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ケラソの家のタゥ  作者: yahagi
劇的な再会
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チェリーパイ

 タゥは10回を超えていかせたはずである。

 テーブルクロスから出たタゥ達は、改めてリーディアに紅茶を振る舞われていた。


「すごく素敵だったわ、シルベスター卿。身体の芯が蕩けるようよ」


 それにしては表情に乱れが見られないリーディアは、真っ赤になって荒い息をついているタニアに笑いかけた。


「あなたも楽しめたみたいね、タニア。どう? あの子に紹介していいかしら」


「ええ、いいと思うわ……。凄く良かったわ、ジャック。今度はベッドにお誘いさせてね」


 タニアはこくこく頷くと、ジャックを潤んだ瞳で見つめていた。


「じゃあ、商談成立ね。出会いはダンスパーティが順当なんだけれど、宜しくて?」


「ああ。ベッドまで行って良いんだよな?」


「ええ。構わなくてよ。後のことはこちらに任せて。料金は提示した通りでお願いね」


「今日、即金で払っていくよ。招待状は3通頼むぜ。俺のパートナーは俺が決めたいんでな」


 リーディアは快く了承すると、メイドにチョコレートを運ばせた。

 タゥが気に入った様子を見て取って、リーディアがお土産に包んでくれた。


「リーディアって良い人だったな」


 帰りの馬車の中でそう呟けば、ジャックが盛大に反論した。


「白昼堂々、犬のまねごとをさせる女が良い人のわけあるか。餌付けされてんじゃねぇ」


「これが餌付けっていうのか。一つ勉強になったよ」


「食べたいもんがあるなら家で作ってやるから、ひょいひょい着いていくなよ」


「ありがとう、ジャック。このチョコレート、レアに土産に持って帰っていいかな」


「いいよ。俺のも持って行け。……しかし、うまくいって良かったな。これで、深窓の令嬢はお前のものだ」


 タゥは、破れた恋の行く先を求めていた。


 

 ある日、ジャックが言った。


「タゥ、グレンジャー卿がくれた小遣いな、屋敷が買える程あるんだけどどうする?」


「思い付かないな。ジャックに妙案でもあるのか?」


「ここはぱーっと使っちまおうぜ。お前、オフィーリアに失恋してから明らかに気落ちしてるし、新しい恋の相手、欲しいだろう? それもベッドまでいける相手をだ」


「ああ。そんな娘がいるなら是非紹介して欲しいもんだな。でも、訳ありだろう?」


「大正解。旦那がいるが、不能で処女のままなんだ。深窓の令嬢で、年は20。旦那公認で恋人になるために、金が要る。どうだ、良い条件だろ?」


「良い条件すぎる。他にも条件があるんじゃないか?」


「その通り。よくわかったな。リーディアって女が繋ぎを取ってくれる。その女の出す条件は、行ってみないとわからねぇ。乗るか?」


「乗る!」


 こんな会話をしたのが、先日のことである。

 今日は無事、条件をクリアーしたので、後は件の娘に会うだけだ。


 タゥは胸を高鳴らせてその日を待った。

 ちなみにチョコレートはレアに大変好評であった。

 今度アスティ家のシェフ特製アップルパイを持ち帰ってやろうと思う。




「タゥ。ナタリーって女から手紙が来てる。心当たりは?」


「ああ、ある。夜の詩を渡した」


「それってこないだの、ガーデンパーティにいた女だろ? いつの間にそんな事になったんだ?」


 ジャックは懐疑的だ。


「メイドがポケットに夜の詩をいくつか入れといてくれたんだ。ナタリーとは一緒に菓子を食べた仲だ。きっと人妻だろう?」


「人妻だけど、やっていいぜ。その辺の采配は、俺が得意だ。完全に不倫だな」


「アスティ家に、呼んでもいいか?」


 良いと返事を貰ったので、タゥは早速返事を書いた。


「ほんっとにお前、手が早いんだな。恐れ入るぜ。ダンスパーティは来月だからな。忘れんなよ」


 ジャックはあきれ気味であった。


 11月の終わり、待ち合わせをしていたナタリーがやってきた。

 またあなたと菓子が食べたい、と手紙にあったので、シェフにお菓子を用意して貰った。

 

「お招きありがとう、シルベスター卿。とっても嬉しいわ……」


「俺はタゥハリス・シルベスター。タゥと呼んでくれ」


「わかったわ、タゥ……」


 ナタリーは今日もしっとりした美声で、タゥの名前を呼んでくれた。


 客間に用意された、逢瀬の一室である。

 隣の部屋にはベッドルームも用意してあるが、それは今はいいだろう。


「あっ、チェリーパイ……。私が好きだと言ったのを、覚えていてくれたのね……」


「そりゃあ勿論。他に好きな菓子はあるか?」


「フルーツを使ったスイーツが好きなの……」


 チェリーを咀嚼する唇が美しい。

 タゥはチェリーパイを食べきり、紅茶を傾けながら、ナタリーを見つめた。


「じゃあ、次はとびきりのフルーツタルトを用意するよ」


「次も……会ってくれるの?」


「勿論。ナタリーが許してくれるならね」


 多少茶化して言うと、ナタリーはぽつぽつと涙を零して笑った。


「あなたみたいに若い男に夢中になるなんて、正直怖いわ……。でも、嬉しいの……。私、寂しくて仕方なかったから……。甘えても、良いのよね?」


 タゥは「勿論」と答え、隣のベッドルームへエスコートした。

 ナタリーの身体は柔らかで熱く、タゥは三回戦も頑張った。


 これも一つの恋だろうか。

 タゥは自分の身体が熱く燃え盛るのを感じていた。

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