅ……っ」


 タゥはハンスの口の中に出した。


 尻に指を入れようとするハンスに、タゥはぞくりとした。

 三日間芝居に缶詰めで、自慰すらしていない。

 本当はそこを掻き回されたくてたまらなかった。


「やめてくれ、ハンス。君とは良い友人として別れたいんだ」


「シンドリー。この三日、最高の舞台だったろう? この興奮のまま交わるのは、最高に気持ちが良いよ」


「そんなのは娼婦とやってくれ!」


 そこに、ノックの音が響いた。

 見てみると、ジャックだ。

 タゥは喜んで迎え入れた。


「なんか困ってるか? タゥ」


「ハンスが俺の事を抱きたいって言うんだ。何とかしてくれ」


「ハンス、あんたの控え室でジェニファーが待ってるよ。欲望はそっちで発散するんだな」


 タゥはジャックの後ろに隠れた。


「……ちっ」


 舌打ちをして、ハンスはタゥの控え室を後にした。


「助かったよ。キスされて、上手く抵抗が出来なかったんだ」


「他になんかされなかったか?」


「ここ……吸われた」


「家に帰ってからしゃぶってやるよ。一晩中愛し合おうぜ」


「うんっ!」


 タゥはジャックとキスをして、舌を絡め合った。


 こうしてタゥの女優生活は終わりを告げた。

 アスティの家にこもって歯形だらけでレアの元に帰ってきたタゥは、実にいい笑顔をしていたという。

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