ジャックの見合い
タゥが日常に戻り、数日後──
ジャックの目の前には、所狭しと釣り書きが並べられていた。
「何これ、母さん」
「見ればわかるでしょう、釣り書きよ。どれでも良いから一枚引き抜いて見なさい」
「冗談でしょう。俺は20歳になるまで結婚しません。それで良かったはずでしょう」
「あなたの気持ちは分かっているわ。でも、先王陛下があなたの偉業を公開したでしょう。あなた、"アスティの英雄"って呼ばれてるのよ。見合いもせず済ませられそうにないわ」
母エリザベスも、だいぶ参っているようだ。
「何人だ? 結婚はしないけど、見合いだけなら受けてやる」
「三人よ。この中から選んでね。ジャック、今のうちに婚約者を決めて置いた方がいいわ。侯爵家の姫君と、縁談が持ち上がりそうなのよ」
「大丈夫、見合いは断れないかもしれないけど、結婚は断れるから。えーっと、はい、三枚。選んだから、行って良いよね?」
「釣り書きの中身ぐらい読みなさい。ジャック、聞いているの?」
ジャックは部屋を出て、自室に向かった。
ジャックは見合いをした事がない訳ではない。
むしろ一時は見合いに見合いを重ねていた時期がある。
そして、結論が出た。貴族女なんて皆、同じである。
ジャックは道具屋を一緒にやっていける女性を欲していた。
それが、貴族にはいないと判明したのは、少し経ってからである。
そして今度は、本物の貴族女性を嫁に娶る必要が出てきた。
爵位を守るため、土地と屋敷を買って子供を育てるのだ。
考えただけで気が重くなる。
そんなのは20歳になってから考えれば良いのだ。
ジャックはふて寝して見合いまでの日を過ごした。
見合い当日、今日はエイデン家のエリューシア。
エイデン家のテラスで会った。
「ふふふ、ワイズマン卿って楽しい人ね。私、もっと知りたいわ……」
「いえ、俺などただの道具屋の主人です。お捨ておき下さって結構ですよ」
ジャックはただひたすら相槌を打ち、時間を潰した。
三組のお見合いが終わる頃、侯爵家との見合いが決定された。
その日もジャックは念入りに身支度を整えられ、髪を櫛けずられていた。
「これぐらいでいいよ、どうせ結婚しないんだから」
「侯爵家の姫君に失礼があってはなりません」
ジャックは磨き上げられ、本日のお相手、ゼルビア家のベルネッタに会いに行った。
ゼルビア家の客間にて行われた見合いだったが、始めから結婚を意識した会話が続き、ジャックを辟易とさせた。
「ねぇ、食器はリューエッジで揃えたいわ。あと、お庭はね、素敵な庭師がいるの。アーチを作って頂戴ね……聞いているの?」
「まだ結婚したわけでもないのに性急だな。夢見るのは勝手だが、その先は請け負えねぇぜ」
「あら、あなたは私と結婚するのよ。私がそう、決めたの。あなた、女が沢山いるのでしょう。私が別れさせてあげるわ」
「俺の女達に手を出すっていうのか。地獄の沙汰も情報屋次第。俺を舐めてかかると火傷するぜ?」
ぴくりと、ベルネッタの後ろにいた侍従が動いた。
ジャックの余裕はブラフではない。
「ベルネッタ様、この男は危険です。その様な言い方は慎んだ方が──」
「丁度良いわ。この男は私の恋人なの。私達の愛の巣を作る権利を与えてあげるわ、うふふ、光栄に思いなさい」
「成る程ね。頼みの綱の処女をなくしちまって、後に引けねえんだな。でも、愛人ごっこは勝手にやってくれ。他人を巻き込むんじゃねえよ」
「わからない人ね。私はあなたの妻になってあげるのよ。妻になんてひどい事を仰るの?」
「妄想はお前らだけでやってくれ。俺の女に手を出したら、ただじゃ済まさねえから覚悟しとけ。じゃあな」
吐き捨てて、ジャックは家へと戻った。
脅された報復も忘れず行い、無事見合いは破談となった。
ある日、ジャックは金勘定をしながら物思いに耽っていた。
あれからベルネッタはあるオークションに出た後、客の一人に買い上げられた。
それには、一人の侍従が付き従っていたという。
ジャックには興味のない話ではあるが、報告書だけ読んで、くずかごに入れた。
「しっかし、処女だったとはな。おかげで儲けたけど、どうすっかな。あっ、タゥにいい女買ってやろう」
今日もジャックは金勘定にいそしみ、日常を謳歌するのである。
地獄の沙汰も情報屋次第。
ジャックに逆らえる家がどれくらいあるか、数えるのも馬鹿らしい位である。
「たまたま安く買えたからさ。堪能してくれよ」
ウラディカの泉にて、タゥが見たものは、蜂蜜色の髪に赤い瞳、可愛らしい顔の貴族だった。
身体は豊満であり、腰はきゅっとくびれている。
処女だと聞いて、タゥは期待を膨らませた。
「いっ、いや、来ないで……っ」
少女は震えている。
タゥは全裸になってベッドに飛び乗ると、少女のドレスを脱がしにかかった。
ビスチェから、たわわな乳房がこぼれ落ちる。
「やめて……許して……」
タゥは少女の赤い瞳に口付け、ちゅ、ちゅっと口吸いした。
舌を絡め、唾液を飲み込ませる。
全裸となった少女は、美しかった。
タゥは弱々しい抵抗を抑えつけ、胸を揉み、胸の先端を舐めた。
「いやっ、いやあ……っ」
いよいよ盛り上がって来たタゥは、女の股に唇を寄せた。
敏感な場所を舌で舐め、吸う。
やがて、嬌声が混じり始める。
「いやあっ、あんっ、あんっ、いや、あんっ、あんっ」
タゥは舌で舐め続け、山ほどいかせてやった。
タゥは起き上がり、赤い瞳を見ながら耳に吐息を吹き込んだ。
「気持ちよさそうに、いってたね?」
少女は真っ赤になって口をつぐむ。
その薄紅色の唇を舐めていると、少女はきっとこちらをにらみ、しどろもどろに続けた。
「終わったんなら、退いて下さい……っ」
「何言ってんの。これからが本番でしょ」
タゥは足を広げさせ、腰を進めた。
かたくななそこが開かれ、鮮血が散る。
「いやっ、いやあ……っ」
少女は、泣き出した。
気にせずタゥは腰を振る。
「あっ、あんっ、あんっ」
少女はしばらく揺さぶられ続けた。
二戦終わり、ジャックが四つん這いで犯していた時である。
「女の尻って、いいの?」
「おう。入れてみるか? ……おい、力抜け。こうやるんだよ」
「へえー、おお、入ってく」
タゥは期待に瞳をきらめかせた。
ジャックが終わった後にやってみたが、尻は男のほうが良い気がする。
次は男を、と予約してから帰るタゥであった。




