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影、踊る

 ソレは男の頭上を目がけて落ちてきた。


 魔族である男はギリギリ攻撃を躱し、背中で折りたたんでいた翼を広げて空中へと逃れた。


 ペンダントが地面に置かれたら即座にあの姉妹の首を刎ねるつもりでいたが、一瞬でも反応が遅ければその前に踏み潰されていただろう。


 動くなと命令し、広場の端に座らせていた村人達は散り散りに逃げていく。

 近くに待機させていた数匹のゴブリンは黒い怪物の下敷きになり、他のゴブリンもオークも、突如出現した怪物に動揺が見られる。


「――なんだ、アレは」


 ソレは魔族の男にとってあまりに理解の及ばない存在だった。


(魔物……? 魔物だというのか、アレが?)


 誰がどう見てもその異形は間違いなく魔物だろう。

 しかし、だからこそ男にはその事実が信じ難かった。


(魔物とは我々、魔族が生み出すモノ。なのに、なんだアレは? あんな魔物は見たことがない。何故あんなモノがいる? 何故――)


 漆黒の魔物は上空にいる男を睨む。

 すぐ近くにいるオークやゴブリンには一瞥もせず、消去すべき対象と見定めるように四つの目で男を睨んでいる。


「ッ、チ……ッ!」


 疑問で埋められていた魔族の思考が急速に切り替わる。


(アレは魔族の敵だ。それもとびきり危険な。今、必ずここで始末しなければならない――!)


 正体不明でしかない怪物に対して抱いた男の唯一の確信だった。


「オーク! ゴブリン共! そいつを殺せッ!」


 男の命令と同時に広場にいた魔物が一斉に黒い怪物――雪に飛びかかる。


 だが怪物に変貌した雪には最早ゴブリンなど問題にならない。

 雪はまとわりついた鬱陶しい蚊を払うように、ゴブリンを踏み潰し、嚙みちぎって放り投げる。


「――――ッ!!」


 オークが雄叫びを上げながら雪に向かって巨大なナタを振り抜く。

 生身の人間相手ならその一振りで数人まとめて断ち切るだろう一撃。


 しかし今の雪の肉体にはその凶器すらも通らない。

 首を狙って振り抜かれた巨大なナタは雪の肉体に当たった瞬間、まるで細い枝のようにあっさりと折れ、ガラクタと化した。


 驚愕の表情を見せるオークの顔は雪の口の中にすっぽりと覆われると、そのまま全身が宙に浮き上がった。


 頭に噛みつかれたままオークはブンブンと左右に2回往復し、その勢いで高く放り投げられ、ズンッと大きい音と共に地面に落ちた。


 跡には頭部を失い、ビクビクと痙攣するオークの死体が一つ。


 オークの圧倒的な力はそれ以上の理不尽を持って、いとも容易く捻じ伏せられた。



「おねえちゃん、待っててね。もう少しで縄、ほどけそうだからっ」


 ヴェルメは姉を連れてもっとこの戦場から離れるために、姉の拘束を解こうと急いでいる。


「な……なんなの、あの魔物は……?」


 ヴェルメの姉は――いや姉だけでなくこの場にいる全員が。

 未知の光景に対し、ただそう口にすることしかできなかった。


「私、森であの子に助けられたの……」


「どういうこと……」


 ヴェルメの言葉への問いのつもりだったが、ひとり言のように口から漏れるのみで上手く質問にならなかった。

 皆、あの黒い異形の姿に目を奪われていた。


「……在りえない」


 男は受け入れ難い現実を拒絶するように呟くと手を横に払う。

 そして紫色に光る粒子がその手から振り撒かれ、地面に落ちた光の粒子はたちまち形を得ると大量のゴブリンとオークへと変わった。



 雪は魔物の湧いた前方を睨む。


“やめろ――これ以上、こんなものを出すな”


 森で怪物に変身した時は何かを考えてる余裕などなかったが、こうして改めて対峙することで雪はハッキリと感じていることがあった。


“コイツらは人を傷つける。――ヴェルメを傷つける”


 状況からそう読み取れるということではなく。

 この魔物という生物自体がそういう存在なのだと感じ取っていた。


 そして空中から雪を見下ろしている羽の生えた男。

 ヴェルメが口にしていた魔族がアレを指していることは雪にも理解できた。


“アイツをなんとかしないと、ここにいる人達は誰も助からない”


 しかし目の前に湧いてきた魔物を放置することもできない。

 すぐ後ろにはヴェルメもいる。

 魔族の男に気を取られている間にヴェルメや他の人間に襲いかかるかもしれない。

 雪はそれを許さない。だから―――


“コイツらは邪魔だ”


 雪はトゲで覆われた巨大な尾をゆっくりと大きく横に動かすと空中に跳び上がった。


 村の広場全体を見渡せる程度に高く跳んだ雪は、身体を半回転させながら尻尾を真下に向かって振り抜いた。


 次の瞬間、尾についたトゲが無数の凶器となって魔物に射出された。

 2尺ほどあるトゲ一つ一つが魔物の体を抉り、吹き飛ばす。


 さながら重機関銃で撃ち抜かれるかのように。

 魔物の群れは瞬く間にそのカタチを失った。


 跡には地面を抉り、突き刺さった無数のトゲ。


 二十はいた魔物が一瞬で消し飛んだ。森での戦いの再現だった。

 ゴブリンはもちろん力と頑強さを持つオークですら、変貌した雪の相手にならなかった。


 しかし――――


“後はアイツだけだ”


 雪は空中に目をやるが、今までそこにいた男の姿がない。


「あぶない――っ!」


 ヴェルメが叫ぶ。


 いつのまにか雪の真上から男が迫っていた。

 手に握った黒い剣を雪に目がけて振り下ろす。


「ッ!!」


 地面に着地していた雪は大きく飛び退く。

 相手の攻撃に構わずそのまま男を嚙み殺すこともできたかもしれない。

 しかし雪の本能は反撃よりも後退を選んでいた。


 雪の大きな首がわずかに裂けている。

 斬りつけられた首の横から血が流れていくのを感じていた。


「安心した。これが通らないなら、もう私に成す術はないからな」


 男の持っている得物はサーベルのような細い剣だ。

 オークの怪力を使った大ナタでも傷一つつかなかった雪の身体を、あの頼りなく見える細剣は容易く切り裂いた。


「フム。魔物の血は紫と相場が決まっているのだが……」


 男が黒い細剣を手放す。

 その剣は地面に落ちることはなく男の影にトプンと沈んでいった。


「人間と同じ色をしているのだな。……意外にも」


「――ッ!!」


 雪は尻尾を大きく振り、再びトゲを飛ばした。

 今度は二本のみだが先ほどの乱射と違い、確実に命を狩るため魔族の男に向かって正確に飛んでいく。


 しかしトゲは男に当たらず村の粗雑な柵を破壊し、夜闇に消える。


 男は20mは離れた距離をあっという間に詰め、雪に迫る。

 雪もそれに反応し、男に向かって爪を振り下ろそうとする。


「影よ、縛れ(シャドゥ・ビンド)


 男が何かを呟く。

 すると突然、黒くて平たい何かが雪の手足に絡みついてくる。

 ソレは雪自身の影から帯のように伸びてきていた。


「ッ……、……ッ!」


 手足に絡んだソレの拘束力は凄まじく、雪の手足はビクともしない。

 その影は雪の首にも絡みついて頭も自由が効かなくなる。


 振り上げていた前足も強制的に地面に下ろされ、雪は縫いつけられたようにその場から動くことができなくなってしまった。


「動けまい? 力だけで振り払えるような拘束ではない」


 男は勝利を確信したのか余裕たっぷりといった様子で、ゆっくりと雪に近づく。


「私は災魔シャトゥン様に生み出された魔族だ。オマエがどこから……いや、誰が生み出したモノかは知らんが、たかが一匹の魔物如きが調子に乗ってくれたな」


「災魔シャトゥン……」


 その名前に聞き覚えがあるのかヴェルメの姉は顔色が悪くなる。


「しかし改めて見たことのない魔物だ。――オマエはなんだ? 誰の眷属だ? 独立して他の魔族を襲う魔物など在りえない。となれば誰かに命令されたとしか考えられん。そいつは誰だ? まさか他の災魔の方々だとは思えんが……」


 そんな質問攻めをされたところで雪には答えようがない。

 気持ちとしては質問攻めをしたいのは雪のほうだと言うのに。


 男は手を地面にかざす。

 すると男の影が吸い込まれるように手の中に集まっていき、次第にそれは大きな鎌へとカタチを変えた。


 雪のサイズに合わせて作られたようなその大鎌を男は雪の首にひっかけ、断頭の準備を始める。


「……魔物に問うだけ無駄か。オマエの正体は気になるが……誰かが命令したのなら、いずれわかることだ。オマエを残す理由はないな」


 先ほどのサーベルでも雪の身体を裂く切れ味だった。

 男がこの大鎌を引けば、それだけで雪の頭は落ちるだろう。


 鎌を持つ男の手に力がこめられる。


「や、やめて!!」


「ヴェルメ、近づいちゃダメ!」


 雪のもとへ駆け寄ろうとするヴェルメを姉が全力で抑える。


「魔族さん! その子を殺さないで!! ペンダントは渡すから! お願いだからその子を殺さないで!!」


「黙れ。無論ペンダントはもらう。だがこの魔物は殺す。魔族である私に牙をむいた以上、ここで始末を――」


 そう口にしかけたところで男の思考は違う方向に変わる。



 ――この魔物は一体どこから現れた?

 魔物とは我々、魔族が自身の魔力を媒介にして生み出し、使役するもの。

 つまり魔物にとって我々の存在は絶対の従属対象なのだ。

 反逆し、牙をむけるなど有り得ない。それが魔族による命令でない限り。

 だから私はこの魔物が他の魔族の命令を受けているのだと思っていた。


 だがそれもおかしい。いや、そもそもこの魔物の行動原理はどういうわけだ?

 小娘を追わせたゴブリン共が戻らず、小娘一人が村に戻って来た妙な経緯。

 あの時、小娘は口にしていた。


『ゴ、ゴブリンは……死にました。か、怪物に……みんな殺されました』


 つまりゴブリン共が戻らなかった原因はこいつだ。

 この魔物は森の中に現れ、ゴブリンを皆殺しにし、小娘だけを見逃した。

 そして今度はこの場に現れ、我らと敵対をしている。


 思い返せばこの魔物は小娘を初め、村の者に危害を加えていなかった。

 いや、加えないように立ち回りを意識していた?


 魔物の群れを一瞬でせん滅したトゲの嵐をわざわざ空中から下に向けて放ったのも恐らくは――



 雪は唸りながら男を睨んでいる。


「……人間を助ける目的で? そんなバカなことが……」


「――――ッ!!!」


 雪の激しい咆哮が響き渡る。

 ビリビリと家屋が揺れ、ポツポツと設置された夜の村を灯す松明の火も大きく揺らめく。


 それをキッカケに一時的に止まっていた男の殺意が再び宿る。


「やはりオマエは危険だ。あまりに得体が知れん――もはや正体などどうでもいい!」


 大鎌を引き、雪の首を断ちにかかる。


「死ねッ!」


 だが男が雪の首を落とすより早く、村の外からゴウと風を切る音と共に何かが男に向かって飛んできた。


「……ッ!?」


 それは先ほど男を狙って雪が放ったトゲだった。

 避けられ、どこかに飛んでいったトゲは雪の咆哮で呼ばれたかのように再度、男の命を狩るために戻ってきたのだ。


 男は鎌を放し、とっさに身を捻るも躱しきれず片腕を吹き飛ばされた。


「……なん、だとッ」


 男の体がよろめくと同時に雪は身体を動かす。

 束縛していた影の力が緩まったのを雪は見逃さなかった。


「――!!」


 雪は自身の巨大な手を容赦なく振るった。


 魔族の男は雪の巨大な赤い爪に真横から引き裂かれ、全身がバラバラになり、首から上だけが元の形を残したまま地面に落ちた。



「――――オマエは……一体……」


 首だけとなった男は目をギョロリと動かし、黒い怪物をジッと見据える。

 まるで死ぬ前に出来るだけその姿を目に焼き付けようとするように。


“――――終わった”


 雪は遠巻きに自分を見ているヴェルメや他の村人達を見た。

 どうやら皆、無事そうであることを確認すると、自分のやりたかった事をやれたという感覚が雪に安心感をもたらした。


「……私が、敗れたのか。勇者共が消えたと思えば、こんな異常な存在が現れるとはな」


 首だけの状態にも関わらず男は口を開く。

 人間に似た姿でも正体は魔族という怪物故だろう。


「消えるのか。……とはいえ、このままただで消えるわけにはいかんな」


 そう口にするや否や男の首がある地面から突然影が伸びて、男の片方の眼球を抉り取った。


「ッ!?」


 男の異様な行動に雪は再び警戒で身を固める。

 しかし伸びた影は抉り取った眼球と一緒に地面に沈んでいった。


「名もわからぬ魔物よ……私を殺して終わり、などと思うな。このような行いは魔王、そして我ら魔族を敵に回すということだ……」


 男の顔は炭のようになり、ボロボロと少しずつ崩れていく。


「人間を助ける魔物……オマエのような異分子がどこから湧いたのか。どうにせよ我らはオマエを見逃さんぞ。同じ魔性の身で我らに仇なしたこと、後悔するがいい――――……」


 そう言い残した男はやがて完全に崩れ去り、跡形もなくなった。



「信じ……られない。魔族を倒した、の……? あの、魔物が?」


 ヴェルメの姉が呟く。

 彼女だけでなく遠巻きに窺う村人全員が自身の見ている光景を信じられずにいた。


「……あの子、また……助けてくれた」


「ダメだよ、ヴェルメ! 近づくんじゃないっ あの怪物を刺激でもしたら……!」


 そう言ってヴェルメを止めたのは村の老婆だった。


「っ、ちがう……違うの! あの子は――」



「……」


 しばらくヴェルメを見ていた雪は村を飛び出し、そのまま森の方へと走っていった。



「っ、待って――!!」


「ヴェルメ、だめよ!」


 姉の制止も聞かずヴェルメが雪の後を追って走り出してしまった。

 彼女の姉もあわててヴェルメを追いかけようとする。


「リーベ、あぶないよ!」


「……ヴェルメを連れ戻さないと。みんなは怪我をした人達を集めておいて。帰ってきたら私が治すから」


 ヴェルメの姉――リーベと呼ばれた少女は急いで妹の後を追った。


*


 妹の後を追いながらリーベはあの黒い怪物のことを考える。


 ――あの怪物は私達をまったく襲わなかった。

 それどころか私達を巻きこまないよう気にかけているふうにさえ見えた。

 これは考えすぎなの? でも森でヴェルメを助けたのは間違いなくあの怪物だ。

 そして村では魔族と戦った。多分、私達を――いえ、ヴェルメを守るために。


 味方とは言えないまでも、もしかしたら敵ではないのかも……って考えるのは能天気すぎるだろうか。でも……



「――確か、こっちの方に……」


 森の入り口に近づくとヴェルメの姿が見えた。

 樹木の陰でしゃがみこんでいるようだ。


「ヴェルメ!? だいじょう――ぶ……」


「! おねえちゃん……」


 ヴェルメは無事だ。驚いた表情でリーベを見上げている。

 その点は安心したリーベだがヴェルメの傍でちょこんと座って、こちらを見ている一匹の獣に気を取られた。


(動物? こんな姿の獣、この辺の森で見たことないけど……)


 リーベは雪の姿をまじまじと見ている。


「おねえちゃん、あの……この子は……」


「! ヴェルメ、まさか……この獣って……」


 ヴェルメの態度にリーベも察するところがあったのかそれ以上、言葉を上手く紡ぐことができなかった。




**



「――あっ! 戻ってきたぞ!」


「リーベ! ヴェルメ! 無事でよかったよ……! 何もなかったかい?」


 中年の男女が二人、リーベ達に駆け寄る。


「大丈夫よ、アーダおばさん。心配かけてごめんなさい。二人も怪我してない?」


「ああ、見ての通りさ。俺達は夫婦そろって無事だったよ。……すまない、リーベ。お前とヴェルメが危険だったのに動けず、ただ震えてることしかできなかったっ」


「そんなこと言わないで、クルトおじさん。もし二人に何かさせてたら、私は本当に後悔してた。……これ以上、誰にも死んでほしくないもの」


 リーベは広場の方を見ながら口にする。

 ヴェルメを森に逃がした後、ある三人の村人がみんなを守ろうと立ち向かったのだが魔族の男が呼び出したオークによって殺されてしまった。


「……ああ。後であいつらの墓をつくってやらんとな」


 中年の夫婦も悲しそうに広場を見つめていた。


「誰か、死んじゃったの……?」


 ヴェルメの言葉に夫婦はハっとするがリーベが優しく話す。


「……後で話すわ。それより、ヴェルメは先に家に戻っててくれる? 私はみんなに怪我がないか確認してから帰るから」


「……ん、」


 ヴェルメは小さく頷く。

 そして近くで大人しくしていた雪においでと呼びかけ、家に戻っていった。



「……本当にすまない。ヴェルメの前で話すことじゃなかったな」


「最初に切り出したのは私よ。……気にしないで。この小さい村で人の死なんて隠せるものじゃないもの。それにあの子は賢いから何も言わなくたってすぐに気づくわ」


 クルトがそうだな、と口にする。


 そして少し間を置いた後、アーダがふとリーベに質問をした。


「ねえ、リーベ? ずっと気になってはいたんだけど……さっきヴェルメが連れていった生き物は何なの?」


 一瞬、リーベの体がビクリとする。


「えっ? あ、あー……あれね?」


「あれって獣……よね? あんな獣、この辺で見た覚えはないけれど……」


「う、うん。森でヴェルメが見つけたみたいなの。なんだかヴェルメに懐いてたみたいだから、あの子も気に入っちゃって……」


「大丈夫なの? 獣にも凶暴なのはいるし――」


「おばさん達も今、見たでしょ? 私も見たけど大人しくていい子よ。私の家で面倒を見るから心配しないで。とにかく、後は私に任せて二人はもう休んで」


 半ば強引に二人を家に帰した後、リーベは深い溜め息をつく。


 ――本当に疲れた。今夜はあまりに色々な事がありすぎた。

 できれば今すぐ頭からベッドに飛びこんで深く眠ってしまいたいけど、まずは怪我をした人を見ないと。

 村で唯一魔法を扱える私だからこそやらなくちゃ。


 でも頭の中がぐちゃぐちゃだ。

 ヴェルメのこと。ペンダントのこと。魔族のこと。

 魔族を殺した黒い魔物のこと。ヴェルメの傍にいるあの獣のこと。


 ……頭の中に竜巻ができて脳みそをグルグル回されてる気分だ。

 とても考えをまとめられる気がしない。



 とにかく今は少しでも思考をクリアにするため、リーベは皆の怪我の治療に急いだ。

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