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93話:探索

ここは【ガルバトロズ】の隠れ家、破戒信者と破門された者たちの頭目であるギュンター・フェスティバルは苛立っていた


「まだ奴は見つからないのか!」


「一向に姿を見せませぬ。」


ギュンターは内心、焦っていた。闇のルートで探索しても一向に見つからないのだ


「何故だ、何故見つからぬ。まさか誰かが匿っているとか!」


「それは考えすぎですよ。」


「そうですよ、もしかしたら死んだ可能性も・・・・」


「万が一生きていたらどうするんだ!奴の死に顔を見ない限り、安心できん!」


ギュンターは一刻も早くコマイラの首を欲していた、奴の首を上げれば、【ガルバトロズ】本部らが自分達を追撃せず、同士討ちをするのを狙っていたのである


「お前たちもグズクズするな、早く見つけないと追手が我等を殺しに来るぞ!」


それを聞いた他の者は慌てて、その場を後にした。ギュンターの心中は無能な部下を持ってしまった事への後悔だった


「アイツらに任せたら、見つかる前に死んでしまうわ!ええい!こうなったら私自ら探すしかあるまい。」


ギュンターはコマイラの性格を考え、どの国に行くのかを精密に調べ、自身の頭脳で解析した結果、1つの結論にたどり着いた


「奴が行くとすれば、シュバルツ王国だな。あそこは【ガルバトロズ】の影響が徹底的に排除されているが、奴は裏をかいてそこへ隠れるに違いない!」


ロバート・シュバルツの行った綱紀粛正により【ガルバトロズ】を支援していた貴族たちを処刑した事で【ガルバトロズ】の影響力が排除されている。コマイラはあえて【ガルバトロズ】の影響力のないシュバルツ王国で身を隠すに違いない。ギュンターは信頼できる側近たちと共に、シュバルツ王国を目指すことにした


「ギュンター様、他の者はどうするのですか?」


「置いていく。」


「何と!」


「あやつらといても、足手まといだ。それに追手がここまで来るかもしれん。」


「し、しかし。」


「なら着いてこなくてもいい、ここで追手に殺されてもよいとゆうならな。」


「参ります!」


ギュンターの脅しといえる説得に側近たちは渋々ついていくことにした。その後、秘密通路を通り、隠れ家を脱出し、コマイラ暗殺に向けて出発した


「目指すはコマイラ・ガルバトロズの首、ただ一つだ。」


その頃、隠れ家では頭目のギュンターがいなくなったことに驚いた破戒信者と破門された者はくまなく隠れ家内を探していた


「見つかったか!」


「いや。」


「くそ、どこへ行ったんだ!」


「まさか我等を捨てて逃げたのではないか!」


残された者たちは自分たちは見捨てられた事に気付き、ギュンターへの怒りと憎しみにあふれ、いつしか復讐を考えるようになった


「まだ遠くに行っていないはずだ!」


怒りに燃える者たちはギュンターの探索に方向性を変え、出発の準備をすると・・・・


「敵襲だ!」


「何だと!」


「【ガルバトロズ】の残党共、神妙にしろ!」


そこへ大勢の警備隊が乗り込んできて、残された破戒信者と破門された者たちを捕縛し始めた。中には抵抗した者もいたが、多勢に無勢、警備隊によって無残な最期を遂げた。やがて残党たちは警備局に連れていかれ、厳しい拷問の末、頭目であるギュンター・フェスティバルの事をあっさり吐いたのである。警備局によってギュンター・フェスティバルは全国指名手配され、御尋ね者になってしまったのである


「くそ!これだから無能な奴は好かん!」


コマイラの探索のため【シュバルツ王国】に向かっていたギュンターは自身の手配書を見て、残された者たちが喋ったのだと察知した


「ギュンター様、どうしますか!」


「こうなれば変装してでも行くしかあるまい。もう後には引けん!」


ギュンターたちは髪の色や服装を変え、偽の通行証を手にした。裏のルートを頼り、身を隠しながら、酷適地であるシュバルツ王国へと向かっていった





島左近清興だ、ワシの下にある手配書が渡った。それは【ガルバトロズ】の幹部の一人であるギュンター・フェスティバルという男の手配書である。ワシは事の真相を確かめるため、サマノスケの下へ向かった


「アリーナ、与一、少し出かける。留守を任せた。」


「いってらっしゃいませ。」


「左近様、お気をつけて。」


ワシは【お庭方】の者を連れて馬に乗り、サマノスケの家を尋ねた。サマノスケは突然、ワシが尋ねてきたことを驚き、こちらへ駆け寄ってきた


「サコン殿、突然のお越し、何用で!」


「うむ、とりあえず中に入れてくれ。」


「は、はい!」


ワシは家に入り、椅子に座った。サマノスケはお茶を出そうとしたが、ワシは遠慮し、先に手配書を見せることにした


「サマノスケ殿、この男に身に覚えはないか?」


「え、この御方はギュンター殿!」


「知っておるのか?」


「はい、【ガルバトロズ】の古参幹部の一人で、貧相な見た目とは裏腹に高潔な人柄で知られております。なぜこの御方の手配書が!」


ワシは事の詳細を教えた。【ガルバトロズ】に蔓延している麻薬栽培と売買を一手に取り仕切っているのはこの男であることを、ギュンターに従っていた者たちの証言によって明らかとなり、現在は全国指名手配になっている事を伝えるとサマノスケは驚愕した


「信じられぬ、この御方は【ガルバトロズ】創設に尽力した御方、まさか麻薬栽培の元締めだったなんて・・・・」


「【ガルバトロズ】に巣食う獅子身中の虫だということだな。」


「おのれええ、こやつのせいで【ガルバトロズ】が貶められていたというのか!」


「一旦、落ち着け。」


サマノスケはすぐに手配書を破こうとしたがワシは止めて、落ち着くよう諭し、これからの事について話し合う事にした


「今はコマ・・・コマネンとして、監視付きだが平穏に暮らしている。もしこの男がここに来たときは纏めて捕縛する所存だ。」


「そうですか、私は何を?」


「この事をコマネンに伝えてほしい、そして一層の警戒をするようにな。」


「相分かりました。お伝えいただきありがとうございます。」


「ではワシは戻ることにする。」


左近はサマノスケの家を出た後、馬に乗り、屋敷へと戻っていった。サマノスケは早速、コマネンことコマイラの下へ向かった。サマノスケがコマイラのいる家へ辿り着くと、畑を耕しているコマイラの姿を見かけた。コマイラはサマノスケを見かけると手を振って挨拶をした


「おお、サマノスケ、どうしたんだ?」


「コマネン殿、早速だが大事な話がある。」


「んん、そうか、では中に入ろう。」


家の中に入ったサマノスケは相変わらずの狭さに困惑しつつも、椅子に座り、ギュンターの事を話した。ギュンターが指名手配されていること、麻薬栽培&売買の元締めであること等をそのまま報告するとコマイラは驚愕した


「ま、まさか、ギュンターが!」


「信じられませんが、間違いなく。」


「あやつめ、裏切ったな!」


コマイラはテーブルに拳を叩きつけた。サマノスケは何とか落ち着かせつつも、コマイラはそのまま話を続けた


「私はあやつを信用していた、それなのにあやつのせいで【ガルバトロズ】の信用が失墜させたんだ!」


「お怒りはごもっともですが、今は奴がここに来た場合の事を考えましょう。」


「ここへ、何をしに?」


「どうやら奴は貴方を亡き者にしようとしているとのことです。」


「あやつが私を!なぜ!」


「はい、今、【ガルバトロズ】内で破戒信者と破門された者たちの駆除を行っています。ですが教祖は依然として貴方のまま、奴らは貴方を亡き者にし、世間に公表した後、本部が後継者を推すべくいくつもの一派が名乗りを上げるでしょう。ですが烏合の衆と化した本部の者たちはたちまち後継者争いを起こし、必ずや殺し合いが発展します、それを狙ってギュンターは貴方の命を狙っているのです。」


「そんな・・・・」


コマイラは逃亡生活をしながら【ガルバトロズ】の噂を耳にしつつ、左近のよって捕縛され、隔離生活を送った事でその後の【ガルバトロズ】の情報が耳に入らなくなっていたため、まさかそのような事態に発展していたとは知らずにいたのである


「それで私はどうすればいい?」


「はい、サコン殿は一層、警戒をするよう伝えるよう申されました。」


「そうか、やっと安住の地を見つけたというのに・・・・」


「貴方も指名手配されている御身ですので、一層ご注意してください。」


「分かった、言う通りにしよう。」




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